社会保険料の負担って「会社」と「個人」でどれくらい違うのでしょうか?

配信日: 2025.06.17

この記事は約 4 分で読めます。
社会保険料の負担って「会社」と「個人」でどれくらい違うのでしょうか?
「会社に勤めている人は、会社が社会保険料を負担してくれている」ということをよく聞きますが、保険の種類によって「会社」と「個人」の負担割合は異なります。
 
本記事では、そもそも社会保険とはなにか、そして、それぞれの負担割合について解説します。
堀江佳久

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

社会保険料の種類について

社会保険とは、会社に勤める正社員や、一定の条件を満たす社員を対象とした公的保険の総称で、加入が義務付けられているものです。
 
社会保険には、以下のものがあります。
 
1. 健康保険
 
健康保険は、病気やけがなどに備えるものです。ただし、労働中に発生した事故などについては、労災保険が適用されます。
 
健康保険は、大企業の社員などを対象として、企業が独自で運営する「健康保険組合」と中小企業の社員などを対象とした「全国健康保険協会」の2種類があります。
 
2. 厚生年金保険
 
厚生年金保険は、将来もらう年金のために積み立てる保険です。もらえる年金額は、働いてきたときの賃金と加入期間によって決まってきます。
 
3. 介護保険
 
40歳になると、将来介護サービスを受けるために、介護保険に加入しなければなりません。そして、毎月介護保険料を支払う必要があります。
 
4. 雇用保険
 
私たち労働者が失業した際に受け取ることができる失業保険や、再就職などのために教育訓練を受けた場合に受けられる給付など、労働者の生活および雇用の安定と就職促進のための制度です。労働者を雇用する事業は、原則として強制的に加入します。
 
5. 労災保険
 
業務上の理由や通勤途上において負傷・疾病・障害または死亡が発生した場合 に、労働者やその遺族へ、必要な保険給付を行う制度です。
 

「会社」と「個人」の負担割合

続いて、上記5つの社会保険料について、「会社」と「個人」の負担割合を確認します。
 
1. 健康保険・厚生年金保険・介護保険
 
これら3つの保険料は、労使折半となります。すなわち、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の「会社」と「個人」の負担割合は、いずれも50%となります。
 
2. 雇用保険
 
雇用保険料は、労使で負担します。年度によって負担割合が異なりますが、令和7年度の一般の事業における負担割合は、「会社」が1000分の9、「個人」が1000分の5.5となっています。したがって、個人の負担よりも会社の負担のほうが高いことが分かります。
 
3. 労災保険
 
労災保険料は、全額会社負担となります。したがって負担割合は、「会社」が100%、「個人」が0%となります。
 

まとめ

いわゆる狭義の社会保険といわれる健康保険・厚生年金保険・介護保険は、労使折半で保険料を支払います。雇用保険は労使で負担しますが、個人の負担よりも会社の負担のほうが高く設定されています。また、労災保険は個人での負担が生じず、会社が100%負担する仕組みとなっています。
 
なお、個人の負担分は給与から毎月天引きされますが、内容について不明点などがあれば、加入している健康保険組合や会社の担当部署などに確認をしましょう。
 

出典

厚生労働省 国民年金と厚生年金の仕組み(パンフ)
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護保険とは
厚生労働省 雇用保険制度
厚生労働省 令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
厚生労働省 東京労働局 労災保険とは
 
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集