更新日: 2019.01.08 その他

身近な電気の話 台風時に起きる「配電スパーク現象」とは?

執筆者 : 藤森禮一郎

身近な電気の話 台風時に起きる「配電スパーク現象」とは?
大型台風が列島を縦断した時、全国各地で「配電線のスパーク」現象が確認されました。今回は、九州地方、中部東海地方、東北地方で多発したようです。この配電線スパーク現象とはなんでしょうか? 
藤森禮一郎

Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。

 

スパーク現象は、いわゆる「塩害」の一種です

 
台風の季節などに見られる配電線スパーク現象は、昔から確認されている電気の現象で、目新しく特異な現象ではないようです。それにしても各地から鮮やかなTV映像が届いていましたね。

テレビ映像にはプロが撮影した映像を使っていましたが、最近は視聴者参加型になってきました。ですから近隣住民、事故や事件の現場にいた目撃者が手持ちのスマートフォンで撮影した映像が盛んに使われています。スマフォの普及とインスタグラムブーム。誰でも目撃情報を映像化し容易に提供できるようになり事件報道が身近になってきた影響でしょうね。

台風の通過時などに多発する配電線スパーク現象は、以前から電力会社にとっては頭の痛い問題です。いわゆる塩害の一種で、すぐに健康被害につながる事象ではありません。

今回のスパーク現象の発生地域を見るとわかりますが、ほとんど沿岸部に集中しています。通年で塩害にさらされている地域です。内陸部ではほとんど発生していませんね。
電力会社は塩害多発地域では、送配電線や変圧器など電力流通機器に特別な絶縁対策を講じています。対策によりスパーク現象を減らすことはできてもゼロにするのは難しいようです。

スパークの発生により停電になった地域もありましたね。それではスパークはなぜ起きたのでしょうか。配電の専門家に聞くと、「強風により運ばれた海水中に含まれる塩分が電線に付着し、雨によりリークを起し火花(スパーク)を発生した」と言います。

雨によるリーク?とはどういうことでしょうか。配電線には電気を通さない絶縁体の碍子(ガイシ)がありますが、その碍子の表面や電線被覆(ビニール絶縁電線)に塩分等が継続的に付着し、台風などで水分を含むと電流が漏れ出ることがあります、その事象をリークと言います。突然、電流が流れますから、「パチッ」と光と音を発します。

ピカッと光ったら、危険ですから決して近寄らないでください。すぐに電力会社に連絡してください。処理と対策は専門家に任せて、自分は安全なところに避難してください。

 

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電力の購入先に関係なく地域の電力会社に連絡

 

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「スパーク」「ショート」ってなに?

 
ところで、配電トラブルでよく耳にする電気の専門用語に「スパーク」と「ショート」があります。両者にはどんな違いがあるのでしょうか。調べてみました。電気事業について言いますと、スパークはどちらかと言えば屋外で発生する事象です。これに対しショートは屋内でも屋外でも発生する事象です。

スパークですが、離れているものの間に予期せぬ電流が流れて「パチッ」という音と光を発する現象のことです。青白い火花が飛ぶので火花をスパークと呼んでいます。このスパーク現象は、私たちは実は身近に経験しているのですよ。

例えば、ガスコンロやライターで着火する際にパチパチと音がしますね、あれはスパーク音です。でも電線の場合は、真っ暗な雨の夜のスパークですからビックリしますよね。停電を誘発すことがありますが、危険は事故ではありませんから落ち着いて行動してください。

家の中で「電化製品がショート」すると多くの場合火花を伴う場合がありますのでスパーク=ショートだと思われている方も多いようですが、実は違う事象ですね。

ショートとは、絶縁材や物の距離をとることで、本来は電気的に離されているにもかかわらず電気が流れてしまう事象です。何らかの理由で、物が直接に接触するなどにより物と物の間の絶縁が悪化し予定外の電気が流れてしまうことです。ショートのことを専門家は「短絡」と呼んでいます。設計した本来の回路ではなく、予期せぬ最短の回路を電流が流れてしまうのですね。漏電の原因になります。ショートの理由は様々です。対応必ず専門家に相談してください。