実は鎌倉時代に存在していた? クラウドファンディングと私達の関係性
配信日: 2018.11.14 更新日: 2019.01.11
その1つである「クラウドファンディング」は、従来、銀行などが提供していた融資、資金調達などのフィンテックの1分野を担うもので、ITを使って低コストで代替する性質を持っています。
2013年(平成25年)6月14日に公表された日本再興戦略でも、クラウドファンディングを「大企業や研究機関に眠る技術、アイデア、資金、人材、地域に眠る事業や資源を活用し、ベンチャーや新事業を生み出す仕組みを整備する」手法として、目玉政策の1つに掲げています。
このクラウドファンディング。私たちとどのような関係があるのでしょうか?
今回からしばらくクラウドファンディングについてみていきます。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト
インターネットを使った「無尽」
クラウドファンディングは、群衆を意味する「crowd」と資金調達を意味する「funding」を組み合わせて「crowdfunding」と呼ばれています。
鎌倉時代に登場したといわれる「無尽」(むじん)をご存じですか?
庶民の相互扶助の制度として始まったものだといわれています。参加した全会員が毎回一定の資金を積み立て、くじ引きで利子を入札し、積立金を受け取ります。
全員が積立金を受け取った時点で終了となります。
「無尽」は江戸時代になると、身分や地域を問わず大衆的な金融手段として発達し、大規模なものも存在しました。クラウドファンディングは、この「無尽」のインターネット版と考えられます。
クラウドファンディングのプレーヤー
クラウドファンディングは
(1)事業への投資家・支援者
(2)クラウドファンディングの運営者・事業者
(3)事業の起案者・資金の借り手
の3者で構成されます。
そして、この三者はインターネットでつながることができます。
まず、事業の起案者・資金の借り手が、プロジェクトの内容をクラウドファンディングの運営者・事業者のプラットフォーム(インターネットを活用した専門の仕組み)に登録します。
このプロジェクトに賛同する投資家や支援者は、インターネットで得た情報を基にプロジェクトやサービスに出資します。
出資後はプロジェクトの進展状況の情報を受け取りつつ、出資の見返りとしてサービスや商品、現金の配当などを得ます。
従来の中小企業の、資金調達の難点を克服
クラウドファンディングの仕組みを従来の資金調達と比べてみましょう。
企業の場合、これまでの資金調達には金融機関からの借入のほか、社債の発行やベンチャーキャピタルからの出資などがありました。
しかし、中小企業の場合、企画した事業内容に魅力があったり、新規性に富んでいて将来性があっても、事業内容の評価が困難と判断されることがまれではありません。
また、新規の起業の場合にはそもそも経営実績がないことから、希望通りの資金調達ができないケースも多いのです。
クラウドファンディングは、これら従来の資金調達の難点を解消するものです。
クラウドファンディングの5つのタイプ
クラウドファンディングには、(1)寄付型、(2)商品・サービス購入型、(3)貸付型、(4)事業投資型、(5)株式型―の5つのタイプがあります。
次回から順を追って説明していきますので、「ごちゃごちゃと面倒そうだ」と思わずにお付き合いください。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト