更新日: 2020.04.07 その他

元恋人からの嫌がらせ もし被害にあったらどうすれば?悪質な場合は慰謝料をとれる?

元恋人からの嫌がらせ もし被害にあったらどうすれば?悪質な場合は慰謝料をとれる?
男女のトラブルの中には、元恋人が別れたとたんに豹変して、ストーカー行為や嫌がらせに走るケースもあります。

被害を受けた場合、どうすればいいのでしょうか。慰謝料は受け取れるのでしょうか?

元彼からしつこく嫌がらせをされた、彩花さんの例を見てみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

「別れたい」と切り出したが、恋人のN島さんは納得してくれなかった

大学生の彩花さん(21歳)は、3カ月前に恋人のN島さん(22歳)と別れました。
 
彩花さんとN島さんの出会いは、彩花さんのバイト先です。お客さんとしてきたN島さんが彩花さんに一目ぼれし、告白したことでお付き合いが始まりました。しかし、彩花さんは付き合って1カ月ほどで束縛が激しいN島さんに嫌気が差し、別れを告げることとなりました。
 
彩花さんはN島さんと直接会って「別れたい」と気持ちを伝えましたが、N島さんは納得してくれなかったそうです。
 

毎日数十件の着信…バイト先に現れ、ネットで誹謗(ひぼう)中傷も

彩花さんが別れを告げると、N島さんから毎日数十件の着信やメールが届くようになりました。着信拒否にしたところ、今度は彩花さんのバイト先のカフェに姿を現すようになりました。
 
らちがあかないと思った彩花さんは、バイトの後に時間を作って、もう一度はっきりと「もう会いたくない」と伝えました。
 
それから、しばらく姿を現さなくなったN島さんでしたが、大学の友人から「彩花のことがネットに書き込まれてるよ」と教えられました。
 
驚いた彩花さんが書き込みを見てみると、彩花さんのフルネームと住所、誹謗(ひぼう)中傷が書かれていました。「きっとN島さんだ…」彩花さんはぞっとしました。
 

「N島さんが見てる気がする…」バイトを辞め、外にも出られなくなった彩花さん

しばらくするとまたN島さんは彩花さんのバイト先に現れました。店内には入らず、窓の外から彩花さんをじっと見つめていたそうです。
 
彩花さんは常にN島さんにつけられているんじゃないか、見られているんじゃないかという恐怖心から、バイトを辞めることになりました。また、外に出るのも怖くなり、精神的な負担感から、最終的に心療内科に通ったと言います。
 
このように、別れた恋人から嫌がらせを受けた場合はどうすればいいのでしょうか。
 
また、誹謗(ひぼう)中傷の慰謝料、膨大な連絡による通信費や家を引っ越さざるを得なかった場合の引っ越し代の請求などは支払ってもらえるのでしょうか。東京桜橋法律事務所弁護士の池田理明先生にお伺いしました。
 

まずは警察に相談。それでも収まらなければ裁判所で「接近禁止命令」を出してもらおう

このようなケースでは、まず警察にすぐ相談するべきです。嫌がらせの証拠があれば、それも持っていくと話が早いと思います。
 
その後、必要であれば裁判所に「接近禁止命令」を出してもらいましょう。接近禁止命令を含む「保護命令」に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
 
ただ、ほとんどの場合は警察に行けば収まるかと思います。警察に相談し、警察に動いてもらうことで加害者も通報されたことに気づき、身を引くことが多いと感じます。そのため、接近禁止命令などの裁判手続にまで至るケースは多くはありません。
 
とは言っても、悪質な事例が存在することも確かです。その場合は慰謝料を請求することが可能になります。
 
しつこい電話やメールなどでかかった通信費や、引っ越さざるを得なかった場合の引っ越し代、心身に影響があった場合の治療費なども損害賠償の範囲に含まれる場合があります。金額の相場は、嫌がらせの質や頻度などでケース・バイ・ケースです。
 
また、氏名住所などの個人情報がネットに掲載された場合や誹謗(ひぼう)中傷された場合には、プロバイダー責任制限法に基づいて削除を要請することができますし、Googleの規約に基づきGoogle検索によって検索されないように要請することもできます。
 

無くならないストーカー行為・嫌がらせ。一人で抱え込まずに助けを求めよう

池田先生のお話によると、このようなストーカー行為、嫌がらせの被害を受けた方からの相談を受けることもあるようです。
 
年齢は20代~30代の若い世代が中心で、中には50代の女性が元恋人から嫌がらせを受け、女性の家族にまで被害が及んだというケースもあるそうです。
 
痴情のもつれからのストーカー被害や嫌がらせは、誰しも巻き込まれる可能性があります。もしそのような状況になってしまった場合は、一人で抱え込まずにまず警察に相談し、実家や友人の家に身を寄せる、一人で出歩かないようにするなどして、身近な人に協力してもらいましょう。
 
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/

IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応

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