更新日: 2019.01.11 その他
ファミリー世帯が減り続けている!? ファミリー世帯実情について調べてみた
どのくらい減っているのかを確認するために、ファミリー世帯の実情について調べてみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
2人世帯が30年で倍増している
厚生労働省の国民生活基礎調査では、毎年日本全国の世帯状況について調査しています。その中に児童(18歳未満の未婚者)のいる世帯に関する項目もあり、世帯に児童が平均何人いるかを表にまとめてみました。
厚生労働省の平成29年国民生活基礎調査は、全国から抽出した世帯を調査して、全国の世帯数や世帯人員を推計しています。1995年(平成7年)は兵庫県を除いた数値、2016年は熊本県を除いた数値となっています。
資料:厚生労働省「平成29年国民生活基礎調査」
2017年現在、全国の世帯数は5042万世帯で、そのうち児童のいる世帯が1173万世帯、全世帯に対する割合は23.3%となっています。児童のいる世帯は世帯数も割合も昔に比べて大きく減っています。例えば1986年と比べてみると、世帯数は1763万世帯から563万世帯も減り、児童のいる世帯の割合も46.2%から22.9%も減っています。
その間、児童のいない世帯の世帯数は2018万世帯から3869万世帯へ、割合も53.8%から76.7%へ大幅に増えています。
児童のいる世帯の児童数は、1人が520万世帯、2人が494万世帯、3人が138万世帯、4人以上が21万世帯で、全世帯に対する割合は1人が10.3%、2人が9.8%、3人が2.7%、4人以上が0.4%となっています。
1986年当時は1人が611万世帯、2人が838万世帯、3人が258万世帯、4人以上が29万世帯、全世帯に対する割合は1人が16.3%、2人が22.3%、3人が6.9%、4人以上が0.8%でした。児童の数に関係なくいずれも減っていますが、特に2人と3人の減り方が大きいです。
平均児童数は10年前と変わっていない!
続いて平均児童数の推移をグラフにしてみました。児童のいる世帯だけでみた平均児童数と、児童のいない世帯も含めた全世帯での平均児童数を載せてあります。
資料:厚生労働省「平成29年国民生活基礎調査」
直近の2017年の平均児童数は、児童のいる世帯では1.71人、全世帯では0.40人となっています。児童のいる世帯が大きく減っているので、全世帯での平均児童数も大きく減っています。1986年と比べると0.85人から半分以下になっています。
児童のいる世帯に限った平均児童数は、実は昔とほとんど変わっていません。例えば10年前の2007年は1.71人で2017年と全く同数です。31年前の1986年と比べても1.83人から0.12人しか減っていません。1986年(昭和61年)はバブル期が始まった頃です。
既に少子化が始まっていて、子どもの人数は今と大して変わらなかったようです。ただ、児童のいる世帯自体が大きく減っているので、全世帯での平均児童数は大きく減ってしまっています。
児童のいない世帯が増えているのは、主に独身者が増えているからだと考えられます。
児童のいる世帯は子育てに教育資金などがかかり、広い家も必要になるので、児童のいない世帯よりも家計は厳しくなりがちです。社会構造を変えることは難しいですが、経済的な不安が減る政策が増え、子育てをする楽しみや生きがいがより伝わっていけば、独身者が多少は減るのではないでしょうか。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP®認定者