最終更新日: 2020.05.25 公開日: 2018.06.29
暮らし

外国人の受け入れとして注目の「特区を活用した裏技」私達の生活に変化はあるのか

執筆者 : 佐野誠

最近、新聞やニュースでは“特区を活用した外国人の受け入れ”といったものが目立ちます。
 
最近の例では新潟市、京都府などによる“外国人の農業支援人材の受け入れ”や、福岡市による“外国人の創業人材の受け入れ緩和”などが見られます。
 
このような特区とは何か、そして、それが私たちの生活にどのような影響を与えるのかを考えていきたいと思います。
 
佐野誠

執筆者:

執筆者:佐野誠(さの まこと)

ACROSEEDグループ 代表・行政書士

行政書士法人、社会保険労務士法人、税理士法人を併設したACROSEEDグループを設立し、外国人向け法務サービスを提供しています。
外国人やそれに関わる人々に”信頼と安心”のプロフェッショナルサービスを提供し、日本社会の調和と活力あるグローバル化に貢献しています。
http://www.acroseed.co.jp/

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佐野誠

執筆者:

執筆者:佐野誠(さの まこと)

ACROSEEDグループ 代表・行政書士

行政書士法人、社会保険労務士法人、税理士法人を併設したACROSEEDグループを設立し、外国人向け法務サービスを提供しています。
外国人やそれに関わる人々に”信頼と安心”のプロフェッショナルサービスを提供し、日本社会の調和と活力あるグローバル化に貢献しています。
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特区とは?

特区とは「国家戦略特区」の略です。特区にはほかにも以前から「構造改革特区」や「総合特区」などがありますが、最近ニュースなどで見かけるのは前者の「国家戦略特区」となります。
 
これはアベノミクス成長戦略の実現に必要となる大胆な規制緩和などを実行し「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を作ることを目的に設けられたもので、従来の「構造改革特区」や「総合特区」が地方自治体などからのボトムアップ提案であったのに対し、「国家戦略特区」は国や地方自治体、それに民間業者も入り、それぞれが対等な立場で意見を交わし連携しながら提案を作り上げていく点で大きく異なっています。
 
そのため、“外国人家事支援人材の受け入れ“など、従来よりもビジネスの現場に近い提案がなされるようになっています。
 

特区の地区とメニュー

特区には、仙北市、仙台市、新潟市、東京圏、愛知県、関西圏、養父市、広島県・今治市、福岡市・北九州市、沖縄県といった10区域が指定されています。
 
これらは国家戦略特別区域会議で国や地方自治体、それに民間事業者の意見を取りまとめ、それを国家特別区域諮問会議で決定されて実現されています。
 
また、特区には規制改革のメニューが設けられており、都市再生、創業、外国人材、観光、医療、介護、保育、雇用、教育、農林水産業、近未来技術の11分野で86の事業が認められています。
 
この中の外国人材のメニューには、「外国人家事支援人材の活用」、「創業人材の多様な外国人の受け入れ促進」、「クールジャパン外国人人材の受け入れ促進」、「外国人を雇用しようとする事業主への援助」、「農業支援外国人材の受入れ」といったものがあり、認められた地区内で既に実現されています。
 
従来、これらは出入国管理難民認定法により認められておらず日本国内では実現することはできませんでしたが、特区に認められることにより例外として公に認められたこととなります。
 
このようにして認められた提案の中にはその効果などが認められれば全国的に拡大していく例も見られます。
 

特区って誰が提案するの?

特区は地方公共団体や民間事業者などから意見を応募し、その結果として議論がなされていきます。
 
そのため、現在は入管法により就労が許可されていない業種などでも、「業界として外国人材をもっと受け入れたい」と思えば、特区の提案を行うことは可能です、とはいえ、実際には地方自治体の望む方向と業界団体の思惑が一致した際に、共同で提案を行うといった例が多いようです。
 
その例として沖縄県では、「外国人のホテル宿泊業における在留資格の緩和」、「レジャーダイバーガイドに係る要件緩和」、「外国人IT人材受け入れ事業」、「内外併用の日本国籍船舶に係る在留資格変更届の免除」、「船内台車の船用品への位置づけ」、「航空機整備におけるドローン活用」、「バスの自動運手」などの観光に力を入れている沖縄らしい提案を行っています。
 
とはいえ、これらは現状のルールでは認められていないものであり、当然ですが提案すべてが受け入れられる訳ではありません。慎重な協議の結果、認められるものとそうでないものに分かれていくことになります。
 

特区がもたらす生活の変化

このように企業や地方自治体が力を合わせれば、現状では認められていない事業なども特区として正式に実行することが可能となります。
 
最近の外国人関連の提案の多さは、宿泊業、観光業、農業など、入管法では単純労働とされ外国人の就労が認められにくい分野において人不足が深刻化していることが伺えます。
 
特区を活用すれば現状の人手不足を手っ取り早く解消したり、ビジネスを有利に進めることも可能となり、経済的なメリットが受けられます。
 
その反面、そもそも従来は認められていなかったものであり、そこには認めることができない理由があったはずです。
 
外国人の受け入れの場合には、短期的には日本人の雇用機会の減少、治安の悪化などがあげられますが、長期的な視野に立てば“外国人がいなければ農業が成り立たない”といった国の食糧政策の根幹にまで影響を与えることも考えられます。
 
特区については目先の利益だけでなく、長期的な視野でとらえて総合的に判断した上で、上手に活用していくことが求められています。
 
Text:佐野 誠(さの まこと)
ACROSEEDグループ 代表・行政書士



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