更新日: 2019.01.10 その他
ちゃんと理解出来てますか?今更だけど奨学金の種類は3つ!それぞれの特長とは。
奨学金という言葉は皆さん知っているのですが、奨学金の内容に関しては漠然としか理解しておらず、不安に感じている人が少なくありません。
そこで、今までの14年間で受けた奨学金についての質問の中で、特に質問が多い事項について解説します。
今回は、日本学生支援機構以外の奨学金の種類について解説します。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
奨学金にはどのようなものがあるか
「奨学金にはどのようなものがありますか」「どの奨学金がいいですか」と奨学金の種類について、よく質問を受けます。奨学金のタイプは大きく2つに分類できます。
返済義務のある(借りる)貸与型の奨学金と、返済義務のない(もらう)奨学金の2つです。奨学金の運営主体は、国(日本学生支援機構)、自治体、大学等、民間企業・団体などです。それぞれの奨学金の特長を知っておくことが大切です。
自治体の奨学金
経済的な理由で学費の調達が困難な家庭で、居住している自治体から保護者や子どもが無利子で利用できます。ほとんどが月額貸与の修学資金ですが、入学準備金を貸与する自治体もあります。
採用人数が多くないのが難点です。また、ほかの奨学金との併用は認められていない場合が多いので注意しましょう。
民間金融機関と異なり、申し込みから融資実行まで1カ月以上はみておいたほうが良いでしょう。入学手続き時納付金を借りる場合は、合格後に申し込んだのでは納付期限に間に合いませんので、早めに担当窓口に相談しましょう。
また、間に合わない場合に備え、国の教育ローンも併行して合格前に早めに申し込んでおくと良いでしょう。
自治体の奨学金には、所得や居住といった条件のほかに、利用できる人を限定した奨学金もあります。例えば、看護師、介護福祉士、保育士などを目指す学生向けの奨学金は、卒業後、国家資格を取得し、自治体内の指定された施設で一定期間以上勤務すれば、原則返済免除になる返済免除付き貸与型奨学金です。
申し込みは、一般的に、入学後、学校を通じて行います。
なお、返済免除付き貸与型奨学金として、東京都独自の奨学金に受験生チャレンジ貸付金があります。塾代20万円以内、大学等受験料8万円以内を借りることができ、入学すれば返済が免除になります。
このほか、ひとり親世帯を対象とした母子父子寡婦福祉資金、低所得世帯等を対象とした社会福祉協議会の生活福祉資金にも、教育資金貸付があります。
自治体の中には、労働金庫などの金融機関と提携して教育資金融資を斡旋している場合があります。自治体が保証料や利子の一部を負担してくれるので、低利で利用できます。
主に都内近郊の大学へ通う学生のために、学生寮(県人寮)を運営している自治体や育英会もあります。寮費(朝夕食事付)月額4万円程度で利用可能な場合もあります。
自治体の奨学金情報は、都道府県や市区町村のホームページに掲載されていますので、調べてみましょう。募集時期が限定されているものが多いので注意しましょう。
大学等独自の奨学金
大学独自の奨学金には貸与型と給付型があり、給付型の奨学金が増えています。これらは、成績優秀者や経済的支援が必要な学生を対象にしています。
保護者世代に比べ、奨学金の種類も採用人数も大きく増えており、新入生を対象としたものと在学生を対象としたものがあります。
新入生を対象としたものには、入学前に英検2級などを取得していれば、入学後の授業料が4年間全額免除になる「資格特待生」といった奨学金もあります。
また、入学前に採用が決まる「入学前予約採用型給付奨学金」が、首都圏の大学を中心に徐々に増えています。
この奨学金は、もともとは首都圏以外の受験生を対象としたものでしたが、首都圏の受験生も対象とする「入学前予約採用型給付奨学金」も増えてきました。大学のパンフレットやホームページなどで調べてみましょう。
民間団体・企業の奨学金
さまざまな種類があります。ひとり親家庭や児童養護施設出身者に特化した奨学金もあり、ほとんどが入学後学校を通じて申し込みます。
学校や学部指定の奨学金もありますので、大学等の奨学金担当窓口で調べましょう。給付型の割合が多いですが、採用人数も少なく、基本的に学業成績基準も高く設定されています。
奨学金の肩代わりの動きが広まっている
ここ数年、地域での人口減少を防ぐため、地域での就労を条件に奨学金返済の肩代わりや、奨学金返済支援企業に補助する自治体が増えています。
民間企業でも人材確保のため奨学金返済の肩代わりする動きが広がっています。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。