更新日: 2019.10.07 医療保険

健康でいたら、ボーナス(祝い金)が出る医療保険って、実際、お得なの?損なの?

健康でいたら、ボーナス(祝い金)が出る医療保険って、実際、お得なの?損なの?
医療保険には、加入してから一定の期間、給付金の請求がないと「健康ボーナス(健康祝い金)」を受け取れる商品があります。
 
ボーナスがもらえると聞くとお得に聞こえるかもしれませんが、実際はそうでもありません。そこで今回は健康ボーナスの損得について、具体的な商品の例をもとに解説します。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

健康ボーナスとは

健康ボーナス付きの保険とは、ある一定の期間(加入から5年程度で区切った各期間)について所定の条件を満たすと、決められたボーナスを受け取れるという保険です。
 
所定の条件とは、対象となる期間に一度も入院給付金や手術給付金の請求がなかったり、一定の日数を超える入院給付金の請求がなかったりすることです。「健康」ボーナスなので、要するに健康でいられたらボーナスを支払いますよ、ということです。
 
ボーナスと言ってもその原資は貯蓄型保険と同様、その大半が自身で支払った保険料です。そのため、得なのか損なのかということをよく考えて契約することが大事です。
 

実際の商品の例

ホームページの保険料シミュレーションを用いて保険料を試算することができる実際の商品を例にして、健康祝い金の損得を計算してみましょう。
 
例1:A社の医療保険
A社の医療保険では、5年間の対象期間中に入院給付金や手術給付金の請求をすることがなかった場合、入院給付金日額の20倍の健康ボーナスがもらえます。
 
30歳の女性が入院給付金1万円・手術給付金(入院中10万円、入院外5万円)、終身払いという条件で加入した場合の保険料を試算すると、2850円(月額)でした。
 
健康ボーナスの特約を付加したときの保険料は5330円なので、特約保険料は2480円ということになります。5年間では2480円×12ヶ月×5年=14万8800円です。5年の間に入院給付金や手術給付金の請求がなければ、1万円(入院給付金日額)×20=20万円の給付金を受け取ることができるわけです。
 
そうすると、健康ボーナスを受け取れたときは20万円-14万8800円=5万1200円の利益となります。
 
例2:B社の医療保険
B社の医療保険では、5年間の対象期間中に継続10日以上の入院給付金の支払いがなかった場合、10万円の健康ボーナスを受け取れます(最長90歳まで)。
 
A社の例と同じ条件で保険料を試算したところ、健康祝い金の契約がない場合の保険料は3157円で、ありの場合は4487円となりましたので、差額である1330円が特約保険料となります。
 
5年間で支払う保険料の総額は1330円×12ヶ月×5年=7万9800円なので、継続10日以上の入院給付金の受け取りがなければ、5年ごとに10万円-7万9800円=2万200円の得をすることになります。
 
両社の違い
A社の場合は一度でも給付金の請求があれば健康ボーナスの支給対象外となりますが、B社の場合は「継続」10日以上なので、比較的ゆるい条件となっています。そのため、健康ボーナスを受け取れることのほうが多いでしょう。
 
しかし、いずれにしても得をする期間と損をする期間がそれぞれ何回あるかでトータルの損得が決まるというだけです。「ボーナス」をもらってお得というイメージのものとは言えないという点ではいずれも同じです。
 

健康ボーナスのデメリット

健康ボーナスは、加入してからずっと条件を満たしていれば得をすることは確かです。しかし、仮にA社の医療保険に加入していて5日間の入院(10万円の手術給付金を受け取れる手術あり)をすることになった場合、どんな心境になるか考えてみてください。
 
この場合は入院給付金(1万円×5日=5万円)と手術給付金を合わせて15万円の給付金を請求することができます。
 
しかし、これを受け取ってしまうと20万円の健康ボーナスは受け取れなくなりますので、給付金の請求をするのをやめてしまう人のほうが多いかもしれません。
 
せっかく医療保険に加入しているのに、入院したときに入院給付金や手術給付金の受け取りをためらうのは本末転倒という気はしないでしょうか。目先の損得を考えながら給付金を請求するべきかどうか迷うことに違和感があるなら、健康ボーナスの特約は付加しないほうが良いでしょう。
 
執筆者:横山琢哉
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター


 

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