最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.05.14
暮らし

離婚後、養育費を受け取っている母子家庭は約25% 継続的に養育費を支払わせるには

日本では、離婚後に父親が子どもの養育費を支払わず、生活に困窮する母子家庭が多くあります。
 
養育費の確保は、平均的に収入の少ない母子家庭にとっては重要な問題です。しかし、厚生労働省が行った「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費を取り決めしている母子世帯は約44%にすぎません。
 
また、実際に現在も養育費を受け取っている母子家庭は約25%しかありません。
 
離婚した夫に養育費を払えるだけの経済力がなければ仕方ありません。しかし、父子世帯の父親自身の平均年収は420万円(平均年間就労年収398万円)ですので、養育費をまったく支払うことができない経済状況とはいえません。
 
父親に養育費を支払わせるにはどうしたらよいか。ここでは、面会交流に着目してみたいと思います。
新美昌也

Text:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

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新美昌也

執筆者:

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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養育費とは

養育費は子どもが経済的、社会的に自立するまで、子どもを監護・教育するために必要な費用をいいます。
 
具体的には、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当ります。離婚によって親権者でなくなっても、子どもとの親子関係が切れるわけではありませんので、子どもの成長を経済的に支える義務があります。
 
この義務は、生活に余力がなくても、自分と同じ水準の生活を保障する強い義務(生活保持義務)とされています。
 
養育費は子どもの成長にとって、とても重要な費用ですので、離婚時に取り決めをしておくことが大切です。支払いを確実にするため、口約束ではなく、少なくとも書面で、できれば公正証書にしておくとよいでしょう。
 

母子世帯の現状

ひとり親世帯の相対的貧困率は54.6%(2012年)と、OECD加盟国中でもトップクラスにあります。平成28年度全国ひとり親世帯等調査(厚生労働省)によると、母子世帯になった理由は、離婚が79.5%、死別が8.0%となっています。
 
大半が離婚です。離婚のうち、90%以上は協議離婚です。離婚するにあたっては、子どもの親権者を決めることは必須ですが、養育費の取り決めはしなくても離婚できます。
 
同調査によると、養育費の取り決めをしていない理由は、「相手と関わりたくない」(32.3%)、「相手に支払う能力がない思った」(21.4%)、「相手に支払う意思がないと思った」(18.3%)となっています。
 
そのため、養育費の取り決めをせず離婚するケースも多く、養育費の取り決めをしている母子世帯は44.2%にすぎません。
 
また、養育費を現在も受けている割合は25.4%とさらに少なくなっています。取り決めをしても実際には実行されない現実があります。この影響だと思いますが、子どもの大学等進学率は、子どものいる世帯の半分程度となっています。
 
母子家庭の平均年間収入は243万円(平均年間就労収入は200万円)となっています。就労収入が多くないのは、働いていないからではありません。
 
母子世帯の就労率は81.8%と高いにもかかわらず、母親は、育児と仕事の両立が難しく、正規で職に就くのが困難で、パートやアルバイトといった非正規を選択せざるをえないといった事情があります。母子世帯では就業者の43.8%がアルバイトやパート等です。
 
子どもの生活を支える養育費も、先ほど見たように相手から支払われないことも多く、現金給付の児童扶養手当も金額が十分とはいえません。母子世帯の貯蓄額は51.4%が50万円未満です。病気などで収入が途絶えると生活が立ち行かなくなります。養育費の確保はとても重要です。
 

養育費の確保の手段としての面会交流

面会交流は、離婚後に子どもを養育・監護していないほうの親によって行われる、子どもとの面会および交流のことをいいます(民法766条)。子どもと継続的、定期的に会ったり、電話や手紙等の方法で交流します。
 
離婚の原因はさまざまなので、面会交流が子どものためにならない場合もあると思いますが、面会交流を通じて子どもはどちらの親からも愛されている、大切にされていると感じることができる場でもあります。
 
さて、労働政策研究・研修機構「第4回(2016)子育て世帯全国調査」に、親子間の交流と養育費の受取率の関係について、興味深い調査結果が掲載されていますので紹介します。
 
同調査によると、過去1年間、父親と子どもとの面会や会話が「ほとんどない」または「まったくない」、いわゆる「面会交流なし」と回答した母親は、離婚母子世帯全体の68.2%を占めています。
 
親子間の交流と養育費の受取率の関係については、離婚した父親が子どもとの間に「面会交流あり」の場合、養育費の受取率が25.1%で、「面会交流なし」の場合の12.0%よりも高くなっています。
 
このように、離婚した父親が子どもとの間に交流を続けている場合、養育費の受取率が高くなっています。
 
もちろん、面会交流があっても、養育費の未払いもありますので、面会交流があれば養育費が継続的に支払われるという保証はありません。
 
しかし、定期的、継続的な面会交流によって子どもへの愛情が深まり、子どものために経済的な支援をしようという気持ちが、面会交流がない場合に比べて強くなるという面はあると思います。
 
父親に養育費を継続的に支払ってもらうためには、書面で取り決めをすることのほか、面会交流の取り決めをしておくことが大切です。
 
なお、養育費と面会交流は別問題です。途中から養育費が未払いになったとしても、これによって面会交流を制限する理由にならないと考えられています。
 
※ご指摘により、一部内容を変更いたしました。2018年5月15日
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。



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