更新日: 2020.03.24 その他保険

就職のため学校に通うと受けられる教育訓練給付金とは?(3)

執筆者 : 井内義典

就職のため学校に通うと受けられる教育訓練給付金とは?(3)
第1回、第2回では、一般教育訓練給付金について取り上げました。一般教育訓練よりも専門性が高く、実践的な教育訓練を受講した場合は、専門実践教育訓練給付金として高い給付金が受けられるようにもなります。
 
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

専門実践教育訓練給付金とは?

専門実践教育訓練給付金は、中長期的な視点からのキャリア形成を支援するために支給される給付金です。2014年10月に創設され、専門的、実践的な教育訓練として厚生労働大臣に指定された教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。
 
専門実践教育訓練給付金の対象講座として、介護福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士など業務独占資格、あるいは名称独占資格の取得を目的とした課程や、専修学校の職業実践専門課程(医療、商業実務、自動車整備など)、高度専門職業人の養成を目的とした課程(専門職大学院)、大学の職業実践力育成プログラム、第4次産業革命スキル習得講座(AI、ネットワークなど)が含まれています。給付金の対象となる具体的な講座は、厚生労働省ホームページで確認できます。
 
専門実践教育訓練給付金を受けるためには、受講開始までに雇用保険の被保険者であった期間(支給要件期間)が3年以上必要です。
 
ただし、初めて給付金を受給する場合は、支給要件期間は2年以上あることが条件です。

専門実践教育訓練給付金の額

2018年1月以降に受講を開始した場合は、受講費用の50%(2017年12月以前の受講開始の場合は40%)が支給され、上限額は1年あたり40万円(2017年12月以前の受講開始の場合は32万円)です。そして、資格を取得して就職した場合はさらに上乗せ給付がされます。
 
(1)専門実践教育訓練に関わる資格を取得し、修了から1年以内に雇用保険の一般被保険者あるいは高年齢被保険者になった人。
 
(2)修了した日に雇用保険の一般被保険者、高年齢被保険者となって雇用されている人で、修了から1年以内に資格を取得した人は、20%上乗せされて、合計で受講費用の70%(2017年12月以前の受講開始の場合は60%)が支給されます。
 
この場合の上限額は1年あたり56万円(2017年12月以前に受講を開始した場合は48万円)です(【図表1】)。
 


 
専門実践教育訓練給付金の訓練期間は以前は最大3年間でしたが、2019年4月から4年コースが加わり、4年目の受講相当分として、56万円を上限に上乗せされることにもなり、4年間の合計では最大224万円が支給されます。
 
一般教育訓練給付金と同じく、支払った費用のうち入学金と受講料が給付金の対象費用ですが、受講が長期間におよぶことから一般教育訓練給付金と異なり、1年を超える受講料も対象に含まれています。

専門実践教育訓練給付金を受けるためには

専門実践教育訓練給付金を受けるためには、第2回で取り上げた特定一般教育訓練給付金と同じく、受講開始前の事前の手続きも必要です。
 
キャリアコンサルタントによる訓練前のキャリアコンサルティングを受けて、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載した「ジョブ・カード」の交付を受け、受講開始日の1ヶ月前までに住所地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に手続きを行う必要があります。
 
また、受講を開始してからは支給単位期間(6ヶ月)ごとに手続きが必要で、1つの支給単位期間が終わってから1ヶ月以内に手続きが必要です(【図表2】)。
 
教育訓練給付金支給申請書に、教育訓練給付金および教育訓練支援給付金受給資格者証、受講証明書など必要書類を添えてハローワークで手続きを行います(資格取得と就職による追加給付20%分を受給する場合については、さらに別途手続きがあります)。
 


 
専門実践教育訓練給付金を受ける場合、複数回の手続きがありますが、申請期限に間に合うように準備を進めましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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