更新日: 2019.08.29 その他
生活保護世帯への支援が注目!?どう変わるのか
このなかでは、生活保護世帯の子供の大学等進学への支援が注目されます。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
児童養育加算は拡大、母子加算は減額
生活保護では児童を養育される人に対し、一般の基準生活費に加え児童養育加算を認定しています。支給対象が「中学生まで」から「高校生まで」に拡大されました。支給額は月1万円です(3歳未満等1.5万円)。
これにより、高校3年間で36万円増えることになります。
生活保護では1人親世帯等の人に対し、一般の基準生活費に加え母子加算を認定しています。現行では、母子(子供1人)の場合、母子加算の額は平均月2.1万円ですが、見直しにより平均月1.7万円に減額されます。
月平均4000円の減額は大きいですね。約20%の減額です。2018年10月から段階的に実施されます。
教育扶助・高等学校等就学費
小中学校の教育費は「教育扶助」、高等学校は「高等学校等就学費」から支給されます。高等学校の受験料支給回数の拡大や、制服等の買い直し費用が支給されます。
高校の学習支援費がクラブ活動費に限定され、年額6万1800円(金銭支給)から年額8万3000円を上限とする実費支給に変更になります。従来の学習支援費の対象であった、学習参考書や一般教養図書などは対象外になりました。
また、高校の入学準備金(制服等の購入費)が、6万3200円(実費上限)から8万6000円(実費上限)に増額されます。
大学等への進学支援
生活保護世帯では、保護を受けながら大学等に進学することは認められていません。進学するには「世帯分離」する必要があります。別居する必要はありませんが、生活費と学費をアルバイトや奨学金などで賄う必要があります。
自力進学しなければならず、大学等へ進学しても中退するケースが少なくないようです。
18年度入学者より一時金として自宅生10万円、自宅外生30万円が支給されることとなりました。また、自宅から大学等に通学する場合に、出身世帯の住宅扶助費の減額をしないこととなりました。
なお、昨年、日本学生支援機構に給付型奨学金が創設され、生活保護世帯の生徒が対象となっています。給付額月額は、国公立(自宅)2万円、(自宅外)3万円、私立(自宅)3万円、(自宅外)4万円です。給付人数が昨年度の2800人から2万2800人になります。
日本学生支援機構の給付型奨学金は、高校3年の春にしか申し込むことができないので注意してください。また、進学後、著しく成績が悪いと、給付された奨学金を返還しなければならない場合もありますので、留意しましょう。貸与型との併用が可能です。
高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)
高校の授業料の支援として、高等学校等就学支援金があります。年収約910万円(市区町村民税所得割30万4200円)未満の世帯は、公立高校の授業料(約12万円)が無償になります。
私立高校の場合は、低所得世帯にとって、授業料の負担が大きいため、所得に応じて就学支援金の1.5~2.5倍した額を上限として支給されます。
高校にかかる教育費は授業料だけではありません。むしろ、授業料以外にかかる教材費、修学旅行費などの費用のほうが大きいです。低所得世帯のさらなる教育費の負担軽減を図るのが、高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)です。
対象となる世帯は、生活保護受給世帯と非課税世帯です。このうち、非課税世帯(全日制等)の第1子の給付額が増額しました。生活保護受給世帯の給付額は変わりません。
例えば、生活保護受給世帯(全日制、通信制)の給付額は、国公立の高等学校等に在学する者は年額3万2300円、私立の高等学校等に在学する者は年額5万2600円です。
非課税世帯(全日制等)の第1子の給付額は、国公立の高等学校等に在学する者は年額7万5800円 → 8万800円、私立の高等学校等に在学する者は年額8万4000円 → 8万9000円に増額されました。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。