今年1月から退職金の制度が変更。勤続年数5年以下の退職金が減る可能性は?
配信日: 2022.02.27
ところがそれを利用して、短期間の勤務で退職金として報酬を受け取ることにより、税負担を軽くする、つまりは租税を回避するという例が近年問題視されています。
そこで、今回退職金の計算方法が改正され、令和4年1月1日から施行されることとなりました。これにより、法人の役員等だけでなく、従業員についても勤続年数5年以下の短期の退職金については、2分の1課税の適用を除外することになっています。
つまり、5年以下の勤務の場合、退職金の金額によっては、税金が増え、もらえる額が実質減る場合が出てくることがあります。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金の制度変更を知らない人が8割
それでは、退職金の制度が変わることについては、どの程度知られているのでしょう。
株式会社日本マーケティングリサーチ機構(東京都新宿区)は、2022年1月に、日本全国の10~70代の男女を対象に「退職金制度」に関する調査を行い、有効回答数1030件を集めました(※)。
今の仕事を5年以上続けようと思うか聞いたところ、56.04%が「続けようと思う」と回答する一方で、17.08%が「続けようと思わない」と回答しました。さまざまな事情があるでしょうが、長期の勤務をするつもりがない人は一定数いるようです。
2022年度分以降、勤続5年以下の人の退職金が減ることを知っているか尋ねたところ、「知っている」が19.59%、「知らなかった」が80.41%となり、8割の人が制度変更を知らなかったことが明らかとなりました。
制度変更で働く意欲が上がった人が3割
退職金の制度が変更したことによって今の仕事を5年以上続けようと思うか尋ねると、「5年以上続けようと思う」が60.14%、「5年以上続けようか悩んでいる」が15.49%と、5年以上働くことを検討する人が75.63%となりました。制度変更に関わらず、「5年以上続けたくない」(10.25%)、「なるべく早く辞めたい」(12.30%)という人も2割以上いるようです。
退職金の制度が変更したことによって長く働く意欲は上がったか聞いたところ、「あまり変わらない」が58.09%と最も多いものの、「働く意欲がとても上がった」が17.31%、「働く意欲が少し上がった」が12.30%と、約3割の人が働く意欲が上がったと回答しました。
まとめ
キャリアアップを考えたり、時には職場が合わないなどの理由で退職することがあります。退職すると退職金が出ますが、短期間で退職する場合は退職金が出なかったり、出たとしても少額であることがほとんどです。
今回の制度変更については、主に高給取りで制度を逆手にとっている人への対策と思われ、多くの人にとってはあまり関係のないことかもしれません。退職手当については5年勤務のルールがあるという制度を、知識として覚えておくといいのではないでしょうか。
出典
※株式会社日本マーケティングリサーチ機構
2022年度分以降、勤続5年以下の人の退職金が減額。80%以上が”知らなかった”という結果に。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部