更新日: 2019.09.18 その他
片道1時間・・通勤に必要な交通費が会社から支給されない!? 支給は義務ではないのか
それゆえ、交通費の支給は当たり前と考えている人も多いかと思います。
ところがこの交通費、会社によっては支給されないということもあるのです。交通費の額は個人によって差があるものの、勤務するうえで必要不可欠な費用です。
それが支給されないということに問題はないのでしょうか。そこで、今回は通勤に必要な交通費について解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
法律上交通費の支払い義務はない
現在、ほとんどの会社において通勤のために必要な交通費が支給されています。
社会保障と同様に法律によって支給が義務付けられているかのようです。そのため、交通費が支給されないのは違法なのではないかと思われる方も多いと思います。
ところが、通勤に必要な交通費について支払いを義務付ける規定は法律上存在しないのです。あくまでも交通費は会社の厚意によって支給されているにすぎないのです。
つまり、結論としては「基本的に交通費が支給されなくとも、法律上問題はない」となります。
もちろん、会社と交渉して交通費を支給してもらえるよう、はたらきかけること自体は可能です。
ただ、それを受け入れるかどうかは会社に決定権があり、必ずしも支給されるようになるとは限りません。
就業規則に規定があれば交通費を請求することができます
先ほど確認したように、法律において交通費の支給を義務付ける規定は存在しません。
ところが、就業規則に交通費を支給するとの定めが存在していれば話は別です。交通費について不支給とすることが法律上認められていても、就業規則に支給すると定められていれば、会社には交通費を支給する義務が生じます。
就業規則は10人以上の労働者を使用する事業所において、作成と労働基準監督署への届け出が義務付けられています。
就業規則の有無について会社に確認し、就業規則の作成がされているのであれば交通費の取り扱いについて確認しておくと良いでしょう。
就業規則に規定がなくとも労働契約の内容に交通費について定められていれば請求することができます
就業規則において交通費に関する規定がないからと諦めるのは早計です。
会社との間で結んだ雇用契約の内容を確認してみましょう。雇用契約書や労働条件通知書に交通費が支給されるよう記載されているのであれば、それを根拠に交通費を請求することができるのです。
逆に、交通費について就業規則上の取り決めがなく、雇用契約書等にも取り決めがないような場合は交通費を請求することは難しいでしょう。
交通費の取り扱いについて事前に確認しておきましょう
通勤に必要な交通費は、就業規則などに特段の定めのない限り会社に支給する義務はありません。
交通費の支給の有無は基本的に会社が自由に決めることができるのです。
また、交通費の支給について交渉すること自体は可能ですが、必ずしも会社側から良い返事をもらえるとは限りません。
入社後に交通費の支給がないことに気付いて後悔してしまうことのないように、就職や転職に際してはあらかじめ交通費の支給について確認しておきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー