更新日: 2022.10.27 その他
小規模事業者持続化補助金ってどんな制度? 申請方法と注意点とは?
小規模事業者の販路開拓を支援するための補助金として注目されている、小規模事業者持続化補助金。フリーランス、個人事業主なども申請できるため、関心を持たれている方もおられるのではないでしょうか。
この記事では、小規模持続化補助金の概要とフリーランス、個人事業主などが気をつけたい注意点について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
小規模持続化補助金の概要
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度をいいます。
小規模事業者持続化補助金の補助対象になるのは
1)小規模事業者である
2)補助の対象になりうる事業を行う
3)枠の条件に該当する
これらの条件を満たす事業者となります。それぞれ解説していきます。
小規模事業者
持続化補助金における小規模事業者は、次のいずれかにあてはまる法人、個人事業主、フリーランス、特定非営利活動法人です。
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)……常時使用する従業員数5人以下
・宿泊業・娯楽業……常時使用する従業員数20人以下
・製造業その他……常時使用する従業員数20人以下
さらに以下の要件を満たす必要があります。
・直近過去3年分の課税所得が年平均額 15 億円を超えていない
・申請を予定している公募回の受付締切日の前10ヶ月以内に、小規模事業者持続化補助金で採択されて、補助事業を実施していない
・日本国内に所在する事業者
・資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%株式を保有されていない(法人のみ)
補助対象事業
小規模事業者持続化補助金の補助対象になる事業の要件は、商工会の支援を受けて、販路拡大や生産性を向上させる取り組みとなります。
そのため、補助対象事業の要件を満たすためには、補助対象事業の要件に沿った補助事業計画を作成することが必要となります。
小規模事業者持続化補助金の「補助対象外」になる事業内容は、「公募要領」で公開されています。補助事業計画の作成を始める前に、公募要領を確認しておきましょう。
また、小規模事業者持続化補助金へ申請を検討している事業内容が補助対象になるか判断できない場合は、地域の商工会や商工会議所への確認が必要になります。
枠組み
小規模事業者はどの枠で申請するかを選択します。
枠は、通常枠と特別枠(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠)があり、特別枠の方が補助金上限額が高く、特別枠に該当しない場合に通常枠で申請することになります。
以下では特別枠の申請要件をご紹介します。
補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上である事業者(赤字事業者においては、補助率3/4に引上げるとともに加点の実施もあり)
補助事業の終了時点において、常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員数を超えている事業者
申請時において「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者
1.産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業」の支援を公募締切から起算して3カ年の間に受けている事業者
かつ
2.過去3カ年の間に開業した事業者
1. [2021年9月30日から2023年9月30日]の属する課税期間で一度でも免税事業者であった、または免税事業者であることが見込まれる事業者であること
かつ
2. 適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者であること
フリーランス、個人事業主が申請するための条件
フリーランス、個人事業主が小規模事業者持続化補助金の補助対象になるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・小規模事業者であること
・直近で小規模事業者持続化補助金に採択されていないこと
・申請時点で開業している事業者であること
「小規模事業者であること」「直近で小規模事業者持続化補助金に採択されていないこと」は前出のとおりです。
「申請時点で開業している事業者であること」については、小規模事業者持続化補助金の公募要領には、申請時点で開業していない創業予定者は補助対象外と記載されています。申請時点でまだ開業していない創業予定者は、小規模事業者持続化補助金へ申請することができないので要注意です。
「開業していないと、小規模事業者持続化補助金は申請できない」、これはしっかり押さえておきましょう。
小規模事業者持続化補助金の交付は申請の1年後
小規模事業者持続化補助金の交付は、補助事業実施後に事業実施報告を行い補助金の交付申請を行う必要があることから、申請から補助金の交付までに約1年を要します。
ほかの補助金でもそうですが、補助金は先に補助事業を実施して経費を使ってから、その経費に対して支払いがされます。
【補助金交付までの流れ】
- 1.申請
- 2.採択結果発表 (受付締切日から約2~3ヶ月)
- 3.補助事業実施 (定められた補助事業実施期間内で補助事業を実施 約6ヶ月間)
- 4.経費として使う
- 5.経費の承認を受ける
- 6.補助金の請求
- 7.入金 (受付締切日から約1年)
- 8.事業効果報告(補助事業の完了から1年後に文書で提出)
補助金は原則的に後払いで、申請が採択されて交付が決定しても、その時点ですぐにお金が入金されるわけではありません。
まずは自己資金や金融機関の融資などで用意したお金で、補助事業を行います。経費を使った後に補助金事務局に経費を報告して、承認を受けたら経費の一部の額が補助金として入金されます。
小規模事業者持続化補助金へ申請したからといって、必ずしも補助金が交付されるとは限りません。事業の運転資金計画は慎重に行う必要があります。
まとめ
小規模事業者持続化補助金について、簡単に解説しました。フリーランス、個人事業主の方が特に気をつけたい点は2つあります。
1.申請時点で開業している事業者であること
2.申請しても補助金の入金は申請から約1年後
この2つを押さえていないと、資金計画がうまくいかない可能性があります。また、申請したからといって、必ずしも補助金が交付されるわけではないので、事業計画は慎重にする必要があるでしょう。
小規模事業者持続化補助金を申請したい場合は、中小企業診断士、行政書士、税理士などの士業や、専門サポート事業者に相談してみてはいかがでしょうか。
出典
全国商工会連合会 令和元年度補正予算・令和 3 年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領(2022年10月)
全国商工会連合会 令和元年度補正予算・3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> ガイドブック 支援内容や申請手順等を紹介(2022年10月3日)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部