公開日: 2019.06.20 暮らし

自分の最期を考える。望まない延命治療を拒否するには「尊厳死宣言」が有効

医療技術の進歩により、回復の見込みのない末期状態の患者に対しても延命治療が施されています。患者が生きている限り、最期まで治療を施すのは医者の務めである一方、単に延命を図るだけの延命治療は患者が望まない場合、患者を苦しめ、患者の尊厳を害する場合もあります。
 
患者の精神が健全な状態において、回復の見込みのない末期状態において単に延命を図るだけの延命治療を望まないのであれば、その意思も尊重されなければなりません。この意思を表明する方法として尊厳死宣言書を作成しておくのが有効です。
 
新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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新美昌也

執筆者:

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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尊厳死とは

尊厳死(自然死)とは、一般的に、回復の見込みのない末期状態の患者に対して、人工呼吸や胃ろうなどの生命維持治療(延命治療)を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、最期を迎えさせることをいいます。
 
自己の人生のあり方は自らが決定すべきであるという自己決定権に基づいています。
 
ちなみに、胃ろうとは、口から食物を食べられなくなった患者に、胃に穴を開けて、胃に直接チューブで栄養を送る方法です。この胃ろうの造設が本人の意思に反する場合もあり、近年問題になっています。
 
尊厳死と混同されがちな言葉に安楽死があります。尊厳死は延命治療を差し控え又は中止するものですが、安楽死は、積極的な医療行為により患者の死期を早めるものです。
 

尊厳死宣言書

患者の精神が健全な状態において、回復の見込みのない末期状態において単に延命を図るだけの延命治療を望まないのであれば、この意思を表明することが大切です。この方法として尊厳死宣言書(リビング・ウイル)の作成があります。
 
尊厳死宣言書には「不治、末期或いは回復不能の植物状態では単に死期を延ばすだけの延命措置を拒否します。ただ、苦痛を除去する治療は十分に行うことを希望し、措置結果の責任は自分にあります」など記載します(参照:日本尊厳死協会)。
 
一般財団法人日本尊厳死協会では、会員(年会費2,000円)になると、日本尊厳死協会発行の会員証とリビング・ウイルのコピーが送付されます。
 
また、これを医療機関や医師に提示すれば、意思が受け入れられやすくなります。「尊厳死の宣言書」を医師に示したことによる医師の尊厳死許容率は近年9割を超えているようです。
 

尊厳死宣言公正証書

尊厳死宣言を公正証書にする場合は、本人が公証人の面前で宣言内容を話し、これを公証人が録取し、その結果を公証人自らが実験したものとして公正証書(事実実験公正証書)にしてもらいます。
 
「公証人は五感の作用により直接体験(事実実験)した事実に基づいて公正証書を作成することができ、これを事実実験公正証書と呼んでいます。事実実験の結果を記載した事実実験公正証書は、証拠を保全する機能を有し、権利に関係のある多種多様な事実を対象とします」(日本公証人連合会)
 
なお、尊厳死宣言公正証書のサンプルは日本公証人連合会のHPで入手できます。
 
尊厳死宣言公正証書の手数料の目安ですが、基本手数料が11,000円、正本代が約750円(正本1枚につき250円かかりますので、署名用紙1枚含め正本3枚とした場合は、正本代750円となります。)の合計11,750円ぐらいです。
 
尊厳死宣言書を作成したら、その存在を家族や信頼できる人に知らせておくことを忘れずにしましょう。
 

尊厳死宣言には法的拘束力はない

尊厳死を望む患者の意思は尊重されなければなりませんが、医療現場では必ずしもその意思に従わなければならないわけではありません。
 
治療義務のない過剰な延命治療は差し控えるべきだとしても、その判断は簡単ではありませんし、本人の意思は変化しうるなどの理由からです。尊厳死宣言には法的拘束力はないことは知っておきましょう。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
 



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