賃貸物件の敷金・礼金、関西は首都圏と違うって本当? 初期費用は関西と首都圏とでどれくらい違う?
配信日: 2023.01.13
ただ、「敷金」などの呼び方は、主に首都圏での名称。実は関西では、初期費用の概念が首都圏とは異なる部分があります。
では、関西と首都圏では、初期費用に関して具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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首都圏と関西では初期費用の呼び方が違う
関西では、初期費用の項目に関して首都圏とは異なる表現が用いられます。
まず、首都圏では、家賃滞納時の穴埋めや部屋の修繕費として使われる初期費用を「敷金」と呼びますが、関西では同じ内容の初期費用を「敷金」ではなく「保証金」と呼びます。呼称こそ異なりますが、使われる目的や意味・内容は「敷金」でも「保証金」でもほぼ変わりません。
一方、物件のオーナーに対するお礼金の意味合いを持つ「礼金」も、関西では異なる呼称が使われています。関西で「礼金」にあたる初期費用は、主に「敷引き」と呼ばれています。
ただ、「礼金」と「敷引き」は必ずしも同じ意味や内容で使われるわけではありません。首都圏で用いられる「礼金」が、文字通りオーナーに対する「お礼金」であるのに対して、関西の「敷引き」はお礼金というより保証金に近い意味合いを持ちます。
関西で使われる「敷引き」とは
首都圏で使われる「礼金」は、戦後の東京で住める場所が少なかった時代に、住む場所を提供してくれた大家さんに対してお礼としてお金を支払ったのが始まりだとされます。その名残が今でも残っているということです。
これに対して、関西ではそうした「礼金」の文化はなく、あくまで保証金の一部として「敷引き」という名目が作られました。
首都圏で「敷金」に該当する関西の「保証金」と「敷引き」の違いは、保証金は退去時の原状回復費用の残りとして返還される余地がある一方、「敷引き」は基本的に返還されることはない点が挙げられます。首都圏の「礼金」も退去時に返還されることはないため、首都圏の「礼金」に該当するものとして「敷引き」が扱われるわけです。
首都圏より高い? 関西と首都圏の初期費用
日本賃貸住宅管理協会の「日管協短観」によれば、2020年下期における首都圏と関西圏の初期費用は、関西圏のほうが少し高い結果となっています。
まず、礼金の平均月数は、首都圏が0.91カ月分なのに対して、関西圏が1.11カ月分です。
首都圏では、礼金は古い時代の名残であるため、今では礼金を取らない物件も増えていますが、関西圏では礼金(敷引き)の意味合いが異なるため、首都圏より関西圏のほうが礼金の平均月数は高くなっています。
一方、敷金(保証金)の平均月数は、首都圏が1.01カ月分、関西圏が1.00カ月分となり、いずれもほぼ同じ水準に収まっています。
ただ、関西圏では礼金(敷引き)が首都圏より高いため、初期費用のトータルでは首都圏よりも関西圏の方が総じて高くなる傾向があるといえるでしょう。
文化の違いが原因?呼称は違うが意味は同じの初期費用
呼び方の違いはあっても、敷金や保証金、また礼金や敷引きといった費用は、ほぼ同じ内容を持つ初期費用です。
首都圏と関西では、賃貸物件に関する文化の違いもあって、こうした呼び方の相違が生まれたようです。また、特に礼金に関しては、首都圏では取らない物件も増えており、この点に関西圏と首都圏で初期費用の金額に差が生じる大きな要因があるとみられます。
出典
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所 第25回 賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2020年10月~2021年3月
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部