更新日: 2019.01.11 その他

分譲マンション購入者の平均年収は835万円 どこから移り住んでいるのか

分譲マンション購入者の平均年収は835万円 どこから移り住んでいるのか
2020年に五輪が開催される東京の中心部は建設ラッシュです。しかし、人口は減少し、新設住宅戸数も減少している時代に、誰がマンションを買っているのでしょうか? 国土交通省の調査から、気になるポイントを2つ挙げてみました。
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

マンション購入者の年収が上昇している

分譲マンションを購入している人の、世帯年収が最近の5年で急上昇しています。下記グラフは、国土交通省の平成28年度住宅市場動向調査報告書から、分譲住宅(分譲戸建・分譲マンション)、および中古住宅(中古戸建・中古マンション)を購入した人の、平均世帯年収の推移をまとめたものです。
 


 
住宅購入者の平成28年度の平均世帯年収は、分譲戸建646万円、分譲マンション835万円、中古戸建634万円、中古マンション650万円となっています。
 
分譲マンションは、平成24年の段階では分譲戸建よりも平均世帯年収が低かったですが、4年間で188万円も上がりました。高所得世帯が分譲マンションを好んでいるのか、分譲マンションが高所得でないと買えないほど値上りしてしまったのかはわかりませんが、高所得ではない世帯にとっては望ましくない状況になってきています。
 
中古マンションも幾分上昇傾向にあり、平成25年度に中古戸建を逆転しています。世帯年収からは、高所得者がマンションを積極的に買っていると推測できます。

賃貸住宅の入居者を奪い合っている

下記の表は、新たに住宅(注文・分譲・中古)を購入した人や賃貸に入居した人が、住み替え前にどのような住宅に住んでいたかをまとめたものです。マンションに限らず戸建ても含みます。
 


 
マンションが多く含まれる中古住宅を見てみると、48.1%が民間賃貸住宅から移り住んでいます。ほかに公営賃貸住宅(12.7%)や社宅(7.8%)等、借りている家から移ってくる人が多く、持ち家から移り住んでいるのは11.7%しかいません。20~30歳代でとりあえず賃貸住宅や社宅に住んでいた人や、子どもの頃から継続して親と同居していた人が、結婚などを期にマンション等を買っているイメージでしょうか。
 
居住形態からは、今まで賃貸住宅に住んでいた人や親と同居していた人が、マンションを多く買っているといえます。
 
賃貸から所有(分譲や中古住宅等)へ移り住む人は多いですが、逆に所有から賃貸へ移り住む人の割合は11.7%しかありません。賃貸住宅に移り住んでくる人も半数が民間賃貸住宅からとなっています。
 
つまり、所有と賃貸の間で人が上手く循環しているのではなく、所有も賃貸も多くが賃貸住宅からの人的供給で成り立っています。人口が減り始めた日本、賃貸住宅の入居者が目に見えて減ってきたら、マンション業界(分譲や中古住宅)も大きく影響を受けそうです。
 
TEXT:松浦建二 CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

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