更新日: 2019.11.19 キャッシュレス
キャッシュレスが話題 政府の後押しで急拡大の予感 <後編>
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
消費者にとってのメリットは?
「キャッシュレスには抵抗がある」と思っている人も、高額の買い物にはクレジットカードを利用し、電車やバスの乗車には交通系のICカードを使っているのではないでしょうか。
交通系のカードは乗車券としての役割だけでなく、コンビニや自動販売機での支払いなど使える場所が広がっていますので、無意識のうちにキャッシュレス生活をしている場合も増えています。
キャッシュレス化することで、消費者にとって何が一番のメリットかというと、いちいちお財布からお金を出す面倒がなくなることです。特に小銭を数える必要が無くなるのは楽です。シニアになると老眼も進み、レジ前で硬貨を数えるのが億劫になります。
支払いに時間がかかると“周りに迷惑をかけている”と気を遣い、ついつい千円札で支払ってしまいます。その結果、お財布が硬貨でパンパンに膨らんでしまうことがあります。小さい子供を連れたママも、同様の経験があるのではないでしょうか。
ATMでお金をおろす必要が無くなる点も見逃せません。10連休明けの5月7日は、ATMに長蛇の列ができたとニュースが報じました。
時間外にATMを利用して、手数料を取られるということも無くなります。現金の授受にかかっていた時間が短縮されますので、お昼時のコンビニや新幹線の駅のお弁当売り場での待ち時間は短くなるはずです。
さらに“ポイント還元”も魅力の一つです。大規模なキャンペーンが話題になり、これを目当てにキャッシュレスを始めた方も多いようです。銀行預金の金利の低さを考えると、還元率にはかなりの“お得感”があります。
現金払いでのポイントにも共通して言えることですが、ポイントを貯めることに熱中し過ぎて、不本意な買い物をしないように注意することは大切です。
キャッシュレス決済の注意点
これまで“キャッシュレス”とひとくくりにしてきましたが、複数ある中で自分にあった方法を選ぶのは迷うところです。まず精算方法について整理します。
(1)プリペイド(前払い)
あらかじめチャージしておき、その残高の中で引き落とされていく方法です。スイカやパスモなどの交通系カード、nanacoやWAONなどの流通系のカードに多く見られます。比較的少額の支払いに使われています。
(2)リアルタイムペイ(即時払い)
決済と同時に、金融機関の口座から支払金額を引き落とされる方法です。デビットカードの名前で知られています。
(3)ポストペイ(後払い)
商品の購入やサービスの提供の後、金融機関の口座から支払い金額を引き落とされる方法です。クレジットカードの支払い方法として知られています。
キャッシュレスに不安を感じる理由として「セキュリティーが心配」「金銭感覚がマヒして無駄遣いしないか気になる」という意見があります。キャッシュレス決済にはカードかスマホを使います。
“スマホで全部済ますことが出来て便利”“スマホに集中させるのは不安”自分に近い考え方で、いずれかを選ぶと良いと思います。ただ、今後はQRコードをスマホで読み取って決済する方法も増えそうです。
「無駄遣いが増えそう」に関しては、確かに現金のように“支払っている”感覚が少ないため、ついつい使ってしまう危険はあります。プリペイド方式の場合、予算額をチャージして管理すれば、利用の都度残額は確認出来ますので、使い過ぎの防止になります。
残高が少なくなったら自動的に口座からチャージする“オートチャージ方式”もありますが、使いすぎが心配なら、都度チャージがお勧めです。
スマホを使った「ゆうちょPay」が5月8日に開始しました。10月1日の消費税増税に伴うポイント還元に向けて、キャッシュレス決済への動きは加速すると考えられます。よく考えずに取り入れてしまうと、アプリやカードが増えて混乱してしまいます。
“自分がよく利用するお店が対応しているのはどのサービスなのか”“還元率はどうなのか”などの情報を収集して、自分にとって使いやすいサービスを絞り込むことが大切です。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士