更新日: 2019.12.20 キャッシュレス
ICカード決済に追いつく? QRコード決済ってどんなもの?
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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目次
多様化しているお買い物の決済手段
これまで日本は現金決済が主流といわれており、2015年時点の日本のキャッシュレス比率は、18.4%(※1)でした。しかし、2019年10月時点では、普段の支払いが「現金」と答えた人の割合が48.4%(※2)と、今では約半数の人が現金以外のなんらかのキャッシュレス決済を利用しているようです。
この統計値は、調査の主体・方法に違いがあることから単純に数字の伸びだけでキャッシュレス化が進んでいるとは言い切れませんが、お買い物の決済手段が多様化していることは分かります。
出典:Appliv「キャッシュレス決済の利用に関するアンケート調査」(※2)
キャッシュレス決済で広く使われているクレカと電子マネー(ICカード決済)
では、何らかのキャッシュレス決済を利用している人は、どのようなキャッシュレス決済を利用しているのでしょうか。
今年8月に消費者庁が公表した「キャッシュレス決済に関する意識調査結果」によれば、一番利用されている手段は、クレジットカード(略してクレカ)、次いで電子マネー(WAONやnanaco等の交通系以外のいわゆる流通系電子マネー、SuicaやICOCA等の交通系電子マネー)です。
出典:消費者庁「キャッシュレス決済に関する意識調査結果」(※3)
電子マネーでの決済は総称して「ICカード決済」とも呼ばれます。ICチップが組み込まれたカードはこれまでの磁気ストライプのカードよりセキュリティーが高く、さまざまな情報の記録も可能となっています。
そのため、クレジットカードでも従来の磁気ストライプのクレジットカードではなく、ICチップ付のクレジットカードが普及してきています。さらに、クレジットカード機能と電子マネー機能が一体化されたハイブリッドカードもあります。
ICカード決済に中でもクレジットカードが利用手段として圧倒的に多いのは使い慣れていることと利用できる店舗数の多さによるものと思われます。
QRコード決済とは
そして、クレカ、電子マネー2種に続いて四番目に利用されているのがQRコード決済です。報道によれば、10月のポイント還元制度開始を機に新たにキャッシュレス決済を始めた人の77%を占めるなど、今後も増加が見込まれます。その使い方や特徴を見ていきましょう。
●QRコード決済の利用手順
大まかな利用手順は以下の通りです。
1.決済アプリをスマホにダウンロード
2.決済アプリにメールアドレスや電話番号、パスワード等を設定
3.支払方法を選択
4.店舗で支払い
3の支払方法は,QRコード決済サービスごとによって異なります。
4の店舗での支払い時の利用方法としては2通りあります。
●QRコードサービスの種類
クレジットカードやICカード決済のようにQRコード決済もいろんな企業がそのサービスを提供しています。主なQRコードサービスとその特徴には次のようなものがあります。
支払方法は、登録した銀行口座などから事前にアプリにチャージする方法か、クレジットカードと連携するか(後払い)の大きく2つの方法があります。個人間送金機能とは、アプリ上で友人などに特定の相手に送金ができる機能。
割り勘機能は、その送金機能を使って複数人で割り勘ができる機能です。どちらの機能も同じサービスを使っている人同士であることが必要です。
これらのサービスの中でもApplivの調査によればQRコード決済サービスではPayPayが最も利用されているようです。20%相当ポイント還元などの大型キャンペーンや、そのキャンペーン数自体が他サービスよりも多い傾向にあることがPayPayの支持されている主な理由のようです。
出典:Appliv「キャッシュレス決済の利用に関するアンケート調査」(※2)
QRコード決済のメリット
QRコード決済のメリットは、やはり小銭いらずでスマートに決済ができることでしょう。「割り勘機能」があるサービスでは複数人で飲食したときにも便利です。また、クレジットカード決済やICカード決済よりポイント還元率が高いケースが多いことも、魅力の一つとなっています。
特に今はQRコード決済の普及とユーザー獲得のため、サービスを提供している各社がポイント還元に力を入れているようです。さらに、決済の履歴がスマホ上に残りますので、「いくら」・「どこで」使ったかの家計管理もしやすいです。
QRコード決済のデメリット
一方でデメリットはどんなものがあるのでしょうか? QRコード決済も徐々に普及してきたとはいえ、クレジットカードに比べてまだまだ利用できる店舗が少ないことが挙げられるかと思います。
また、現在さまざまなQR決済サービスが乱立している状況なので、どのサービスをどこで使えばいいのか分かりにくいこともデメリットといえます。あまり複数の決済サービスを利用していると、それぞれの決済アプリの口座にお金が分散してしまうことも家計管理に手間がかかる要因になってしまいます。
さらに、決済にスマホを利用するため、バッテリー切れ等でスマホが利用できない場合はQRコード決済も利用できません。スマホ以外にお金を一切持っていなかったときには大変なことになってしまいます。
まとめ
QRコード決済は、現時点では十分に普及しているとはいえませんが、ポイント還元制度の導入、店舗側にとってのQRコード決済サービスの導入のしやすさから、今後普及が見込まれます。
現金決済と違い、QRコード決済はどこでいくら使ったかが自動的に記録に残るので家計管理をする上では便利なツールといえます。ポイント還元のキャンペーンも現在多いことから、うまく利用すれば節約にもつながるかと思います。また、使う分だけあらかじめ事前チャージにしておくことで使いすぎを防ぐといった利用もできそうです。
しかし、便利さをどう感じるかは人それぞれ。これまでのように現金決済の方が簡単でよいと思う人もいるかと思います。決済はあくまで手段であり、大切なのは自分のお金を何にいくら使うかといった目的意識ではないかと思います。
出典
※1 経済産業省 平成30年4月「キャッシュレス・ビジョン」
※2 Appliv「キャッシュレス決済の利用に関するアンケート調査」
※3 消費者庁「キャッシュレス決済に関する意識調査結果」
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)