更新日: 2022.10.11 その他

この10月から雇用保険料がいくら上がった?

この10月から雇用保険料がいくら上がった?
失業した際の失業給付などが受けられる雇用保険制度。雇用保険制度の給付を受けるためには在職中、一定期間雇用保険に加入する必要があり、雇用保険の被保険者として加入すると、毎月雇用保険料を負担することになります。2022年10月より、その雇用保険料が上がりました。どれくらい増えることになるのでしょうか。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

雇用保険料の計算方法

所定労働時間が週20時間以上で勤務するなど一定の条件を満たすと、雇用保険の加入対象となります。雇用保険の被保険者は雇用保険料を負担し、給与明細を見ると雇用保険料が控除されています。
 
雇用保険料は賃金総額(基本給の他、手当、賞与も含む総支給額)に雇用保険料率を掛けて計算しますが、賃金に掛ける雇用保険料率は被保険者負担分(労働者負担分)と会社負担分(事業主負担分)に分かれています。被保険者(労働者)にとって気になるのは、労働者負担分の保険料率となるでしょう。
 

労働者の保険料が増えるのは2022年10月から

その雇用保険料率は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって雇用調整助成金の給付が増え、結果、雇用保険財政が悪化したことから、2022年度に引き上げが行われることになりました。
 
その雇用保険料率について、まず2021年度は【図表1】のとおりで、労働者負担分は賃金の3/1000(0.3%)あるいは4/1000(0.4%)でした。
 

 
そして、【図表2】のとおり、2022年度になって保険料率は変わることになり、2022年度は4月(【図表2】1)と10月(【図表2】2)の2度変わります。
 

 
【図表1】と【図表2】1を比較して明らかなように、2022年4月~2022年9月までの労働者負担分については、2021年度の労働者負担分と比べて変化がありませんでした。しかし、2022年10月になると、労働者負担分の保険料率がすべての事業で2/1000(0.2%)ずつ引き上げとなっています。
 

保険料率が上がると保険料はいくら増える

保険料率の引き上げの結果、どれくらい負担する保険料の額が変わったのでしょうか。
 
例えば、賃金が月額30万円で一般の事業の場合、雇用保険料は2022年9月までは月額900円(30万円×3/1000)だったのに対し、2022年10月からは月額1500円(30万円×5/1000)になりました。月額で600円上がっていることになります。月額では600円かもしれませんが、6ヶ月では3600円も多くなることになる計算です。賃金が30万円より高い人はさらに保険料も高くなることでしょう。
 
2023年4月以降の雇用保険料率はまだ決まっておりませんが、この2022年10月から雇用保険料がどれくらい増えたかを給与明細で確認してみましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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