飼い犬がトンビに襲われた!法的責任はどこ?飼い主の義務は?
配信日: 2018.03.31 更新日: 2019.09.03

カラスが生まれたばかりの子猫をさらうことがあるように、カラスよりも大きいトンビが小さなわんちゃんをさらうことは不可能とは言えません。
悲しい被害に遭ってしまった、E子さんの事例を見てみましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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執筆者:池田理明(いけだみちあき)
弁護士/東京桜橋法律事務所
第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。
座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。
目次
E子さん一家の新しい家族は、愛らしい小型犬のチワワ
E子さんは東京近郊に住んでいます。小学生の息子からずっと犬をねだられていたE子さんは、かわいいチワワを飼うことにしました。
新しい家族となった子犬は、まだ生後7カ月。
はじめは犬を飼うことに反対していたE子さんですが、子犬のあまりのかわいらしさに、今や家族の誰よりもメロメロです。
最近はチワワの体もやっとしっかりしてきたため、リードをつけて散歩できるようになりました。晴れた日は海辺近くの公園で散歩させています。
海辺の公園で散歩させていると、チワワの身に信じられない悲劇が…!
その日もE子さんは朝ごはんを食べた後、子犬を連れて海辺近くの公園へ散歩に行きました。
広い野原にE子さんとチワワ、そしてゆうゆうと空を飛ぶトンビ…とてものどかな光景です。E子さんは子犬のリードを外しました。
「ほら、好きに走り回っていいのよ」
はじめはおびえてその場を動かなかった子犬でしたが、徐々に勢いをつけて走りはじめました。野原を自由に駆け回る愛犬を見て、E子さんはほほ笑みました。
そして、少し遠くに離れてしまった子犬を追いかけようと、E子さんが足を踏み出したそのときです―
黒い影が急降下したかと思ったら、すごい勢いでチワワをさらっていきました。
E子さんは一瞬何が起こったのかわからず、石のように固まりました。「やめて!!」E子さんは影が飛んでいく方へ走りだしましたが、しばらく追いかけると、その姿は見えなくなってしまいました。
トンビは、一瞬の内に子犬をさらっていきました。E子さんはそれから数カ月、毎日公園を訪れてはその周辺を探してみましたが、チワワは見つかりませんでした。
E子さんはリードを外した自分を責め、家族も悲しみに暮れています。
*本ストーリーは実話を基にして作られたフィクションです
E子さんのようなケースが起きた場合、公園の施設管理者に何らかの法的責任はないのでしょうか、東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。
野生のトンビによる被害ですので、基本的には、法的責任を問いにくいところです。
ただ、その公園内において、手に持っている食べ物や子犬がトンビにさらわれる被害が数多く発生しているような場合、施設管理者には、利用者が施設を安全に利用できるように配慮する義務として、利用者に対して注意を喚起する義務が発生する場合も考えられるでしょう。
被害の頻度が多く危険な状態であるにも関わらず、全く注意喚起が行われていない場合は、施設管理者に対して損害賠償を請求できる可能性もあります。
まずは、このような悲しい出来事が二度と起きないように、K子さんが、公園の施設管理者に、注意喚起の看板設置を働きかけるのはひとつだと思われます。
ペットを外に連れて行くときは空にも注意を払おう。できるだけ遠くに離れないことも大事
トンビが子犬をさらうということは、他にも事例が見られ、起こりうる出来事のようです。さらっていくまでではないにしても、カラスをはじめとした大型の鳥が、小動物や子犬、子猫を襲うことは珍しくありません。
小さな動物を外に連れ出すときは、空の鳥にも注意を払いましょう。また、人間が近くにいれば襲われる可能性は低くなります。
できるだけ遠くに離れないようにして、危ないと感じる場所ではリードを外さず、すぐに抱きかかえられるようにしましょう。
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/
IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応