更新日: 2022.10.13 その他
物価高騰の折、最低賃金は上がる?企業は実際にどう考えているの
特に、「光熱・水道」が前年同月比15.6%増加、「生鮮食品」も8.1%増加しており、生活を直撃しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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物価高騰の折、最低賃金引き上げについて企業はどう考えている?
厚生労働省によると、都道府県の令和4年度1時間あたり最低賃金の全国加重平均額は961円です。最低賃金が最も高いのは東京都で1072円、次いで神奈川県の1071円、大阪府の1023円が続きます。一方、最も低いのは東北、四国、九州の10県で853円となっており、東京とは200円以上の開きがあります。
過去からの推移を見てみると、2012年の最低賃金の全国加重平均額は749円であり、この10年で212円の増加、上昇率は28.3%となっています。
株式会社プレシャスパートナーズは、アルバイト・パート採用を行う企業236社を対象に「最低賃金の引き上げに関する実態調査」を2022年7月から9月にかけて実施しており、物価が急激に高騰している昨今、企業の立場として最低賃金の引き上げについてどう考えているのか見てみましょう。
最低賃金引き上げに賛成の企業が6割以上
急激な物価上昇が進展する現在、企業に最低賃金の引き上げについて賛成か反対か聞いたところ、65.3%が「賛成」、34.7%が「反対」と答えました。
昨年の調査では、最低賃金の引き上げに33.8%の企業が「賛成」であったのに対し、今回は65.3%が「賛成」と30%近くアップしています。物価の上昇に対し、賃金の引き上げを検討する企業が多いことが分かります。
しかし、最低賃金の引き上げは人件費が上がるため、経営に影響が出てきます。実際に、「とても影響がある」(34.8%)、「影響がある」(43.6%)、合わせて8割近くの企業が経営に影響があると回答しています。
最低賃金の引き上げにどのような対策を行うか聞いたところ、「サービス価格の見直し、値上げをする」が75.7%とダントツで多い結果に。賃金引き上げをするためには、商品やサービスの価格アップが必要となると、さらに物価が上がり、いたちごっこになってしまいます。
以下は、「非正規の残業・シフトを削減する」(24.3%)、「正社員の残業時間を削減する」(16.2%)、「採用を抑制する」(14.6%)となっており、賃金引き上げの代償に、何らかの費用削減を行うと回答しています。
人材の確保に悩む企業が多く、コストアップしてでも良い人材が欲しい
コストが増加し経営に影響があっても、時給の引き上げを行う主な理由を聞いたところ、「モチベーション向上/人材の定着のため」が61.0%で最も高く、「人材を採用するため」(51.7%)、「人材への投資のため」(32.6%)が続きました。
調査対象の企業のうち67.8%もが、「採用難・人手不足」を感じており、68.8%が現在の時給を引き上げないと、人材が採用できないと回答しています。2022年の年末の人員確保に向け、アルバイト・パート採用を行うか聞くと、10.6%が「もうすでに採用活動を終えた」、72.0%が「行う予定」と回答しており、8割以上が年末のアルバイト・パート採用を行うようです。
やはり、企業を動かすのは優秀な人材であり、人材の確保のためには高い給与を出さねばならないと多くの企業が考えていることが分かります。物価上昇で苦しい中、賃金が上がる可能性はあるようです。
出典
総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)8月分
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
株式会社プレシャスパートナーズ 最低賃金の引き上げに関する実態調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部