更新日: 2019.01.11 インタビュー

人生100年のビジョンマップ ~心もお財布も幸せに生きよう~ PART7

クラウドクレジット株式会社代表取締役・杉山智行さんに聞く 第4回 人生100年は起業家と最も相性の悪い言葉かも知れない!?

Interview Guest : 杉山智行

クラウドクレジット株式会社代表取締役・杉山智行さんに聞く 第4回 人生100年は起業家と最も相性の悪い言葉かも知れない!?
人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているでしょうか?
 
この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし人生100年時代のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。
 
クラウドクレジット株式会社杉山社長へのインタビューはいよいよ最終回です。若き起業家の人生100年プランをお伺いしました。
 

Interview Guest

杉山智行

杉山智行(すぎやま ともゆき)

クラウドクレジット株式会社代表取締役。2005年 東京大学法学部卒。大和証券SMBCに入社し、金利、為替の自己勘定取引チームで日本国債等への投資業務に携わる。
 
2008年ロイズ銀行東京支店に入行し、銀行では資金部長として、支店経営陣に対してリテール預金の獲得など日本での事業機会について助言を行い、運用子会社の日本における代表および運用責任者として、日本国債および海外社債等での運用を行う。
 
2013年クラウドクレジット株式会社を設立し、2014年6月より投資型クラウドファンディング・サービス「Crowdcredit」の運営を通じて日本の個人投資家と世界の資金需要者がWin/Winの関係をつくるサポートを行う。
 

山中伸枝

interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。

新美勝

Photo:新美勝(にいみ まさる)

フリーランス・フォトグラファー

 

 

仮想通貨への投資を始めました

山中:今回のインタビューのテーマは、人生100年のビジョンマップなんですね。35歳の杉山さんご自身、これから進むべき道について、どういう風にお考えなんでしょうか。
 
杉山:正直ベースでお話しさせていただくと、起業してから4年半、ちょうど1年前までてんやわんやで、自分は60歳までたぶん生きていないだろうと思っていました。どこかで死ぬなと思っていたので、あまり人生設計を考えたことがありません(笑)。1年半前の冬に6回重度の風邪をひき、その時は本当にやばいと思いました(笑)
 
山中:えっ、一冬で。
 
杉山:一冬で一週間くらいせき、鼻水が止まらないみたいな風邪を6回連続でひきまして。毎回内科で免疫力が下がってますと言われ、これは本当にまずいと思いました。
 
それで、そこから食事を抜本的に改革しまして、基本野菜中心の食事に変えたところ劇的に風邪をひかなくなりました。そうなると、自分はもしかしたら老後まで生きちゃうんじゃないかなと思うようになりまして。
 
山中:生きちゃうんじゃないか(笑)
 
杉山:自分のお金はだいたいこの会社につぎ込んでしまったのですが、それでも資産形成をしていないのはやばいと思い始めまして(笑)。
 
日本では貸付型ファンドの運営者はチェリーピッキング防止の観点から自社のファンドを購入できないため、とても残念なことに肝心のクラウドクレジットのファンドでの資産運用は行えていないのですが、去年などはちょうどビットコインが一般にも知られるようになってきた夏頃に、少額ですが仮想通貨への投資を始めました。
 
メインストリームの資産形成界隈の方はあのようなものはけしからんとおっしゃる方が多いですが、個人的に面白いと思ったのは、株式等では数年、10年かけて起こる相場変動が数週間、数か月くらいの期間で起こるスピード感です。
 
なので時価総額ベースのアロケーションでの分散投資の効果や、積立投資をボラティリティが高い金融商品で行ったときの自分の心理状況を検証するのにうってつけでした。
 
今後はネット証券やロボアドバイザー等の口座をどんどん開けて老後のための資産形成始めようと思っているところです。
 

ベンチャーにおいて、軍事戦略は役に立たない

山中:人生においては、高校の時に研究した戦略はあまり役に立っていないんですね(笑)
 
杉山:特にベンチャーではあまり軍事戦略は役に立たないと思っています。
 
自分を律するにはいいのですが、人が死ぬか死なないかのぎりぎりすれすれの場面で用いられるもので、相当の忍耐を要するものなので、「自分がつらいときは人はもっとつらいのでもっと頑張れ」とかを他の人に押し付けたりしたら、ふざけるなみたいな話になると思います(笑)。受験勉強の場合は、個人プレーだったのでうまくはまったのだと思います。
 
山中:杉山さんって、字を読むのもメチャクチャ早かったりするんですか?
 
杉山:読む速さ自体は普通だと思います。ただ大学3年生頃から、授業以外は英語のテキストでしか勉強をしないことにしました。学生の時って時間があるので、その時間を使ってかなりの時間をかけて読むんです。
 
理解度も相当落ちるのですが、絶対その本の内容を知りたいので、相当頑張って読み込もうとするんですよね。それで英語を読めるようになるんじゃないかなと思いまして。それを始めてから15年経っていますが、今でもそれは続けており、様々な表現とかを覚えてネイティブに近づけたらいいなと思っています。
 
山中:思考も英語なんでしょうね。
 
杉山:原著が英語の本は、日本語版の本が出ていても絶対英語で読むようにしてます。あと金融については、日本はまだまだ多くの分野において専門的な知識を持っている人がほとんどいない分野があったりするんですね。情報は英語の方が相当豊富にある。
 
日本が世界最大級の経済大国になったというのは、あくまで自動車産業や電機産業という限られた産業のみが世界でたたかえる水準にいるということだと思っています。
 
国が大きくなって本当は金融って五流産業なのに、まさか五流のわけはないということが固定観念としてできてしまっていると思っています。
 
サッカーのように世界に追いつけ追い越せという立場だと日本人は大きな目標をたててレベルアップのためにみんなが頑張ると思うのですが、日本の金融業が米国、イギリスのみならず20年くらい前の日本サッカーのように世界中の国に追い付くことを目指す立ち位置にいるということに気づいている人は最近までそれほど多くなかったと思います。
 
あまりにも自動車産業等の製造業がすごいので、金融業は日本でやってこれてしまった。お給料も悪くないですし、世界で起きている金融イノベーションについていかなくてもいい生活をできるんだから、あえてチャレンジをしなくてもいいじゃんという風になってしまった。
 
ディーリング・ルームでは「リスクテイク、リスクテイク!」と威勢のいい言葉が飛び交うもののそこにいる誰も自分のキャリアのリスクは負わないというのが今の日本の金融業界ではないかと。
 
山中:たしかに、私の記憶する金融マンは体育会系って気もします。
 
杉山:ベンチャー企業でも金融業に関しては、日本はアメリカよりとにかく業者の絶対数が少ないんです。どの事業モデルでも、真面目に営業していてかつサービスをより多くの方に使っていただけるまでのレベルに達する事業者は、いつもだいたい1、2社のみです。その1、2社がもし不幸にも事故を起こしたりしてしまえば、プレイヤーが消滅してその業界はおしまいというのが日本の現状です。
 

プライベートを考えるようになったのはつい最近

山中:だからこそ、ご自身のチャレンジもあるんですね。余計なお世話ですが、これから資産も増やしたいし、家族も増やしたいみたいなことも考えていらっしゃるんですか?
 
杉山:そうですね。プライベートを考えるようになったのは、ここ数週間くらいでして。
 
山中:え、数週間?
 
杉山:今年にはいって国内で営業、態勢整備、海外で資金需要者のソーシング活動を行ったりしていたらプライベートの時間が無くなったり久しぶりに体調を壊したりで、体調が戻ってきたのが3週間くらい前なんです。
 
その後、仕事以外のことも頭がまわるようになったのがこの1週間くらいという感じ。そうですね。100年生きるのであればひとりぼっちは寂しいので、あるかもしれないなとか。
 
山中:そうですよね。
 
杉山:確かに、あるかもしれないですけど。人生100年計画、今度知り合いの起業家にインタビューしてみますね。もしかしたら人生100年というのは起業家と一番相性が悪い言葉なのではないかという気がしてきました。
 
山中:きっとそれは面白そうですね。
 
杉山:起業家は健康を保てないと自分がやりたいチャレンジが続けられなくなり、実現したいビジョンがそれによって達成できなくなってしまうリスクがあるため、健康のために食事、ジム通い、適度な睡眠等はとても気にしている方が少なくないと感じますが、人生を100年単位で考えましょうということを話している起業家はまだ見たことがないんですね。忙しくて考えていない。
 
山中:目の前のことに一生懸命というのが一番いいんでしょうね。
 
杉山:ちょっとプライベートのことも考えられる時期が来たかなと思ったら、だいたいすぐ何かが起きて忙しくなりまたプライベートがなくなってしまった、みたいな。
 
山中:なんか、私もそんな感じがします。(笑)
 
杉山:人生100年について、まともなご回答できなかったのが心残りですが、ありがとうございました。
 
山中:いえ、とても興味深いお話でした。とっても楽しかったです。本当にありがとうございました。


(第4回終了)
 
interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

Photo:新美 勝(にいみ まさる)

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