更新日: 2019.06.14 その他

【有給の噂】有給を取ると給料が減る この噂って本当?

【有給の噂】有給を取ると給料が減る この噂って本当?
働き方改革によって労働環境の見直しが叫ばれる昨今、有給休暇について今まで以上に関心と注目が集まっています。
 
では、有給休暇がどのように運用されているかその仕組みについてしっかり理解できていますか?今回は有給休暇を取得した場合の給与計算についてのお話です。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

有給を取ったらあれ?給料の額がいつもと違う・・・?それってなんで?

有給休暇とは、労働基準法39条にて規定されている権利です。有給休暇の取得は労働者の権利であり、使用者(雇用主)は労働者に対して、有給休暇を取得したことを理由として不利益な扱いをしてはいけません。(労働基準法附則136条)
 
ここにいう不利益扱いとは、例えば有給休暇の取得した日を欠勤扱いをしたり、賃金の減額といったようなことです。とはいえ、有給休暇を取得した際において、その分の給与をどう計算するかという問題があります。
 
実は、有給休暇を取得した際の給与の計算方法には3種類が規定されています。3種類のうちどの方法を採用するかによって算出される金額が異なります。それにより、不利益扱いには該当しないものの、微妙に給与の額が変動してしまうということが起こりうるのです。
 

有給取得時の給与の計算方法は?

前述した給与の計算方法は労働基準法39条9項により、おおむね次のように定められています。
 
(1) 平均賃金
(2) 通常の賃金
(3) 標準報酬月額を日額にした金額

 
上記のうちどの計算方法を用いるかについては就業規則などにより定めておく必要があります。
 

有給の取得で給与がどれくらい変動するの?

では、先に述べた(1)から(3)の計算方法において具体的にどれくらい給与額が変動するのか、月給20万円(月の勤務日数は20日で所定の労働時間は8時間)の方をモデルケースとして検証してみましょう。
 
検証の都合上、1ヶ月は30日として仮定し、毎月の給与や勤務日数の変動など詳細については考慮しないものとします。まず(1)の平均賃金で計算した場合です。この場合、次のような計算式で金額を出し、いずれか高い方を採用します。
 
1.過去3ヶ月の給与の合計(60万円)÷過去3ヶ月間の暦日数(90日) =6666.66…円
2.過去3ヶ月間給与の合計(60万円)÷3ヶ月間の労働日数(60日)に0.6をかけたもの=6000円

 
つまり、(1)の方法では6666.66…円になります。対して(2)の方法では、通常通りの1日分の給与つまり1万円になります。(月給20万円÷勤務日数の20日)
 
最後に(3)の方法ですが、これは健康保険などで用いられる標準報酬月額を暦日数で計算して金額を算出します。月給20万であれば、標準報酬月額は20万円(平成31年4月1日以降の東京都の場合)となるため20万円÷30日=6666.66…円となります。
 
このように、同じ条件であってもどの計算方法を用いるかにより、有給休暇取得時の賃金も異なるのです。
 

有給休暇により給与が変動することがあります。

有給休暇を取得した際の賃金の計算方法は次の3つのうちから就業規則などの規定によって決定されます。
 
(1) 平均賃金
(2) 通常の賃金
(3) 標準報酬月額を日額にした金額

 
そのため、会社独自の計算方法で算出することは認められません。有給休暇中の賃金は計算方法により金額が異なることがあります。それにより、有給休暇を取得した際の賃金が通常通り勤務した場合に比べて低くなることもありえます。
 
有給休暇を取得したとき、賃金が低くなっていると感じたら、一度どのように賃金が計算されているか確認しておきましょう。
 
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
 

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