更新日: 2019.09.18 その他

こどものけんか 相手のママから治療費請求が!こちらが悪くなくても払う必要ある?

こどものけんか 相手のママから治療費請求が!こちらが悪くなくても払う必要ある?
こどもが小さいうちは、ささいなことから殴り合いのけんかになることもあります。

しかし、相手のいじわるが発端のけんかだったとしても、けがをさせてしまったら、相手に治療費を支払う必要があるのでしょうか。

お互いに非があったら、けがの程度が悪かったら、やめてと言ってもやめなかったら…状況によって対応が変わるのでしょうか?
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

こどもがきれやすくなっている?小学校の暴力件数が増加中

小・中・高等学校における、暴力行為の発生件数は5万9444件。児童生徒1000人当たりの発生件数は4.4件です。
 
中でも小学校の暴力件数が増加を続けており、平成28年度の暴力行為発生件数は2万2841件となりました。
 
暴力の内容は「対教師暴力」や「器物破損」などがありますが、最も多かったのは「生徒間暴力」で3万9484件。昨年比から約10%も増加しています。
 
都道府県別にみると、島根がワーストで最も件数が多く、愛媛・鹿児島県が最も少ないという結果になりました。
 
小学生は体の成長に個人差がある時期です。体の大きな子が小さな子に暴力をふるったり、限度を知らずに暴れると、こどもとはいえ大きなけがになりかねません。
 
こどもの暴力は、家庭や学校での指導がより必要な状況にあるようです。
 
参考資料:文部科学省平成28 年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/02/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401595_002_1.pdf
 

こども同士のけんかで相手にけがをさせてしまった場合、こちらに非がなくても治療費を支払わなくてはならないのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。

例えば、相手が先に挑発して手を出してけんかに発展し、けがの程度も双方同じくらいの場合でも、事情によっては、相手に治療費を支払う必要があります。逆に、自分が相手に治療費を請求することができる場合もあります。
 
そもそも、けんかが原因であっても原因でなくとも、他人にけがをさせた人は、治療費や慰謝料を支払う義務が生じます。けんかの場合、当事者双方が加害者となるわけですから、双方に治療費等を支払う義務が生じるのです。
 
これは、暴行によりけがをした、その分の賠償をしましょう、ということが相互に発生しているだけです。
 
どちらが先に手を出したのか、どちらに大きな非があるのか、といった点は、過失割合(過失相殺)という議論で検討されることもありますが、支払義務があるか否かというレベルの話では考慮されにくいと考えてよいでしょう。
 
未成年が他人にけがをさせた場合、その未成年者に責任を弁識するに足るべき知能がない場合、本人は損害賠償の責任を負いません(民法712条)。その場合、未成年者の監督者が賠償責任を負う規定(民法714条)があるため、それに基づいて親の責任が生じることがあります。 
 
過去の裁判例などからすると、責任能力があるか否かの基準となる年齢は、11歳~12歳前後のようです。
 
実際には明確な線引きがあるわけではなく、未成年者の行為の態様や状況などを考慮して責任能力の有無が判断されているようですが、小学校卒業までは親の責任が問われることが多いように感じます。
 

暴力ではなく言葉で気持ちを伝えること、話し合いで解決する必要性を教えたいですね

こども同士のけんかではどちらに非があるかに関わらず、けがをした相手に治療費を請求されたら、基本的には支払う必要があることが分かりました。
 
「たとえ挑発されても手を出してはいけないよ」とこどもには教えたいものですが、これは大人でも難しいことかもしれません。
 
大人はこどもに対して、暴力ではなく言葉で気持ちを伝えること、話し合いで解決する必要性を教えなくてはいけませんね。
 
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/

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