更新日: 2019.08.29 その他
マンションの管理費や修繕積立金の滞納はどれくらいある?1年以上滞納する人がいるところも
非協力的な人の典型が管理費・修繕積立金の滞納ではないでしょうか? そこで、公的な調査から、今回は管理費・修繕積立金の滞納についてどのような状況なのか、滞納者へどのような対応をしているのか確認してみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
3ヶ月以上の滞納者がいないマンションは71.8%
国土交通省の平成30年度マンション総合調査では、管理費・修繕積立金の滞納者がどのくらいの割合でいるかの調査もしています。滞納している期間を「3ヶ月以上」「半年以上」「1年以上」に分け、それぞれ滞納住戸割合(不明を除く)がどのくらいかグラフにしてみました。
滞納期間を3ヶ月以上で見てみると、滞納なしのマンションが71.8%で圧倒的に多いですが、住戸割合が1%以下で滞納者のいるマンションが7.7%、1%超~2%のマンションが9.5%あります。滞納期間を半年以上や1年以上で見ると、滞納者が減って滞納なしのマンションは80%を超えています。
滞納住戸割合が5%を超えるようなマンションはわずか2%程度しかありませんが、住戸が100戸あれば5戸以上が滞納している状況なので、滞納額は大きくなり、管理組合の理事はかなり頭が痛いはずです。
管理費と修繕積立金は、区分所有者の銀行口座から毎月自動引き落としになっている場合が多いですが、口座が残高不足だと引き落とされず滞納になります。
滞納した1ヶ月分は翌月に2ヶ月分をまとめて引き落としする場合もあれば、指定口座へ振り込む場合もあります。いずれにせよ、滞納者は早めに滞納分を払っておかないと、簡単に払えるような額ではなくなってしまいます。
滞納者への措置として強制執行や競売もありえる
管理費・修繕積立金の滞納があると日頃のマンション管理や将来の修繕に影響を及ぼすので、管理組合としては早めに対処する必要があり、管理委託業者経由で何らかの行動を起こすことになります。同じ平成30年度マンション総合調査から、滞納者への対応方法についてグラフにまとめてみました。
管理費・修繕積立金滞納者への対応方法(重複回答あり)で一番多いのは、「文書等による催促」で80%を超えるマンションが実施しています。滞納者への初期の対応方法として一般的なのでしょう。
その他の方法として「支払請求等の訴訟(8.3%)」や「少額訴訟(6.1%)」が多く、ここまでで解決すればまだ良いですが、中には「競売(2.5%)」や「強制執行(1.5%)」まで至っているマンションもあります。
理想的な「今まで滞納者なし」のマンションが12.6%ありますが、多くは比較的新しいマンションではないでしょうか。「特に措置を行っていない(4.2%)」マンションは、長期滞納者がいるのであれば大きな問題です。
管理費や修繕積立金の滞納期間が3ヶ月くらいまでは、うっかりして残高不足になってしまったケースが結構多く、翌月には滞納が解消することが多いです。
しかし、半年以上になると滞納者が意図的に滞納していることが多く、払うお金があるのに払わない滞納者と払うお金がなくて払わない滞納者に分かれます。
払うお金があるのに払わない滞納者は完全に自己中心的な考えをしているので、管理組合として強い態度で対応する必要があります。お金がなくて払わない滞納者は、解決方法を本人と管理組合で十分に話し合うことが望ましいです。同情はしても滞納を継続させるわけにはいきません。
滞納者がいて未収金が増えてくると、理事会で毎回話し合いが行われ、毎回理事は嫌な気分になり、他の議題を取り上げる時間も減ってしまいます。マンションは共同住宅であり、共同で維持管理していかなければなりません。
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者