更新日: 2019.01.10 家具・片付け
快適でお金が貯まる部屋のつくり方 今人気の『見せる収納』について
収納している場所を探す → 収納場所から取り出す → 使う → 収納場所に仕舞う という工程から、探す・取り出す・仕舞うという工程を省き、出したままにして置いたら家事の時短に繋がるのではないか!?との提案です。
そして何なら、インテリアとして見せる(魅せる)要素を兼ねて、そのものを『隠してしまわず(仕舞わず)』に『見せてしまおう(仕舞おう)』というものです。特に、キッチンやダイニングなどで家事の時短とインテリアの双方に効果的とのことです。
しかし、この『見せる(魅せる)収納』、本当に家事の時短に繋がるのでしょうか? そして、どんな時も家で過ごしたくなる快適な空間づくり、貯蓄体質の空間づくりに繋がるのでしょうか?
今回は、この『見せる(魅せる)収納』について、その失敗するケースと成功するケースについて考えてみました。
Text:平田純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
大阪市立大学・生活科学部・住居学科卒業。電機メーカーで商品企画の仕事を経て、好きが高じて、株式会社良品計画に中途入社。無印良品の店舗にて、家具やカーテン、照明のコーディネート提案を得意とする店長として10年以上勤務。しかしある時、お金に無計画・無頓着に過ごした自身のこれまでの人生を振り返り、後悔の念。豊かな人生を送るために、ライフプランニングの必要性を痛感。その必要性をより多くの人に伝えたいとの思いで、ファイナンシャルプランナーを志す。
現在、ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランとキャッシュフロー分析・アドバイスを個別相談で行う傍ら、セミナー講師,や執筆も行う。得意分野はライフプラン(資金計画)、生命保険見直し、資産形成・運用。お金の相談に加えて、インテリア計画や片付け、収納計画についても、ご要望に応じて相談を承っている。
https://hataraku-okane.com/
『見せる収納』の落とし穴・・・失敗するケース
探す・取り出す・しまうという工程が省かれると、確かに家事の時短に繋がりそうです。お気に入りの鍋や食器をインテリアとして飾るのも素敵かもしれません。一方、お掃除の面ではどうでしょうか?
外に出しておくと、埃という大敵に常にさらされていることになります。モノそのものにも、モノを置いている場所にも、埃は面という面に容赦なく降り積もります。
拭けばいいじゃないかと思うかもしれませんが、モノを置いてなければサッとひと拭きのところが、モノが置いてあるとモノをどかさなければ拭けません。そしてモノには凹凸がありますので、大変です。
さらに、キッチンやダイニングは積もった埃に油分が加わり、水ぶきでは埃は取れません。これでは、家事の時短どころか、却って手間がかかりませんか?また、インテリアを兼ねてとはいいますが、本当にそうでしょうか?
予め『見せる』『並べて見せる』ことを念頭に、置くものの色や大きさ・素材感・デザインなどをラインで買い揃えれば、それはインテリアとして素敵だと想像ができます。特にキッチンやダイニングで使う鍋や食器などは、その難易度がさらに上がります。
ひとつひとつのモノは素敵なモノでも、数が増えるとどうしてもごちゃごちゃして見えてしまいます。これでは、心が休まりません。
また、『見せる』ための素敵な鍋や食器をラインで揃えることは、正直お財布にも優しくありません。そしてさらに、そんな素敵な鍋や食器にも『埃問題』です。埃は面という面に容赦なく降り積もります。
結局、使用頻度に優先順位をつけつつ、できるだけ埃を避けられる場所に仕舞った方が、結局は『時短』と『快適』に繋がるのではないでしょうか?
『見せる収納』をお勧めしたい成功ケース
『見せる収納』。実は、メンテナンスに手間がかかったり、本当に快適な空間を構成する素敵なインテリアとして見せることの難しさをお伝えしてきました。少し、ネガティブだったかもしれません。
しかし、朗報です。ネガティブ要素をカバーできて、『見せる収納』がバッチリはまるお勧めのケースがあります。それはズバリ、『使用頻度の高いもの』を見せて収納するケースです。
使用頻度が高いものであれば、鍋でも食器でも、調理家電でも、調味料ケースでも何でも『見せる収納』が素敵にはまります。使用頻度が高ければ、使う→洗う→置くを頻繁に繰り返すわけですから、埃も積もるヒマがありません。
そのものをよく動かすということなので、動かしたついでに置き場もサッとひと拭き。実に簡単です。そして、よく使うものだからこそ、家事の時短に直結します。これこそ、『見せる収納』にお勧めです。
そしてこの『見せる収納』と相性のよい『使用頻度の高いもの』、願わくは、少しよいもの、多少値が張ってもデザインの優れたもの、素材感のよいもの、使い勝手のよいものを選びたいものです。そういったものは、インテリアとしてもオブジェのように素晴らしく機能するはずです。
ここでもうお気づきになられたでしょうか? つまり、『毎日使うものほど、良質なものを永く愛用する』ということに。
私たちは、ついつい奮発して買ったものを特別な日のために大切に保管してしまいがちです。傷ついたり、汚れたりすることを避けたいばかりに、一年のうち、または一生のうちに数回しか使用しないということもあるかもしれません。
しかし本当は、奮発して買った大切なものだからこそ、毎日愛でて使って、共に時間を重ねたいものです。それこそが、真の意味で価値のあるお金の使い方ではないでしょうか?
『見せる収納』について考えていたら、お金の使い方の根本的なところにたどり着きました。
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者