更新日: 2020.04.07 その他

お金を返さない友人に「返せ!」と強く迫ったら脅迫だと慰謝料を請求された。この請求は認められる?

お金を返さない友人に「返せ!」と強く迫ったら脅迫だと慰謝料を請求された。この請求は認められる?
友人にお金を貸したけれども、なかなか返してくれない。そんなとき、あなたならどうしますか?

強く返済を迫りますか? それとも、友情を壊したくないと、返済には触れずにいますか?

例えば、知人にお金を10万円貸したとしましょう。しかし、いつまでたっても返してくれません。借りた方の友人の対応も不誠実です。しびれを切らし返済を強く迫ったら、「脅迫だ!訴えてやる」と逆上されたという事例を、今回は紹介していきたいと思います。

果たしてこのような場合、法的にはどのように解釈されるのでしょうか。

程度によっては、脅迫罪が成立し、慰謝料を払わなくてはならない事もありえるのでしょうか?
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

大学時代の友人に10万円貸す

32歳会社員、高志(仮名・たかし)さんの事例を紹介していきたいと思います。
 
高志さんと大学時代の友人Kさんとは、数か月に一度会っては楽しくお酒を飲み、近況報告をしあう仲でした。
 
ある日、いつもの場所でお酒を飲んでいたとき、高志さんは、Kさんからいきなり10万円貸してくれないかと相談を受けました。
 
理由を聞くと、友人の結婚式のご祝儀が重なったことと、最近ひそかに思いを寄せていた女性と付き合うことができ、だいぶデート代につぎ込んだため、お金が足りなくなったとのことでした。
 
高志さんは、旧友の頼みですので、10万円を貸してあげました。
 
ところが、貸したお金を返すと約束した日を過ぎてもKさんは一向に返すそぶりを見せません。毎月、メール、電話で催促する高志さん。それに対してKさんは、ちょっとまってくれの返答ばかり。
 
3カ月たったころには、メールの返信もなく、電話にも出ない状態になってしまいました。いつのまにか、定期的に行っていた夕食会もなくなっています。
 
半年がたち、さすがに高志さんも困り果て、自宅に行き、返済を求めました。
 
すると、借りているKさんの態度が悪く、誠意もみられない状態でした。さすがの高志さんもキレて、怒鳴りながら返済を迫り、けがにこそ至らなかったものの、お互いの肩を突き飛ばしあう小競り合いになってしまいました。
 
すると、なんと、Sさんは人が変わったように、借金取り立ての脅迫で訴えると逆ギレしてきたのです。
 
後日分かりましたが、Kさんは、彼女にふられてしまい「ヤケ」になっていたようです。
 

返済を強く迫ることは脅迫行為?

果たして、今回の高志さんのように、友人に貸したお金を強く取り立てた場合、脅迫行為として、逆に訴えられてしまうことはあるのでしょうか。東京桜橋法律事務所弁護士の池田理明先生にお伺いしました。
 
お金を貸していたといえども、威圧し追い詰めて返済を請求した場合は、脅迫罪にあたる可能性があります。
 
以前、大手貸金業者が強引な取り立てを行い、社会問題となったのと同じで、個人でもやりすぎは脅迫行為にあたる場合があります。
 
警察に通報しても、民事不介入といわれ、取り合ってくれないケースも多く、実際には、今回のようなケースで脅迫の嫌疑で捜査がなされることは少ないでしょう。
 
ただし、刑事事件にならなくとも、民事上の慰謝料請求は成立し得ます。
 
例えば、貸した側の言動を携帯電話のボイスレコーダーに録音され、その内容が、明らかに借り手を威圧して、脅迫していると判断されるような場合であれば、民事上の慰謝料請求が認められる可能性があります。
 
ただしその場合でも、当然、借金の返済義務がなくなる訳ではありません。友人関係のお金の貸し借りは、トラブルのもとですので、安易な貸し借りは極力さけることをお薦めいたします。
 
著:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/

IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応。


 

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