【相談事例】自営業の夫と会社員の妻、マイホーム購入に潜む3つのリスクとは?(3)
配信日: 2020.03.06 更新日: 2020.03.18
今回は、3つ目の「子どもの教育費負担増加リスク」についてお伝えします。
執筆者:下田幸彦(しもだゆきひこ)
ファイナンシャルプランナー(AFP)
ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員二種・FP事務所・青い森マネードクターズ 代表
青森県出身。大学卒業後IT企業に入社。金融系システム構築をきっかけにFP資格を取得。
保険ショップ店長、東証一部上場ハウスメーカー金融担当者を経て2016年独立。
10年にわたる保険業界と住宅業界の経験をもとに、保険などの金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を重視した中立な立場のアドバイスを行っています。
個別相談を中心に企業や学校へのマネーセミナー、各メディアへのコラム執筆も担当。
FP事務所・青い森マネードクターズ公式運営サイト
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子どもの教育費負担増加リスク
「子どもの教育費負担増加リスク」とは、子どもの進学に伴い、家計負担が増すリスクのことを指します。近年は教育費に対する給付金の拡大、充実がされています。
しかし、教育費がまったくかからないという訳ではありません。思った以上に子どもにお金がかかり、ローン返済が苦しくなってしまう、といった事態を避けるためにも教育費について理解しておきましょう。
子どもの教育費は全て無料ではない
子どもの教育費には、現在さまざまな支援金や給付金制度があります。「保育園・幼稚園」では、令和元年10月1日から「幼児教育・保育の無償化」(※1)により、3~5歳児クラスの幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償になりました(0~2歳児クラスは住民税非課税世帯が無料)。
ただし、無償化の対象はあくまで「利用料」です。通園送迎費・食材料費・行事費などは保護者負担のため、ある程度の家計負担が発生します。
次に小・中学校ですが、公立の場合、授業料はかかりません。しかし、修学旅行の積立金や学用品、学校納付金、通学交通費、実習材料費などの費用はかかるため、子どもが小中学生のうちも家計負担は発生します。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」(※2)によると、小学校(公立)の学校教育費と給食費を合わせた金額は年間10万6830円(学校教育費6万3102円、学校給食費4万3728円)、中学校(公立)は年間18万1906円(学校教育費13万8961円、学校給食費4万2945円)となっています。
さらに習い事や部活動、学習塾に通う場合、家計の負担は増すことになります。
高校では「高等学校等就学支援金制度」(※3)により、国公立高校の場合は授業料負担が実質0円となっています。また、私立高校の授業料は、保護者などの所得によって支給額は異なりますが、支給される仕組みとなっているため、家計の負担は軽くなっています。
しかし、やはり授業料以外の、学習塾や部活動、子どもへのお小遣いは家計からの支出となるため、これらを利用する場合、家計負担は増加します。
大学進学については「高等教育の修学支援新制度」(※4)があります。この制度は「大学・短期大学・高等専門学校・専門学校」に進学する「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯」の学生を対象に、授業料などが減免される「授業料等減免制度」と将来返還が不要な「給付型奨学金」が利用できるものです。
ただし、利用者、保護者、学校それぞれに要件が定められており、適用にならない場合は入学金や授業料などはそのまま家計負担となりますので、早めの準備が必要になります。
このように、教育費負担軽減に向けた国の各種給付金、無償化制度により、以前と比べ家計負担は軽くなっています。しかし、授業料以外の費用もかかることを念頭に、家計のバランスを取りましょう。
まとめ
全3回で自営業の夫と会社員の妻のマイホーム購入に潜む3つのリスクについてお伝えしました。これら3つのリスクを回避するために、マイホーム購入前にライフプランニング(将来の家計シミュレーション)を行い、無理のない予算を確認してみてはいかがでしょうか。
[出典]
(※1)内閣府「幼児教育・保育の無償化はじまります。」
(※2)文部科学省「結果の概要-平成30年度子供の学習費調査」
(※3)文部科学省「高等学校等修学支援金制度」
(※4)文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
※2020/03/18 タイトルを一部修正させていただきました
執筆者:下田幸彦
ファイナンシャルプランナー(AFP)