更新日: 2019.09.22 その他

1年定期預金の利息は、1回の手数料で消えてしまう時代。知っておきたい手数料節減のヒントって?

1年定期預金の利息は、1回の手数料で消えてしまう時代。知っておきたい手数料節減のヒントって?
世の中でバブルが膨らんだとかはじけたといわれたのは、昭和の終わりから平成初めの頃のことでした。それから30年以上が経過して、今や令和の時代。しかし「ゼロ金利」や「マイナス金利」の状況が継続するなど、経済に力強さは見られません。
 
そんな状況を身近に感じる指標のひとつが、銀行預金の金利でしょう。定期預金の代表的なもので今や【年利0.01%】。100万円を1年間預けても利息はわずか100円で、税金を引くと手取り額は80円しかありません。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

預金で得られる金利と振り込みで支払う手数料がアンバランス……

そして、何か手続きをするときに今度は銀行から料金を取られることがあり、その代表例は振込手数料です。こちらの一例は、次の通り(末尾※1参照)です。金額や振込方法・振込先銀行などで細かく分けて設定されていて、各手数料額は銀行によってさらに差異があります。
 

 
その中で振込手数料額の大小に関して明らかなのは、【窓口で、現金で、他の銀行へ】は高くなる傾向です。人手がかかったり、スペースや設備等への資金投資などがかさむ方法ほど高くなるのは、やむを得ないところでしょう。
 
仮に【5万円を銀行窓口で他行の口座に振り込む】場合、振込手数料は多くの銀行で864円(税込み)。今年10月からの消費税増税後は、さらに16円高くなる計算です。
 
「1年定期の預金金利なんか、1回の振込手数料で吹っ飛んでしまう」などとよくいわれますが、100万円を1年定期預金に預ける場合では1年間どころか10年以上運用して得られる金利(税引き後)でないと、上記の振込手数料には届かないのです。
 

振込手数料だって低く抑えたいもの

そう考えるといまさらながら、銀行振込手数料の負担はできるだけ低く抑えたいのは当然でしょう。その際、よく聞くのがネット銀行の活用です。条件を満たすなどすれば、一定回数までの振込手数料が無料になるところが多くあります。
 
また、銀行によってはポイント(マイレージ)制などによって振込手数料の割引や無料化が一定数確保されることも。その辺りのバリエーションは、とても多岐にわたりますので、今回はテーマを2つに絞って節減策のヒントをご案内しましょう。
 

(1)自分の口座に振り込む場合

・無料または低額で「振り込む」パターンを探すのが基本ですが、発想を変えて自分の口座に「入金する」のはどうでしょう。
 
・いずれも自分の口座でA銀行からB銀行に振り込む代わりに【A銀行口座から現金をおろしてB銀行口座に入金する】のです。自分の口座に現金入金する場合、基本的に手数料はかかりません。
 
・A銀行やB銀行の店舗が近くになくても、コンビニATMを利用すれば便利です。紙幣のみでの資金移動になりますが、出金や入金の無料回数枠も活用してA銀行からの出金とB銀行への入金を同じATM機の操作2回で手軽に済ますこともできます。
 
・一部のネット銀行などでは、他行から毎月定額の資金移動(自動送金)をする際の手数料が無料になることもあります。
 

(2)自分の近親者に振り込む場合

・離れて住む子どもや親への仕送り、単身赴任等で別居中の家族間の生活費送金などで想定されるケースです。
 
・通帳とキャッシュカードについて【通帳は入金専用、キャッシュカードは出金専用】と割り切って分けて持ち合えば、「振り込む」を「入金する」に転化できます。
 
・さらに「代理人カード」を追加してキャッシュカードを2枚にすれば、1枚のカードを入金専用に使うことも可能です。このカードは、預金者本人が申請すれば作成できます。(手続き例は、末尾※2参照)
 
・「代理人カード」は発行手数料がかかりますが、先ほどの銀行ポイント・マイレージを利用すれば、安くしたり無料化したりすることも可能です。
 

まとめ

今回はテーマを2つに絞った話でしたが、自分の銀行口座に限っていえば、振込手数料が発生するのは複数の口座を持っているからです。
 
ペイオフに備えて複数の銀行に残高を分散しているケースはともかくとして、また給与振込やローン引落口座の銀行が指定されているなどの事情がある場合もあるでしょうが、保有する口座の数は、求める機能ごとに「使い分けする」意識のもとで、まずはできるだけ絞りたいものです。
 
そのうえで、口座ごとの振込手数料(そしてATM利用手数料も)の低額化や無料化をはかっていくと良いでしょう。
 
出典:(※1)みずほ銀行「手数料一覧(みずほダイレクト)」
   (※2)三井住友銀行「キャッシュカード(ICキャッシュカード)商品詳細」(この中の「※6」に代理人カードの説明あり)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士


 

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