更新日: 2019.01.11 インタビュー

人生100年時代のビジョンマップ:心もお財布も幸せに生きよう!

セゾン投信・中野社長に聞く② 投資を自己責任と丸投げするのは金融業界の傲慢だ

Interview Guest : 中野晴啓(セゾン投信株式会社 代表取締役社長)

interviewer : 山中伸枝 / Photo : 新美勝

Interview Guest

中野晴啓(セゾン投信株式会社 代表取締役社長)

中野晴啓(セゾン投信株式会社 代表取締役社長)

1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。
 
その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。
 
現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、預かり資産は2,000億円を超える。また全国各地で年間150本以上の講演やセミナーを行い、積み立てによる資産形成を広く説き「積立王子」と呼ばれる。
 
公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。
 
著書に『預金バカ』(講談社α新書)、『はじめての人が投資信託で成功するたった1つの方法 』(アスコム)他多数。
 

セゾン投信・中野社長に聞く② 投資を自己責任と丸投げするのは金融業界の傲慢だ
人生100年時代と言われるようになりましたが、果たして私たちはビジョンを持って「人生100年」を受け止めているでしょうか?

この対談企画では、様々な分野の方にお話しをお聞きし人生100年のビジョンを読者のみなさんと作り上げていきたいと考えています。

今回は、セゾン投信株式会社代表取締役社長中野晴啓様に人生100年時代の資産運用「直販投信」についてお話を伺いました。その2回目になります。
山中伸枝

interviewer:山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。

新美勝

Photo:新美勝(にいみ まさる)

フリーランス・フォトグラファー

 

 

一番大事なのは、投資の仕方を伝えること

山中 セゾン投信さんは、投資信託を通じてお客様の不安を解消するというお話の中でね、これまではやっぱり投資って、買ったはいいけれども、不安でたまらない、今いくら損してる、いつ売ったらいいんだろうっていう、不安の塊でしかなかったじゃないですか。
 
それが積立だといつ買っても良いし、気にしなくても良いし、気が付いたらお金も成長していてって、すごく新しいスタイルを提案していると思うんですよね。
 
—中野 投資という概念に新しい価値観を吹き込んでくれたのはやっぱり金融庁だと思いますね。でまあ逆に、金融庁が「セゾン投信のやっていることは正しいことだと理解した」と言ってくれますので、今はもう胸を張って堂々と積立をすすめられます。
 
 一番大事なのは、投資の仕方を伝えることなんです。こういう商品を買えば、これだけ儲かるじゃなくて、あなた自身が正しい投資行動を続けることが、成果の前提であるということです。したがってだれでも皆良いファンドを探したがりますがでもいくら良いファンドを探したって、その人がふさわしくない行動を取れば、結果は全然報われないということなんです。
 
 業界の常識というか、今では当たり前に誰でも「投資は自己責任で」って言いますよね。
 
山中 いたるところで使われる言葉ですね。
 
—中野 でも投資は決して自己責任だけじゃないと思います。皆に良い成果をちゃんと実現してもらうためには、我々は投資をしたら、そのあとの行動規範まで、皆さんにきちんと守ってもらうような、発信をしなきゃいけない。そのファンドを持って、どういう形でそれを保有し続けるか、そして、それを保有し続けるためにはどういう心構えが必要か、そのために必要な行動規範はなにか、こういうことをずっと発信し続けることだと思うんです。
 
 そしてそれを、ちゃんとひとりでも多くのお客様に守っていただく。値上がりしたから、ぱっと売っちゃう、値下がりしたらこわいから手放しちゃう、これを放置したままで自己責任と言っているのは、いままでの日本の金融業界の傲慢だと思います。
 
山中 金融だけが、製造者責任を問われないというか、勝手にやってくださいみたいな、買ってもらったらいいけれども、そのあとは何も知らないよっていうのが当たり前だったような気がするんですよね。
 
—中野 そうですね。それは製造者責任ですよね。
 
山中 製造者責任だと思います。マーケットが動くというのはしょうがないですけれども、それ以外の運用者としての責任ってところも大いにあると思うんですよね。
 
—中野 結局、その正しい投資行動をとってほしくないのが、販売する側なんです。本来、まともな運用に出会えたら、その運用とずっと寄り添って、付き合い続けることが最大の成果の前提なんですけど、それをされると、販売した人は、次の商売ができなくなるんですね。
 
山中 販売会社って手数料が利益ですから。
 
—中野 だから結局、値上がりしたら、お客さんに今のうちに利益をとって次の商品にしましょう、こっちに新しいのがありますよっていう形で、乗り換えさせることによってずっと業界全体が成立してきちゃった。ここには投資家の幸せとか、お客様の将来の目標達成とかそういうのは完全に置き去りになってきてる。僕らの存在っていうのはね、金融業界への問題提起なんです。
 

お客様を幸せにすることが本当の顧客サービス

山中 多くの方にとって投資信託って嫌な思い出しかないんですよね。さっきおっしゃったように、買わされて、すぐ売らなきゃいけないって言われて、また買わされて、儲かった記憶がない。
 
—中野 今までは、売る側が本当に顧客の利益の最大化というか、お客様の幸せが全てという形でのビジネスをやってこなかったからでしょうね。要するに、正しい投資行動をきちんと伝えるという、これこそが顧客サービスであり、手数料をとることの役務対価がそこに存在しているはずですけど、それを全部取っ払って、いい商品がありますよ、この商品は毎月の分配金がたくさんもらえますよって散々説明して、販売手数料をとる。販売手数料の対価は何ですかといったら、商品を説明するために必要なコストですと。
 
 でもこれはね、大きな間違いなんです。ちなみに販売手数料って何だと思います?
 
山中 テーブルチャージみたいな?
 
—中野 それいいですね。販売手数料は、テーブルチャージ(笑) まあ、それをいただくのは商売ですから、ありだとしても、それはなんの役務対価ですかっていうことを、ちゃんと説明できなければ顧客本位の業務運営にはならないんです。
 
山中 結局、知らないうちに払っちゃって、こんなにとられてたのって感じだと思うんですよ。
 
—中野 今の日本の金融業界の投資信託の販売の手法って、言ってみれば、射幸心をあおるんですよ。つまりこれが一番儲かりそうだ、これが値上がりしそうだ、これが流行ってる、だから自分だけ儲けたいとか、そういった気持ちを起こさせることです。だから、本当にあなたは何のために投資をしなきゃいけないかとか、人生軸で必要なことだったり、そのためにやらなければいけない行動のしかたとか心構えとか、そういったものを、金融機関は伝えてないですよね。
 
山中 ないと思います。
 
—中野 だから、それらを伝えることが僕らにとって一番重要なことであって、これこそが、直販であるセゾン投信という会社の最大の付加価値なのです。一部のブロガーさんたちは、セゾン投信よりもっと低コストなインデックスがいいとおっしゃる方もいて、それは別に否定はしないです。そういう方は、自分で全ての判断ができて、自己完結できて、決して人のせいにしない人だろうということだから、一番コストの安いものを自分で仕入れて、自分で組み合わせてやればいい。
 
 ただ、僕らはそういう人たちばかりではないと思っていて、ポートフォリオの組み合わせ方もわからない、ただただ投資ってこわいような気がする。でも将来の人生作りに対してやっぱり必要だと思ってる、こういった人達に対して、結果的に皆が望ましい成果を実現できるよういざなってあげるサービスを提供しています。
 
 顧客本位の業務運営という言葉がありますけど、何が顧客本位なのかと言ったら、お客様を最終的に幸せにすることで、お客様に良い顔をすることではないんです。だから投資教育という言葉、僕らは好きではないんですけど、要するに、行動規範をきちんと伝えて、それを守ってもらうということまで含めてしつこくしつこくお客様に発信していく、これこそが顧客サービスだと思っているんです。
 
山中 運用の業界において「お客様を幸せにする責任がある」って言う人って、いままで誰もいなかったと思うんですよね。だからこそ、今回はひとりでも多くの方に、セゾン投信の存在をお伝えしたいって思っています。
 
(セゾン投信・中野社長に聞く③に続く)
 
Interview/Text :山中伸枝 (やまなか・のぶえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)

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