更新日: 2019.09.02 その他保険

事故に遭遇して、健康保険が使える場合の手続きはどのように?

事故に遭遇して、健康保険が使える場合の手続きはどのように?
普段の生活の中で事故にあうことは、今まで自分自身や身近な人に降りかかったことがないと、どこか関係のない遠い話と感じている人が多いと思います。しかし事故は突然やってくるもの。
 
交通事故や水の事故が毎日のようにニュースで流れていますよね。あまり考えたくないことかもしれませんが、いざという時に慌てずに、精神的にも経済的にもダメージを少なくできるよう、事故にあって入院した場合のお金のことについて知っておきましょう。
 
柴田千青

執筆者:柴田千青(しばた ちはる)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー

小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。

事故によって、保険の取り扱いが違います

普段の生活の中で病気や怪我をしたときは、健康保険が適用されるので、医療費の支払いはかかった医療費の3割(小学校入学前や現役並み所得のない70歳から74歳までの方は2割、現役並み所得者以外の75歳以上の方は1割)の負担金で済んでいるでしょう。
 
ところが、事故の場合は健康保険を使えない場合があるので、注意が必要です。
 
事故にあったのが通勤途中や勤務中の場合、原則として労災保険が適用されるので健康保険の給付は行われません。また、交通事故やその他の事故で、加害者がいるような、第三者の行為による怪我の場合、その治療費は本来、加害者が負担するのが原則です。
 
このように健康保険を使わない場合があるので、事故で医者等へかかったときは、業務中の事故や相手のいる交通事故等かどうか、窓口等で聞かれることが多いでしょう。
 

事故でも健康保険が使える場合とその手続き

第三者の行為による怪我の場合、治療費は加害者負担とは言っても、過失割合等で揉めて示談交渉が長引くと保険金や補償金がなかなか入らず、一旦治療費を立て替えなければならないことも出てきます。
 
そういったときに保険診療ではないために全額自己負担となっており、さらに自由診療ということで保険点数も高く設定されるような場合、立て替える金額も高額になってきます。
 
また相手の保険の加入状況によっては、十分な補償が受けられず、自分の持ち出しが多くなってしまうこともあるでしょう。
 
そのような場合には、「第三者行為による傷病届」を提出し、健康保険で治療を受けることもできます。加害者が支払うべき治療費を協会けんぽ等が立て替え、後日、協会けんぽから加害者に費用請求することになります。
 
そのため、事故発生状況報告書やそれを証明する交通事故報告書、個人情報提供への同意書や相手方の損害賠償の確約書なども必要になってきます(※)。
 
また自分の過失割合が多い場合、相手ではなく自己負担となる治療費が多くなるため、その支払額を少なくするために健康保険を使用しておいた方が良いケースも出てくるでしょう。
 

健康保険の場合、高額療養費制度も使えます

重症だったり入院が長引いたりするようなときは、治療費も高額になってきます。健康保険を使った療養のときは、月の自己負担額が高額になった場合、「高額療養費」を申請することで、一定の自己負担限度額を超えた分を払い戻すことができます。
 
後から払い戻される制度のため、一旦窓口で自己負担額を全額支払うことになりますが、あらかじめ支払額が高額になることが分かっている場合、「限度額適用認定証」を申請・入手し、病院に提出すれば、窓口での支払いを自己負担限度額までとなります。
 
事故の場合も健康保険が使えるときには、その後の手続きやお金の面で健康保険を使用した方が良いことも多いでしょう。ただし、自分や相手方の保険の加入状況によっては健康保険を使用しない方が良いこともあります。
 
また、示談や任意保険からの補償を勝手に進めてしまうと健康保険での手続きがうまくいかなくなる場合もあります。
 
自分の入っている保険がどのようなものなのか日頃から理解しておくとともに、事故にあったときは相手の保険の加入状況等についてもよく確かめ、どのような手段をとった方が良いかよく考えるため、慎重に話を進めていくことが大切です。
 
出典
※全国健康保険協会「事故にあったとき(第三者行為による傷病届等について)」
参考
協会けんぽ研修資料~平成26年度第1回健康保険・年金委員合同研修会~ 「まさかのときに役立つ! 交通事故と健康保険」
 
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者


 

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