更新日: 2020.03.06 その他保険

2020年4月改正で健康保険の扶養に入るには日本に住んでいることが原則に!

2020年4月改正で健康保険の扶養に入るには日本に住んでいることが原則に!
会社員は健康保険の被保険者になり、その家族は要件を満たせば健康保険の被扶養者になることができます。
 
被扶養者になる要件として、130万円未満の収入要件があることはよく知られていますが、2020年4月より日本国内に住んでいることも必要な要件に加わります。
 

井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

扶養に入ることができる家族の範囲と収入要件

健康保険の扶養に入ることのできる、被保険者の家族とは【図表1】のとおりで、主として被保険者によって生計を維持している(1)や(2)の人です。勤めていて自らが健康保険の被保険者になる人や、後期高齢者医療制度の被保険者になる75歳以上の人などは被扶養者になることができません。
 


 
【図表1】の対象者のうち、(1)(直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹)は被保険者と同一世帯に同居していなくても被扶養者になることができます。
 
一方、(2)((2)以外の3親等以内の親族)については、被保険者と同一世帯で同居していることが扶養に入るための条件となり、別住所で別居しているような場合は被扶養者になれません。
 
(1)(2)の人が扶養に入るためには、収入要件を満たす必要もあります。(1)で被保険者と同一世帯で同居している場合や(2)の場合については、扶養に入ろうとするその家族の年収が130万円未満で、その年収が被保険者の年収の2分の1未満であることが条件となっています(原則)。
 
また、60歳以上の場合や障害厚生年金が受給できる程度の障害がある家族については、その年収の基準は130万円未満ではなく、180万円未満となっています。
 
一方、【図表1】(1)の人で被保険者と別世帯の場合は、原則として、対象となる家族の年収が130万円未満(60歳以上の人や障害厚生年金が受給できる程度の障害がある人は180万円未満)で、その年収が被保険者からの仕送りや援助額より少ない場合に被扶養者になることができます。

日本に住んでいないと扶養に入れない?!

被扶養者となるためには以上の要件を満たす必要がありますが、2020年4月以降は以上の要件だけでは足りません。
 
2020年4月からは、対象となる家族が日本国内に住所があることも要件となります。国内居住要件も満たして初めて被扶養者と認定されるので、日本に住所がなく、海外に住んでいる家族は扶養の対象から外れます。「定年退職後に海外に移って暮らしている父」といったような家族を、扶養に入れることはできなくなるでしょう。
 
ただし、この国内居住要件には例外があり、日本に住所がなくても日本国内に生活の基礎がある人は被扶養者になることが可能となっています。具体的には【図表2】のように、海外留学中の家族、海外赴任する被保険者に同行して海外へ移る家族などが該当します。
 


 
一方、外国籍の人で、「医療滞在ビザ」や「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で日本に来ている場合は、たとえ日本に住所があったとしても、被扶養者にはなれません。
 
このように、新たな要件が加わりますので、現在扶養に入っている人で今後海外で暮らす予定のある人は、引き続き扶養に入れるかどうか確認してみましょう。
 
なお、年金制度上の被扶養配偶者である国民年金第3号被保険者(その収入要件は前述の130万円未満)についても、2020年4月より同様の国内居住要件が問われるようになりますので、該当する人は併せて確認してみましょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー


 

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