夫が急に倒れた!まず何をする?頼りになる制度についても知っておきましょう
配信日: 2018.09.28 更新日: 2019.01.11
旦那様の体の心配に加え、今後の生活や家族の将来など不安も尽きないことでしょう。せめてお金の心配が解消できれば、ずいぶん状況も違ってきますよね。
そこで今回は、万が一の時は何からすれば良いのか、そしてお金に関する心配を軽減するための制度について詳しくご紹介したいと思います。
まずは本人の預貯金や保険の確認を
特に、奥様が専業主婦だったり、収入の多くを旦那様に頼っている場合には、すぐに生活費が必要になります。
もし旦那様に判断能力がない時には、本人の銀行口座の預貯金通帳、届出印、また身分証明書を見つけるところから始めることになります。加入している生命保険証券も確認しましょう。
定期預貯金、貸金庫などを利用していないか、奥様が把握していない月々の支払いがないかどうかも、郵送物などから探します。
ご本人に判断能力があるのでしたら上記の内容を直接聞いて、窓口でお金をおろす場合は、委任状を書いてもらうなどするようにします。
すぐにもらえるお金を確認する
病気などが長期化してしばらく働けなくなってしまった時、民間の保険に入っている場合は比較的すぐに対応してもらえるので、まずは保険証券をそろえて保険会社に連絡を入れましょう。
保険金請求書、病院の診断書、(本人に判断能力が無い場合は)本人が請求できないことを証明する書類、指定代理請求人の印鑑登録証明書や戸籍謄本を用意して保険会社に提出します。
医療費を軽減する制度
旦那様が会社員などであれば、長期間働けないことによる収入の低下をカバーし、高額の医療費がかかった場合に払い戻してもらえるといった以下のような公的制度があります。
・傷病手当金
健康保険において、業務外で負った怪我や病気で4日以上連続して会社を欠勤する場合、4日目以降から日給の3分の2相当額の金額が支給される制度です。最長1年6ヶ月まで支払われます。
・休業補償給付・休業給付
労災保険において、もし業務中に負った怪我などであれば、「業務災害」として「休業補償給付」を受け取ることができます。また、通勤中に負った怪我などは通勤災害として「休業給付」の給付対象となります。業務との因果関係が認められる病気についても対象です。
4日以上欠勤した場合、4日目以降の欠勤について支払われ、給付額は目安として休業前の収入の8割程度です。
なお、健康保険は業務中の怪我や病気の場合は給付対象とならず、「休業補償給付」や「休業給付」と「傷病手当金」を同時にもらうことはできないので注意してください。
・療養補償給付・療養給付
労災保険において、業務中や通勤中に怪我や病気に遭った場合には、労災指定病院などで診察や治療を受けることで、労災保険から給付金がもらえます。
申請先は所轄の労働基準監督署で、治療にかかった費用が事後に支給される現金給付です。業務中に負った怪我などは業務災害として「療養補償給付」、通勤中に負った怪我などは通勤災害として「療養給付」として支給されます。
次に、その治療に高額な医療費がかかった場合には高額療養費制度や税制面で負担を軽減する医療費控除などの制度です。
・医療費控除
一年間の医療費の合計が10万円を超えた場合、あるいは受け取った給付金や保険金を除いても10万円を超える場合、確定申告すると税金の負担が軽くなる税制面での優遇措置です。申請は確定申告の際に行い、生計を同じくする家族全員の医療費が対象になります。
・高額療養費制度
一カ月間に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超過分を支給してもらえる社会保険の公的制度です。自己負担限度額は年齢や所得に応じて異なり、所定の計算式によって算出されるものです。
申請先は加入している保険者によって異なりますので、保険証に記載されている保険者に問い合わせましょう。
なお、旦那様が自営業者の場合ですが、自営業者が加入している国民健康保険には、会社員の「傷病手当金」に当たるような公的な給付は無く、また労災保険の適用もありません。
自営業者は怪我や病気で働けなくなった時のために、意識して貯蓄をする、民間の保険に加入するなど、ご自身とご家族を守るための備えが非常に重要になります。
まとめ
嫌なことは考えたくないものですが、いざという時に使える制度を知っておくだけでも、対応や気持ちはずいぶん違うのではないでしょうか。
また、普段はなかなか話題にしにくいものですが、日頃から夫婦や家族間でお金に関する情報を共有しておくことも大事です。
不測の事態が起きた時に適切な対応をとるために、意識しておきましょう。
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー