更新日: 2019.01.08 その他

「子育て世代」が住まいを探すときに重視したい4つのポイントとは

執筆者 : 塚越菜々子

「子育て世代」が住まいを探すときに重視したい4つのポイントとは
妊娠出産が分かったときや子供が生まれるタイミングで、住まいを移ることを検討し始める方は多いのではないでしょうか?子育て世代がこれから引っ越しを検討するときに、保育所の数や子育て支援の取り組みの有無など、どういった点に気をつけて探せば良いのでしょうか。
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

子育て世代が重要視する居住環境とは

 
2010年と少々古いデータではありますが、国土交通政策研究所の「子育てに適した居住環境に関する研究」※では、子育て世帯が何を意識して居住環境を選択し、その満足度はどうだったか公表されています。
子育て世帯が重要視し、満足しているポイントを挙げてみました。
 
※子育てに適した居住環境に関する研究
http://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/kkk92.html
 
1:緑・街並み
子育て世帯の多くは「近くに子供の遊び場があること」を重要視しています。大規模な公園よりも家から近いところに遊具などのある公園があることで、暮らしやすいと感じるようです。また、日常生活圏に繁華街がなく喧騒としていないことも大事にしたいポイントです。
 
2:生活の利便性
近くに日用品を購入することができるスーパーなどがあるかは大事なポイントです。車を所有するかどうかにも関わるポイントですので、規模や交通の便も含め確認したいところです。また、駅やバス停などの公共交通機関が徒歩圏内にあるかは、日常生活を送るうえで大事なポイントです。
 
3:保育・教育・医療
保育園や幼稚園などの施設がどの程度あるか。選択肢がどの程度あるかも注視していることが多いです。また、基本的に徒歩で通うことの多い小学校・中学校への通学のしやすさも大事です。
 
また、公的な施設ではありませんが、小児科などの子供がかかりやすい病院があるかどうかも確認したいところ。かかりつけ医にしやすい規模のほかに、緊急時に駆け付けることができるか、休日夜間の救急対応はどうなっているかも、子育て世帯は気にしておきたいですね。出産に際しての補助や、乳幼児医療の助成などの行政サービスもチェックポイントとなります。
 
4:安心・安全
治安が悪いところを好き好んで選ぶ方はいないと思いますが、防犯上の不安がないことは特に子育て世帯にとっては大事にしているところです。都市計画法により、それぞれのエリアには「用途地域」というものが定められていて、どのような利用の仕方をしていいか決まっています。突如として大規模商業施設などが立つと住環境は一転してしまいますので、住まいを検討するときは確認するようにしましょう。
 

子育て世帯と言っても子供の年齢で重要視するポイントは違う

住み替え用としているときの子供の年齢を基準に考えてしまうものですが、子供はどんどん大きくなります。必要とされる支援や環境も変わります。
 
1:出産~乳幼児期 
妊娠出産時の妊婦健康診査の補助なども住む地域によって違いが出てきます。厚生労働省調査「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」※によると、筆者の住む神奈川県の平均は全国の47都道府県でも最下位の公費負担額となっていました。県で一律ではなく自治体ごとに差がありますので、調べたいポイントではあります。子供が生まれてから就学前の乳幼児医療の助成についても自治体によって差があります。
 
また、この時期でもっとも重要視されるのは「保育園の待機状況」ではないでしょうか。妻が働いている場合は保育園に入れない=働き続けることが難しいということに直結します。保育園やそれ相当の保育施設を増やしているとはいえ、依然として待機児童問題は解消しているとはいいがたいので、しっかりと公表されているデータをチェックし、時には直接問い合わせてしっかりと確認したいポイントです。
 
※妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について
www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000176691.html
 
2:小中学校などの児童・生徒期
小学校低学年の場合は、保育園問題に引き続き学童保育などの放課後の居場所の確保も肝心です。保育園と違い問題がまだ大きく取りざたされていない分調べにくい部分でもあります。小学校6年まで在籍は可能だとしても、低学年が優先で実際のところ入れなかったという問題もありますので、必要に応じて現況を直接運営団体に問い合わせるなどする必要があるかもしれません。
 
また、この時期になると子供が一人で出歩く時間も出てきます。治安はもちろんのこと、出入りするエリアにある商業施設や、道路などの交通量も気にしておくポイントとなるでしょう。
 
3:高校・大学~自立
この時期になると行動範囲が急に広がります。大人同様に通学や通勤などで移動することが多くなるでしょう。そうなると公共交通機関の使いやすさというのは重要です。住むエリアから負担のない範囲で通えるのはどこまでか。常に送り迎えが必要な場所になると選択肢が狭まる可能性もあります。
 

大切なのは「いつでも全てに満足できる」ということは難しいということ

今回はあくまで居住環境に注目し、間取りや金額のことには触れていません。しかしそれでもこれだけのポイントが出てきます。たくさんの選択肢があるうえに、子どもはどんどんと大きくなっていきます。さらには子育てをしている期間は人生の一部であり、子育てが終わってからもまだまだ長い期間があることを忘れてはいけません。
 
こうなったときに大事なのは「全部をとることはできない」だからこそ「優先順位をつけていく」ということです。
 
どうしても『今』にピッタリ合った環境を選びたくなってしまうものですが、住まいというのは簡単に帰ることが難しいからこそ、子供の成長と子育てが終わった後のことも少し考えて検討していただきたいと思います。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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