更新日: 2022.10.12 その他

10年以上放置している預貯金は引き出せない? 休眠口座になるとどうなる?

10年以上放置している預貯金は引き出せない? 休眠口座になるとどうなる?
引っ越しなどで使わなくなった地銀の口座や、以前勤めていた会社の給与振込口座など、長期間使わないまま放置している金融機関口座がある人もいるでしょう。どこかで「休眠口座のお金は国に没収される」といううわさを聞いて、不安になった人もいるのではないでしょうか。
 
実際に、一定期間放置した休眠口座・休眠預金を民間の公益事業に分配して活用できる法律が施行され、取り組みがスタートしています。そこで本記事では、休眠口座になる条件やなった場合にどうなるのか、休眠口座になるまでの流れをまとめました。ぜひ一読して、不安や疑問を解消してください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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休眠口座(休眠預金)の条件

休眠口座・休眠預金とは、10年以上取引(異動)のない預貯金口座とそこに預けられた預貯金などのことです。取引としてみなされるのは、主に次のような手続きです(金融機関により異なる)。
 

・入出金
・手形や小切手の提示による第三者からの支払請求(金融機関が把握できるもの)
・通帳や証書の発行、記帳、繰越
・残高照会
・契約内容・顧客情報の変更
・借入金返済に利用する申出

 
長期間取引のない口座や預貯金が「休眠口座」「休眠預金」として扱われるようになった背景には、2018年1月に施行された「休眠預金等活用法(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)」があります。
 
この法律により、2009年1月1日以降10年以上取引がない銀行やゆうちょ銀行、信用金庫などの口座の預貯金などを「休眠預金」として、民間の公益的な活動を支援する資金として活用する取り組みがスタートしました。
 
休眠預金の対象となる口座とならない口座は、主に図表1のようなものです。
 
【図表1】

対象となる口座 対象外の口座
・普通預金、通常貯金
・定期預貯金、定額貯金、定期預金
・当座預貯金
・貯蓄預貯金
・外貨預貯金
・仕組預貯金
・財形貯蓄

政府広報オンライン「放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。」より引用

 

休眠口座になるとどうなる?

休眠口座となった口座の預貯金などは、休眠預金等活用法にもとづいて、国(金融庁)によって、預金保険機構に移管されます。その後、指定活用団体や資金分配団体などを経て、民間公益活動の助成金として活用される流れです。
 
しかし、休眠口座の持ち主が預貯金などを取り戻せなくなるわけではありません。口座の預貯金などが休眠預金になった後も、無期限で引き出しが可能です。そのため、SNSなどで目にする「没収される」というイメージには語弊があるといえるでしょう。
 
ただし休眠預金を引き出すには、金融機関に本人確認書類や通帳、キャッシュカードなどを持参して、金融機関所定の手続きをとる必要があります。手続きには時間と手間がかかることがあるため注意しましょう。また、休眠預金を引き出す際に現金で引き渡されるのか、元の口座を引き続き使用できるのかは、金融機関によって異なります。

 

休眠口座が預金保険機構に移管されるまでの流れ

休眠口座の預貯金などは、金融機関が休眠預金に関する預金者への通知と各金融機関のWEBサイト上での公告を行ったのち、預金保険機構に移管されます。各手続きの具体的な時期は、次のとおりです。
 

・通知:最後に取引があった日から9年経過~公告する日まで
・公告:最後に取引があった日から9年経過~10年6ヶ月を経過する日まで
・移管:公告をした日から2ヶ月経過~公告をした日から1年を経過する日まで

 
通知の方法は、郵送または電子メールです。通知が宛先不明にならず登録住所やメールアドレスに届くと、休眠預金にならず引き続き口座を利用できます。登録情報の変更がなされていないと、通知が届かずにいつの間にか休眠預金になる可能性があるため注意しましょう。
 
また、金融機関からの通知が行われるのは、預貯金などの残高が1万円以上の場合に限られます。残高が1万円未満や住所やメールアドレス変更の届けをしておらず通知が届かない場合は、金融機関が公告を行った日から2ヶ月~1年の間に移管が行われます。

 

預貯金口座は忘れないように管理しよう

休眠預金等活用法の施行により、金融機関の口座・預貯金を取引なしで10年以上放置すると、休眠口座・休眠預金として民間公益活動の助成に利用される仕組みが始まっています。休眠口座・休眠預金になってもお金が無条件に没収されるわけではありませんが、引き出しには手続きが必要となるため注意しましょう。
 
口座に1万円以上の残高がある場合、休眠預金として移管される前には必ず郵送や電子メールで口座の持ち主に通知が送られます。通知を受けとると休眠預金の対象でなくなるため、登録住所・メールアドレスの変更などの管理を怠らないことが、休眠口座にしないためのひとつの対策となります。

 

出典

政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
金融庁 休眠預金等活用法Q&A
一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 休眠預金等活用とは
預金保険機構 休眠預金等活用法の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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