更新日: 2019.01.08 その他
友達に貸したお金が返ってこない!?貸しているお金には「時効」が成立するってマジ?
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民法では一定期間続いた事実状態の尊重,行使しない権利は保護に値しない,長期間そのままになっている権利は立証が困難である
といったことなどを理由に「時効」という制度が定められています。
つまり、お金を貸したものの、まぁ良く知る仲だしいいか…。と、長期間返してもらっておらず、その呼びかけすらしていないお金は時効となってしまい、本当に返してもらえなくなってしまう可能性があるのです。
それでは、時効についてトラブルのあったAさんの例をもとに、時効の制度について勉強していきましょう。
![柘植輝](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2017/11/39h8jtBb_400x400-e1498208749762.jpg)
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
15年前友人であるBさんにお金を貸したAさん
15年前、Bさんは事業に失敗してしまい、路頭に迷う寸前の状態でした。
そんなとき、AさんはBさんに対し、生活を立て直すための資金として100万円を貸しました。
その際、BさんはAさんに対し「何年かかっても必ず返す。だからせめて今は誠意だけでも示させてくれ」とAさんの間で次のような内容の契約書を交わしました。
・Aさんから100万円を借りたこと
・時効については放棄すること
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返済を促したら拒まれてしまった
ある日、Aさんは15年前にBさんへ貸していたお金について思い出しました。幸いにも、現在のBさんは生活を立て直しており、安定した生活を送っていました。
そこで、AさんはBさんに対して「あのときの100万円、そろそろ返してくれてもいい頃合いじゃないか?」と返済を促しました。
するとBさんは「何年前の話だよ。今更時効だろう。」と反論し、後日その旨の内容証明郵便を送ってきました。
さて、民法上、お金の貸し借りはいつ時効となるのでしょうか。
また、今回Bさんは時効を放棄する旨の契約書を作成していますが、それでもなお時効について主張することができるのでしょうか。
債権は10年で消滅時効にかかります
民法上、債権は10年間で消滅時効にかかり、消滅してしまいます。
お金を返してくれという権利はまさに債権であり、10年で時効となり、消滅してしまいます。ただし、途中で請求や差し押さえなどがあれば、その時点で時効は中断され、消滅までのカウントがリセットされます。
ところが、AさんとBさんの間では15年もの間、貸したお金についてのやり取りは一切ありませんでした。
であるならば、時効は当然のことながら中断されておらず、10年の期間経過によって、AさんのBさんに対する金銭債権は消滅していることとなります。
時効の利益はあらかじめ放棄することができない
また、民法上、時効の利益はあらかじめ放棄することができなくなっています。逆に、時効が完成した後であれば、放棄をすることが可能になります。
今回、Bさんが時効を放棄したのはお金を借りた時点であり、その時点ではまだ時効が完成していません。
時効は完成前に放棄することができないため、Bさんの時効における利益は放棄されていないこととなります。
AさんはBさんからお金の返済を求めることができません
今回、AさんとBさんとの間で行われたお金の貸し借りは15年前の出来事であり、債権の消滅時効である10年が経過しています。その間一切請求や差し押さえといったことはありませんでした。
そのうえ、Bさんのした時効の利益の放棄は、時効の完成前であり、効果を生じません。
と、するならば、AさんからBさんへの金銭債権は消滅時効にかかっており、Bさんは時効の効果を援用して返済を拒むことができます。
その結果、AさんはBさんに貸したお金を返済してもらうことができません。
もし、今回の事例において、Aさんがお金を返してもらおうとするのであれば、時効の完成する前に、請求や差し押さえなど、何らかの手段を講ずるべきでした。
貸したお金が返してもらえないということになってしまわないよう、時効については十分注意しておきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー