更新日: 2019.09.03 その他
喫煙者が減少しているは本当?たばこの販売状況の現実
そこで、たばこの販売状況からどのくらい減っているのか確認してみました。吸うのを止めようと考えている人は要チェックです。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
たばこ税等は頻繁に増税されている
一般社団法人日本たばこ協会のホームページでは、年度別のたばこの販売数量と販売代金を確認することができます。1990年から2017年までの推移をグラフにしてみました。販売数量の単位は億本(左側のメモリ)、販売代金の単位は億円(右側のメモリ)です。
たばこの年度別販売数量と販売代金の推移
資料:一般社団法人日本たばこ協会
たばこの販売数量は、平成が始まった頃の1990年(平成2年)に3220億本あり、1996年の3483億本まで増え続けました。1997年に消費税が5%へ増税されたので、直前の1996年にまとめ買いが起こり、1997年はその反動で減っています。
2014年に消費税が8%になった時も同じ動きがあったことを読み取れます。販売数量は減り続け、2003年に3000億本割れ、2011年に2000億本割れとなり、2017年は1455億本まで減っています。1990年に対して僅か45%の数量で、平成時代に販売数量は半減してしまいました。
ところが、販売代金は様子が違います。1990年の3兆5951億円が1999年(平成11年)には4兆2600億円まで増え続けました。
1996年までは販売数量と販売代金の動きが一致していますが、その後は販売数量が減っても販売代金はあまり大きな変動がありません。2017年に前年比で4722億円も減少していますが、2016年は3兆6377億円で1990年よりも多くなっています。
販売数量が減っているにも拘らず販売代金がほとんど減っていないのは、数量の減少を補えるほどたばこ代が値上がりしているからだと考えられます。
ちなみに銘柄別の販売数量は、1990年の時は1位がマイルドセブン(数量627.7億本・シェア19.5%)、2位がマイルドセブンライト(数量354.0億本・シェア11.0%、3位がセブンスター(数量280.7億本・シェア8.7%)でした。
27年経った2017年は、1位がセブンスター(数量58.0億本・シェア4.0%)、2位がメビウス・ワン・100Sボックス(数量45.4億本・シェア3.1%)、3位がメビウススーパーライト(数量40.2億本・シェア2.8%)です。メビウスの昔の名はマイルドセブンなので、上位はあまり大きな変化がなさそうです。
ただ、販売数量は全体に合わせて大きく減っており、シェアも下がって分散しているようです。
たばこの税負担は2010年に急増
次に先ほどのたばこの販売代金を販売数量で割って、20本(1箱)あたりの販売代金を求めてみました。
たばこ1箱当たりの税負担額と負担割合
資料:一般社団法人日本たばこ協会
※紙巻たばこ統計データをもとに筆者が計算
1箱当たりの販売代金は1990年以降常に右肩上がりです。これはたばこに関する税が大きく影響しています。財務省のホームページで確認すると、下記の時期にたばこ特別税の創設やたばこ税率の引上げをしています。
・1998年12月たばこ特別税創設 1本あたり0.82円
・2003年7月たばこ税率引上げ 1本あたり0.82円
・2006年7月たばこ税率引上げ 1本あたり0.852円
・2010年10月たばこ税率引上げ 1本あたり3.5円
この他に消費税も2回上がっており、その結果1箱当たりの販売代金は、1990年の223.3円から2017年の435.1円へ大きく上がっています。
たばこに関する税率は今後も上がっていく予定です。喫煙者にとっては負担がさらに厳しくなり、経済的理由で禁煙する人が増えてきそうです。家計に余裕がある人しかたばこを吸えない時代にいつの間にかなってしまったようです。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者