更新日: 2020.03.31 自動車保険
自動車保険の構造を知っていますか?(その3)
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
人身傷害保険
被保険自動車に搭乗中の人が自動車事故により死傷した場合、保険金額の範囲内で実際に生じた損害額を補償するものです。この保険では実際に生じた損害額が支払われるため、支払限度額が設定されます。
傷害、後遺障害、死亡のいずれの場合を問わず、損害額には休業損害、逸失利益、精神的な損害(慰謝料)が含まれます。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は被保険自動車に搭乗中の人を被保険者とした傷害保険です。人身傷害保険の内容と重複するため、搭乗者傷害保険は今はあまり一般的ではありません。
つけるとしたら、実際には傷害一時金や定額給付の特約として人身傷害保険と一緒につけるケースがほとんどです。保険金は実費払いではなく、定額払いされます。それが人身傷害保険との違いです。
自損事故保険
自損事故により運転者や同乗者が死傷した場合で、自賠責保険から補償を受けられない場合に支払われる保険です(人身傷害保険をかけている場合は人身傷害保険によってカバーされます)。
自損事故とは自己過失割合が100%のものを指し、誤って車を電柱にぶつけてケガをした、または、車ごと谷底に転落して死亡したなどの場合に適用されます。
無保険車傷害保険
運転手または同乗者が無保険または保険金額が十分でない他の車との事故で死亡または後遺障害を被った場合に支払われる保険です(人身傷害保険をかけている場合は人身傷害保険によってカバーされます)。
当て逃げに遭い死亡して、加害者が誰だか分からない場合でも適用されます。
車両保険
被保険自動車が、衝突、接触、墜落、転覆、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮、物の飛来、物の落下などの偶然な事故による損害を補償するものです。
単に自動車同士の事故による車両の損害だけではなく、電柱やガードレールに誤って衝突した場合、当て逃げされた場合の車両の損害、車両の盗難、車両へのいたずらなども保険の対象になります。
故意・無免許・酒酔い運転により車両に損害を与えた場合は保険の対象外ですが、居眠り、うっかり、わき見運転により車両を損傷させた場合は対象となります。
その他の特約
自動車保険には、自動車事故に関連したいくつかの特約があります。これらは、契約者のニーズに合わせて用意されています。いくつかの特約について解説してみましょう。
1.弁護士費用特約
車の事故で相手方に法律上の損害賠償請求をするための弁護士費用や法律相談費用をカバーします。
2.レンタカー費用特約
自動車修理中にレンタカーを貸し出しします。
3.車内携行品補償特約
車内に搭載した携行品が事故で損傷、または盗難に遭ったときに補償をします。
それ以外にも、補償の範囲を自転車にまで広げる自転車事故補償特約や、自動車事故とは関係のないことで賠償責任を負った場合に適用される個人賠償責任特約などもあります。
自動車保険は、いくつかの補償を組み合わせた複合保険
今まで見てきたように、自動車保険は自動車事故に関連したさまざまなリスクの補償を組み合わせた複合保険です。具体的には、自動車事故による以下の費用を補償します。
・自分の車両が破損した(物保険)
・搭乗者が死亡またはケガをした(人保険)
・相手車両を破損した(対物賠償責任保険)
・相手車両の運転者や搭乗者が死亡またはケガをした(対人賠償責任保険)・相手先との損害賠償交渉で弁護士費用がかかった(その他の保険)
まとめ
その1からその3で自動車保険の特徴を説明しました。特徴を知ることによって、なるべく有利な条件で保険を掛けることができるようになると思います。
[出典]一般社団法人日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー