更新日: 2019.01.10 その他
定期券を持たない生活になってみると……意外と負担感の大きい交通費を少しでもおトクにする知恵
現役時代には会社が手続きや段取りをしてくれたり、負担(必ずしも全額とは限りませんが)してくれていたものが、そうではなくなる点も大きいですが、具体的にはどんなことでしょうか。
Text:上野慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士
不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。
リタイアしたことを実感するのは……
その代表格は、健康保険や住民税でしょう。在職中はいずれも会社が手続きや支払い(給与天引き)をしてくれましたが、今後は自分で手続きや支払いをしなければなりません。
健康保険では、会社が折半して負担してくれていた保険料が全額自己負担となり、退職後の収入状況によっては保険料が高くなる場合もあります。
そして、もっと日常的なところでは定期券がなくなることです。「どこにでかけるにも交通費負担が意外と重い」こうした声をリタイアした人の多くから聞きます。
リタイアしたといっても、自宅から電車やバスを利用して繁華街エリアなどにでかける機会も少なからずあるでしょう。例えば、週に1回、定期的にカルチャースクールへ通うこともあるかもしれませんね。
定期券を購入するほどの外出頻度でもないけれど……
外出の度に支払う交通費は、結構バカになりません。近郊エリアから都心まで乗り継げば片道500円くらいは当たり前。往復で1000円、週に2回でかけるとしたら、月に8000円~1万円の水準になります。
もちろん、リタイアしていても自腹で通勤定期券を買うことは可能です。しかし、(一概にはいえませんが)月に20回弱往復利用するくらいの使用頻度がないと、モトが取れないのが実態です。
身近な節約手段は、鉄道の「回数券」や「一日乗車券」、そしてバスでの「ICカード」
それほどの利用頻度ではないときでも、一定条件を満たせば交通費負担をちょっぴりおトクにできるのが、まずは鉄道各社の「回数券」。
その代表的なものは、次のとおりです。
原則として、有効期間3ヶ月間、乗車区間が指定されている場合は変更不可、乗り越しの場合は別に乗り越し区間の普通運賃が必要となります。なお「時差回数券」や「土・休日割引回数券」はJR系各社などでは原則ありません(JR西日本「昼間特割きっぷ」は2018年9月30日で発売終了)が、大都市圏の多くの私鉄系で取り扱っています。
回数券を購入する場合には、次のことにも留意しておくとよいでしょう。
(1)支払いにクレジットカードが利用できれば、ポイントもつく。
(2)区間(発駅・着駅)指定で発売している場合、同一運賃内の最長となる区間で購入しておけば、値段は同じで不測の乗り越し等に備えられる。
(3)金券ショップでバラ売りを(値段も少し安く)買える場合がある。
また「一日乗車券」(東京メトロでは「24時間乗車券」があります)も同一の交通会社の路線内で一日のうちにあちこち移動するような場合には、大変便利でおトクです。
バスについてはどうでしょうか。
ICカード(パスモ、スイカほか)の導入拡大で普及したもので、毎月1日~末日の支払い累計額1000円で100円割引など「特典バスチケット」(次回利用時に割引)がカードに付与される制度があります。現金支払いせずにICカードを利用すれば、利用頻度によってはいずれ 〝10%(+α)ポイントバック〟 の効果が得られます。
※「バスポイント」「特典バスチケット」の対象路線、「バスポイント」のたまり方や、「特典バスチケット」付与額は、ご利用になるバス事業者にお問い合わせください。
余談ですが、上場している鉄道各社の株主になると、次のような優待乗車制度が用意されている場合があります。
(ア)株主優待割引証(1回のみ割引)
(イ)全線優待乗車証(回数券式)
(ウ)全線優待乗車証(定期券式)
(ア)や(イ)は持ち株数が多いほどたくさん割り当てられます。ちなみに(イ)は金券ショップでバラ売りされていることも多く、利用予定区間の運賃よりも割安であれば必要なときに買うとおトクです。
会社ならびに株価によって幅は大きいですが、(イ)でたくさんの枚数を得るためには数十万円規模以上、また(ウ)を獲得するためには、少なくとも数百万円規模以上の持ち株が必要となるようです。
「日常の交通費節約」という今回のテーマとは別の視点からの判断になるかもしれませんね……。
まとめ
2014年4月1日の消費税引き上げ(5%から8%)時に鉄道やバスなどで消費税増額分の運賃値上げがされました。
予定通りであれば1年後の来年2019年10月1日に、次の消費税引き上げ(8%から10%)となり、鉄道・バス運賃も値上げとなる見込みです。
定期券を使わない交通費節約は、リタイア層のみならずアルバイトやパートの方などにも共通するテーマになると思われます。〝チリも積もれば山となる〟 の意識で取り組みたいものです。
出典:PASMOウェブサイト TOP>ご利用方法>バスでのご利用方法
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士