更新日: 2019.01.10 その他

「楽しみながら健康づくり」、さらによりよい社会づくりにも貢献できる制度「健康ポイント制度」の活用

執筆者 : 大竹麻佐子

「楽しみながら健康づくり」、さらによりよい社会づくりにも貢献できる制度「健康ポイント制度」の活用
「健康ポイント制度」をご存知ですか?今年に入って、導入する自治体が増えています。
 
健康づくりに無関心な層を含む、市民の運動を始めるきっかけや継続する活動に対して、インセンティブ(ポイント付与)を提供する制度です。貯まったポイントは、自治体独自の物品や商品券、協賛企業商品などと交換することができます。
 
「楽しみながら健康づくり」、さらによりよい社会づくりにも貢献できる制度をご紹介します。
 
大竹麻佐子

Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

社会保障制度の現実

まずは、健康ポイント制度推進の背景をみてみましょう。
 
人口減少、少子高齢化(高齢者率の増加)、医療技術の進歩、税収入の減少により、今や日本の社会保障制度は危機的状況です。2025年には、団塊の世代が後期高齢者となるなど、公的年金・公的医療・公的介護の原資不足はますます深刻となります。
 
公的医療制度の被保険者負担は年々増加傾向にありますが、年金生活の方々に多くの負担を強いる訳にもいかないでしょう。
 
そこで、国を挙げての対策として考えられたのが、「元気高齢者」をふやすこと。もとより高齢者だけでなく、国民全体が健康になれば、医療費や介護給付を抑制することができます。年々寿命は延びていますが、寝たきりや介護状態であっては、豊かとは言えません。いかに自分らしく、活き活きと過ごせるか…。
 
そこで、「健康寿命を延ばすこと」が重要になります。国、自治体、企業、個人で「健康寿命を延ばす」ことに取組み、一人ひとりが豊かに人生を送り、社会保障制度の現状改善に繋がれば、よりよい社会になるでしょう。
 
その解決策のひとつが「健康ポイント制度」です。
 
※健康寿命…健康上の問題なく、自立して日常生活を送れる期間
 

健康ポイント制度の基本的な考え方

市民への健康に対する意識づくりへの取組みとして、次の3つの段階で構成されます。
 
(1)きっかけづくり(健康診断を受ける、健康教室やジム、イベントへの参加)
(2)継続の支援(毎日のウォーキング、血圧や食事の記録をつける)
(3)習慣化・定着(BMIや筋肉率の基準範囲への改善など)
 
こうした背景や取組みは、総務省・厚生労働省・文部科学省が連携して呼びかけ、支援しており、多くの自治体のポイント還元の商品の原資は、補助金や助成金、また企業からの協賛を活用しています。
 

参加した場合のながれ

事業として進めていくのは、各自治体です。ただし、すべての自治体で実施されている訳ではありません。ご自身の住む自治体のホームページなど情報を確認してみましょう。
 
自治体ごとに、対象者やポイント付与方法、交換できる商品はさまざまです。
 
おおまかなイメージとしては、
(1)申込み Webや用紙により期間内にエントリーする。(抽選の場合もあり、)
(2)ポイント貯める(歩く、イベントに参加する、健康診断を受けるなど)
(3)期間終了後、集計表を提出し、景品と交換する。
 

注意しなければいけないこと

目的は、健康づくりです。病院に行かないことが評価される訳ではありません。
 
厚生労働省の「個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドライン」でも注意喚起されていますが、必要な医療を受けるべき人が、受診しないことで、重症化することのないよう注意すべきです。
 
また、ポイントを増やすことに集中して、過度な運動や無理をすることのないようにしましょう。
 

楽しみながら健康づくり

体のこと、ついつい忙しくて後回しにしていませんか?
 
一駅歩く、体を動かす、健康診断を受ける、歯科検診を受けるなど、この機会にぜひ考えてみてください。
 
病気になってから「かかるお金」よりも、病気にならない体づくりに「かけるお金」の方が、「お金」が活きてきます。
 
Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士

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