更新日: 2019.01.11 その他

東京オリンピック後の選手村に住むことはできるの?

執筆者 : 松浦建二

東京オリンピック後の選手村に住むことはできるの?
東京オリンピックの選手村が晴海(東京都中央区)にでき、大会後は大部分が一般の住宅になる予定です。

一生に一度あるかどうかの地元開催の五輪で、一流アスリートが利用した選手村をマイホームにできるチャンスがあるなら、実現させたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

五輪後に選手村に住むには、どうしたらよいか考えてみました。
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

五輪選手村は大会後に分譲・賃貸住宅になる

東京都都市整備局のホームページを確認すると、選手村(晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業)にできる住宅は24棟5650戸となっています。下記は2020年東京五輪後の選手村のイメージ図です。
 


資料:東京都都市整備局より
 
中央にある2棟の50階建て超高層マンションは選手村として使わず、建築されるのは五輪後になります。
 
筆者はこの図を見たとき、東雲キャナルコートのような感じになるのではないかと思いました(ただの直感です)。
 

東雲キャナルコート 2017年4月筆者撮影
 
東京都江東区にある東雲キャナルコートは、UR等がつくったマンション群です。
 
晴海と同じ様に十数階のマンションと超高層マンションの組み合わせで、新国立競技場を設計した隈研吾さんも一部設計を担当しており、デザイン性の高いマンションが連なっています。
 

選手村の分譲価格は1億円程度か!?

1998年長野五輪のときは、選手村は大会後に分譲住宅や賃貸住宅として一般の人が住めるようになりました。今回の東京五輪も、大部分が分譲住宅か賃貸住宅になる予定です。
 
大会後のリフォームや選手村としての付加価値等から、一般的な分譲価格や賃料より少し高くなるかもしれません。
 
分譲の場合、選手村に近い場所の新築マンションや中古マンション(築5年以内)は、現在の相場が1㎡あたり100万円~150万円程度で、100万円を超えるのが当たり前のような状況です。
 
売り出される選手村が仮に120万円/㎡で80㎡だとすると、価格は9600万円(120万円×80㎡)にもなり、買える人がかなり限られる価格帯になってしまいます。相場が下がったとして単価を3割下げ、買いやすいよう面積も2割小さくして計算すると、5376万円(84万円×64㎡)になります。
 
賃貸の場合、中古マンション(築5年以内)の周辺相場を確認すると、3000円~5000円/㎡程度に価格設定しています。仮に3000円/㎡で80㎡だとすると、月額家賃は24万円になります。賃貸でも気軽に借りられる価格設定になるのは難しそうです。
 
価格設定が強気になる要素
・今は過去に比べて比較的高めの相場になっている
・金利が低いので購入者の住宅ローン返済額が抑えられる
・選手村としての付加価値を付けられる
・住所が東京都中央区である
 
価格設定が弱気になる要素
・戸数が多いので、価格設定を誤ると大量に売れ残ってしまう
・五輪後の景気は今より悪くなっているかもしれない
・近隣に類似物件が増えて供給過多になる
・利便性が良いとは言い切れない
 
特に気になるのが利便性です。選手村からの最寄り駅は大江戸線の勝どき駅ですが、駅寄りにある晴海五丁目交差点からでも徒歩10分以上かかり、周辺人口の急増で勝どき駅はすでにかなり混雑しています。
 
都心とBRT(Bus Rapid Transit)で結んでアクセスをよくする計画がありますが、バスの整備だけで劇的に改善するとは思えません。
 


開通前の環状2号線 2018年2月筆者撮影
 
まだ分譲・賃貸されるまで2年以上あります。住めるものなら選手村に住みたいと思う人は、それまでに資金準備を確実にしておきましょう。そして、現地へ何度も足を運んで情報集めをしていくとよいでしょう。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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