更新日: 2020.05.21 その他
新生活の春。辞令によって「単身赴任」か「帯同」を迫られた家庭 決断のポイントとは
ですが、春は転勤シーズン。2人口で暮らしていたはずが、会社からの辞令により「単身赴任」か「帯同」を迫られた家庭もあるのではないでしょうか。
単身赴任になる可能性がある職場に勤めている場合、どんなことを考えておけばいいでしょうか。
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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単身赴任になった場合の生活費とは
転勤という言葉が出たときに、まず心配になるのは「ついていくか」「離れて暮らすか」ということではないでしょうか。いずれにしても『お金』の問題が頭をよぎります。
まずは、単身赴任でご主人が1人で暮らすことになった場合の生活費の目安を見てみましょう。
「総務省統計局 家計調査報告」における単身世帯の家計収支(※)によると、単身世帯の支出は16万円程度となっています。
食費 3.9万円
住居 2.0万円
水道光熱費 1.1万円
日用被服 1.1万円
医療 0.7万円
交通通信 1.9万円
娯楽 1.8万円
その他 3.5万円
これは単身赴任者のみではなく、全単身世帯(1人暮らし)のデータとなっており、全年齢の平均値となっています。35歳〜59歳の現役世代の1人暮らしに絞った場合は約19万円が平均です。
※総務省統計局 家計調査報告
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.htm
単身赴任したことでもらえる手当
「厚生労働省 就労条件総合調査」(※)によると、単身赴任手当・別居手当などは約4.6万円程度となっています。しかし単身赴任をすることに対する会社からの手当てというのは、それぞれの会社によって大きく変わります。
家賃は会社が負担し、自分は数千円だけを給与から天引きで支払ったり、住居手当として給付されたりすることもありますので、会社の規定をよく調べたいところです。
また、給与に加算して手当てがつく場合は、年収が上がり税金や保険料の負担が上がることもあります。給付された額すべてが、単身赴任の生活費に充てられるわけではない可能性も考えておきましょう。
※厚生労働省 就労条件総合調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html
人によって違う、かかる費用・かからない費用
単身の生活費は平均から、単身赴任の手当ては会社の規定から調べることができますが、かかるお金は人それぞれです。自炊ができる場合は、食費はそれほどかからないかもしれません。
自宅からの距離によっては、帰省の回数や交通費も違ってきます。定期的に連絡が取れればいいという家庭もあれば、やはり顔を見て話したい、コミュニケーションを取りたいという家庭もあると思います。
データはあくまで参考程度で、実際にどんな暮らし方になるのかをシミュレーションしましょう。
経済的合理性だけで判断しない
転勤が期間限定で、また自宅から通える勤務地に戻れるのか、どれくらいの期間で戻れるのか、それとも転々としていくのか……。これも会社や立場によっていろいろです。
別々に暮らすことになれば、一緒に暮らしているときに比べてお金がかかるケースがほとんどです。ですが、共働きの場合などは帯同することで妻が離職し収入が激減。一家で引っ越すことで引っ越し代がかさむ一方、ということもあるでしょう。
持ち家があるのか、子どもの年齢は、子どもの希望は、妻の就労状況は、今後の転勤の予定は、期間は……。たくさんの複合的な条件を考えて決める必要があるはずです。
もちろん将来の貯蓄のことを考えたら、より支出が少ない方法を選ぶのがいいのかもしれません。ですが、経済的な合理性だけを追い求めて決定してしまうと、どこかで無理が生じてしまうはずです。
家族はやっぱり一緒にいたい。子どもの教育を考えたら単身赴任で。などいろいろな考えがあると思います。どれが正解でどれが間違っている、というものではありません。
お金は「幸せに暮らす」ためのツール。自分や家族が幸せな暮らしをすることを、ずっと我慢してお金を貯めるのでは本末転倒です。
どちらをとっても、予期せぬことは起こるものです。不安や悩みも尽きることはないでしょう。ですがそんなとき「あのときたくさん話し合って出した結論だった」と思えるかどうかは大きいはずです。
単身赴任か帯同かのモノサシを「お金」だけにせず、今できるベストを選び取ったと思えるところまで、家族で話し合うことができるといいと思います。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催