更新日: 2019.09.18 その他

実録!就職せずに約30カ国の世界一周へ!帰国後、社会人となり直面した現実と抱いた想い

実録!就職せずに約30カ国の世界一周へ!帰国後、社会人となり直面した現実と抱いた想い
小学生から中学生まで、野球一筋の野球少年だったKくん。しかし、中学最後の大会でケガをし、人生の目標を失うことに。

「野球」を失った彼は、高校生の時に「人生やりたいことリスト」を作成。500は挙げた項目の中で、「海外の景色を見たい」という目標を実現しようと決意しました。

大学卒業後に就活をせず、1年間世界一周旅行に出かけたKくん。彼が見た景色とは?
また、帰国後に就活の遅れはハンデとならなかったのでしょうか。お話を伺いました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

世界一周旅行のために3つのバイトを掛け持ちし、大学4年間で320万円を貯めた

Kくんが世界一周旅行に向けて、準備をしはじめたのは大学1年生の時。自分の行きたい場所を巡る世界一周旅行は300万円あればできると考え、大学卒業までに300万円の貯金を目標としました。
 
朝のバイトの後に、夜から朝までのバイトというように、3つのバイトを掛け持ちしたと言います。実家暮らしだったため食費などに困ることはありませんでしたが、遊ぶのも月何回と決め、切り詰めて生活しました。
 
大学1年生から4年生の途中までこのような生活を続けたKくんは、その間に320万円を貯めました。こうして、大学卒業後に晴れて念願の世界一周旅行に出発したのです。
 
Kくんはまず飛行機でアジアまで行き、陸路でインド、飛行機でインドネシア、飛行機でトルコ、陸路でヨーロッパを回り、モロッコ、飛行機でアメリカ、飛行機で日本に帰るというルートに決めました。
 
期間は1年間、その間に26カ国を回ったそうです。かかったお金は当初の予定通り300万円くらいでした。
 

一番、身の危険を感じた出来事はモロッコでの集団リンチ

Kくんが世界一周旅行をした中で、最も身の危険を感じた出来事はモロッコでの集団リンチです。
 
その時Kくんは、宿を探してモロッコの迷路のような街をさまよっていました。前方から来た2人組の若い男が、Kくんに何か言いました。
 
言葉は分からなかったものの、「金を出せ」と言っていると察したそうです。2人なら勝てるかもしれないと思ったKくんはファイティングポーズをとりました。
 
しかし、後ろからさらに仲間が4人現れ、結局6人の男に囲まれてボコボコにされてしまったそうです。
 
はじめは抵抗したものの、「無理だな」と悟ったKくんは自分のバッグを投げました。所持金30万円ほどと、カメラ、PCを盗って、男たちは去って行きました。
 
お金目当てだったため、それ以上何かされることはありませんでした。
 
十数発の打撃を受けたKくんは、顔面が腫れて鼻血も出ており、恐怖で1週間は外に出られなかったと言います。
 
旅を続けるかどうかも少し考えましたが、その頃には世界一周旅行も終盤で、アメリカに行きたいという強い思いが後押しして旅を再開することができたそうです。
 

泊まった中で一番安い宿は一泊350円。屋根のない宿に泊まることも

Kくんが泊まった宿の中で最も安い宿は一泊350円のドミトリーだったそうです。
 
ドミトリーはゲストハウス、バックパッカーズなどと呼ばれており、相部屋の格安宿泊施設です。Kくんが350円で泊まったドミトリーも相部屋で、一つの部屋に2段ベッドが6つほど並んだ造りでした。インドやタイでは、このような宿に安く泊まることができたそうです。
 
また、最もひどかった宿はラオスで泊まった宿。家の屋上にあり、ブルーシートで区切られているだけで屋根もありません。虫がすごく、マットレスも汚れていて虫が湧いていたそうです。こちらの宿は一泊500円くらいでした。
 

ヨーロッパでは「カウチサーフィン」を使って、無料で宿泊させてくれるホストを探した

ヨーロッパではカウチサーフィンというマッチングサイトを使って、宿を探しました。
 
カウチサーフィンは、家に泊めてあげるというホストと、宿を探しているバックパッカーをマッチングするサイトです。宿泊料は無料。
 
ホストは異文化交流を目的として宿を提供します。そのため、バックパッカーの中には「泊めてくれたら日本語を教えます」とコメントを付けてホストを探す人もいました。
 

アメリカではフェイスブックで募ったバックパッカー4人とルート66で大陸横断

アメリカではルート66を使い、車を借りてニューヨークからロサンゼルスまで横断しました。18日間くらいと想定していましたが、実際は29日かかったそうです。
 
1人で行くとお金がかかるので、フェイスブックでコミュニティーを作って仲間を募りました。日本人2人、東南アジア人2人が集まり、Kくんを入れたバックパッカー5人で横断することに。
 
知らない人と1カ月近く暮らしたことで人と人との衝突は多少あったものの、これといったアクシデントもなく、アメリカ横断を成功させたそうです。
 

世界一周旅行をして学んだお金に対する考え方

ひとつは大きな目標も、細分化すれば達成しやすいということ。例えば、世界一周旅行のために300万円を貯める時、学生が300万円と聞くと途方もない金額に感じるかと思います。
 
しかし、大学にいる4年間で貯めると考えれば、1カ月に6万2500円貯めればいい。そう考えれば実現できる気がする、とのことです。
 
また、Kくんは旅の前に絶対に行きたい世界遺産の入場料などを計算して、旅をするうえで必要な金額を算出しました。
 
さらに、ヨーロッパでお金がかかること想定して、アジアでは極力お金を使わないようにしたそうです。このような経験から、お金の管理において逆算して考える習慣ができたと言います。
 

帰国後の就職活動は?就職後、世界一周旅行の経験は生かされた?

Kくんは大学を卒業し、1年間世界一周旅行に出かけ、翌年の2月に帰国しました。
 
帰国後、第二新卒の紹介会社に登録し、1社目で内定をもらうことができたそうです。
 
入社1年目は、部署異動によってタイのオフィスで9カ月間働きました。日本に戻った2年目からはその行動力を買われ、新規事業を任されることに。
 
Kくんいわく、新規事業は新しい国に行く時と同じ気持ちだそうです。何が待っているか分からない所に飛び込むという点で、似ているのかもしれませんね。
 
今の仕事は性に合っていると言います。新しいことを始めるわくわくした気持ちを胸に、Kくんは今も旅を続けています。
 

世界一周旅行のこぼれ話。Kくんに一問一答

Q.旅行中病気にはなりませんでしたか?
 
A.病気や腹痛はなかったです。費用の安いタイで予防接種を受けておきました。狂犬病やA型肝炎、B型肝炎など、受けられるもの全てです。
 
Q.どんなものを食べましたか?
 
A.なんでも食べました。タイでは食用のゴキブリやサソリなども。どちらもから揚げでした。サソリはおいしかったけど、ゴキブリはまずかったです。
 
Q.絶対に行った方がいいという場所はありますか?
 
A.モロッコのサハラ砂漠です。ラクダに乗りながら、砂漠を旅しました。明かりはひとつもなく、上は一面の星空で、天の川も見えました。時が止まったような、宇宙の中にいるような…。自然を見て涙することはそれまでありませんでしたが、この時は自然と涙がこぼれましたね。
 
Q.旅で出会った人との交流は今もありますか?
 
A.数人とは今も仲良くしています。来日した友人を案内したり、スカイプで話をしたり。タイのオフィスで働いた時は、現地で遊んだりしました。
 
Q.これから世界一周旅行をしたいという学生さんに、旅行中気を付けることや就活についてのメッセージをお願いします
 
A.旅行するうえで気を付けるべきことは、調子に乗って序盤にお金を使いすぎないようにすること、日本で培った常識を持ち込まないこと。
 
例えば、日本ではカフェで席を離れる時に、荷物を置いたままにすることがあるかと思いますが、海外では盗まれる危険があります。そういった危機意識を持つことも大事ですね。
 
それと、1年就活のスタートが遅れることについては、心配する必要はないと思います。自分の行動次第でなんでもすることができます。やりたいのであればやってみましょう。
 

Kくんからは一度きりの人生を思い切り楽しもうというエネルギーを感じました

大学卒業後に世界一周旅行をしようと志したKくん。友人が就職活動を始めた時期には、世界一周旅行で就活が遅れることについて、「今のままでいいのかな」と心が揺れることもあったそうです。
 
しかし、「後悔したくない」という強い思いが、彼を後押ししました。世界一周旅行による1年間の経験は、ハンデになるどころか大きな武器になったのではないかと思います。
 
「自分の行動次第でなんでもできる」そう語るKくんからは、一度きりの人生を思い切り楽しもうというエネルギーを感じました。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。