更新日: 2022.10.12 その他
ねずみ講とマルチ商法はどう違うの? だまされない見分け方や注意点は?
そこで本記事では、ねずみ講、マルチ商法のそれぞれの仕組みや違法性について解説するとともに、見分け方や注意点をまとめました。違法なもうけ話にだまされないように、チェックしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
法律で明確に禁止されている「ねずみ講」
ねずみ講は正式には無限連鎖講といい、会員がそれぞれ組織外の人を2人以上勧誘することで、会員がピラミッド式に増えるビジネスのことです。多産のネズミが子孫を増やす様子になぞらえて「ねずみ講」とよばれています。
ねずみ講の特徴として、商品の売買ではなく金品の受け渡しが目的である点が挙げられます。新しい会員を入会させると、入会金の一部が紹介料として入り、残りはより上の階層の人に取り分がいく仕組みが一般的です。
ねずみ講は、最初はうまくもうかっているようにみえます。しかし、人口に限りがあることや勧誘がうまくいかないケースがあることなどによって、最後には必ずシステムが破綻し、多くの会員が損失を被ることになるビジネススタイルです。そのため、日本では「無限連鎖講防止法」という法律によって、ねずみ講を明確に禁止しています。
ねずみ講の事例
近年のねずみ講の事例として、インターネットを利用するケースが多くみられます。
摘発に至ったある事例では、「記載されている4人の会員に○円を振り込み、自分の銀行口座を一番下に書き加えたうえで多数の知人に転送してください」「これだけで銀行口座に自動的に多くの人からお金が振り込まれます」といった旨を記載したチェーンメールを送信し、一見ねずみ講とは分からないようなかたちで勧誘を行っていました。
このほか、SNSを利用したねずみ講も、最近では増えているようです。
厳しい規制のもと合法と認められている「マルチ商法」
マルチ商法は、連鎖販売取引に分類されるビジネスです。「会員になれば商品を割引価格で購入できるため、人に販売すると設けになる。さらに人を勧誘して入会に至れば紹介料が入る」などと言って、連鎖的に紹介者を増やすのが、よくみられるスタイルです。
マルチ商法は違法ではありません。しかし、特定商取引法によって次のような規制が設けられています。
・統括者・紹介者または業者の氏名(名称)や勧誘の目的などの明示
・商品の品質・性能、金銭負担、契約解除の条件などの重要事項に関して、事実の隠匿や虚偽を告げることの禁止
・広告の表示事項の規制
・誇大広告の禁止
・未承諾者へのメール広告の禁止
・契約時の概要書面と契約書面の交付義務
また、クーリングオフなどのルールも法律で整えられ、消費者が不利益を被らないよう厳しく規制されています。
マルチ商法の事例
マルチ商法の(独)国民生活センターへの相談事例には、次のようなものがあります。
・人に誘われて説明会へ行って、オンラインゲームのアカウント取得を勧誘する副業を契約したが不審なので解約したい
・投資の勉強会に参加すれば必ずもうかると誘われて入会したが、マルチ商法だったため入会金を取り戻したい
・子どもがマルチ商法の契約をしていて、商品を購入するために消費者金融を利用しているのでやめさせたい。
違法ではないものの、実際にはもうからなかったり金銭的な負担が膨れ上がったりすることがあることや、違法性のある方法で勧誘してくるケースも多いことから、マルチ商法には十分な注意が必要です。
ねずみ講とマルチ商法の見分け方
ねずみ講とマルチ商法の大きな違いは、ねずみ講が金銭配当を目的とした組織であるのに対し、マルチ商法は商品やサービスの販売を行う組織である点です。「勧誘して会員を増やせば金銭配当でもうかる」という誘いは、違法なねずみ講である可能性が高いため、安易にもうけ話に乗らないようにしましょう。
ただし、最近ではファンド型投資商品や副業などを取り扱う「モノなしマルチ商法」も増えています。いずれにせよ国民生活センターへの相談事例の多いビジネスであるため、判断に迷った場合は手を出さないことが、トラブルから身を守る方法です。
合法なマルチ商法にも問題点があることに注意
合法なマルチ商法にも問題がないわけではありません。「商品やサービスを契約したもののもうからず、借金が残る」「勧誘をしたことでトラブルになり人間関係が崩壊する」といった事態に陥りやすいため注意が必要です。
マルチ商法に手を出して問題が起きた場合は、一人で悩まずに地方自治体の消費生活センターや国民生活センターなどの機関に相談しましょう。
甘いもうけ話は警戒することがトラブル回避につながる
ねずみ講とマルチ商法の最大の違いは、ねずみ講は違法、マルチ商法はルールを守っているかぎり合法である点です。また、ねずみ講は金銭の配当を扱っているのに対して、マルチ商法は商品やサービスの販売を行っているケースが多いという違いもあります。
両者を見分けて違法なねずみ講にだまされないようにするのはもちろんですが、マルチ商法もトラブル事例が多いため、マルチ商法ならよいとは言い切れません。トラブルを避けるには、甘いもうけ話には最初から関わらないという心構えも大切です。
出典
e-Gov法令検索 無限連鎖講の防止に関する法律
総務省 国民のための情報セキュリティサイト 事例10:メールの儲け話に注意
消費者庁 特定商取引法ガイド 連鎖販売取引
独立行政法人国民生活センター マルチ取引
東京都消費生活総合センター 東京くらしねっと その話、本当に儲かりますか?~マルチ商法のわな~
消費者庁 第1部 第1章 第4節 (5)マルチ商法に関するトラブル
独立行政法人国民生活センター 友だちから誘われても断れますか?若者に広がる「モノなしマルチ商法」に注意!
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部