失業保険が「すぐもらえる人」と「待たされる人」の違いは?2025年4月の制度変更で自己都合退職も対象に?
配信日: 2025.06.15

本記事では、失業保険の給付制限の概要とともに、法改正によってどのように給付条件が変わったのかを解説します。

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2025年4月より給付制限が一部解除される
失業保険は、雇用保険の被保険者が失業した場合、生活の安定と再就職を支援するために一定期間、給付金が支給される制度です。
ただし、自己都合で退職した場合などは、すぐに受給できるわけではありません。原則として、7日間の待機期間に加えて「給付制限」と呼ばれる一定期間の支給猶予があります。この間は失業保険を受け取ることができず、実際にお金が振り込まれるまでに時間がかかる仕組みです。
2025年4月より失業保険の給付制限の一部が変更されて、改正前よりも短期間で受給できるようになりました。自己都合退職でも教育訓練等を受講するなどの条件を満たせば、7日間の待機期間だけで受給できる場合があります。条件を知っていれば、退職する際に役立つでしょう。
そこで本章では、法改正されたことによって給付制限がどのように変わったのかについて解説します。
教育訓練等を受ける、もしくは受けていた方が条件
2025年4月以降に教育訓練を受講する場合や、離職日から1年以内に厚生労働省が定める教育訓練(教育訓練給付金の対象となる教育訓練、公共職業訓練等)を受講していた場合は、給付制限が撤廃されて待機期間7日が過ぎれば失業保険を受給できます。
なお、退職後に教育訓練を受ける場合、ハローワークの指示による職業訓練のほか、厚生労働省で定める訓練も対象となります。
自己都合による給付制限期間が短縮される
自己都合による退職で教育訓練を受けない場合の給付制限期間も、これまでの2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。これまでより給付制限期間が1ヶ月短縮されたことで、早期の生活支援が受けられるようになります。
自己都合による退職理由はさまざまです。人によっては、貯蓄がほとんどない状況で退職する場合は、即生活困難な状況に陥るでしょう。給付制限期間が短縮されれば、やむを得ない事情で退職せざるを得なかった方にとっても、生活への不安が解消されます。
給付制限に関する注意点
法改正によって失業保険の給付制限が撤廃・短縮されましたが、無条件で給付制限が短縮されるわけではありません。例えば、5年以内に2回以上自己都合で退職し、受給資格決定を受けた場合には給付制限期間が3ヶ月となります。これは、安易な転職を防ぐ措置でもあります。
また、重責解雇された場合や公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練等を正当な理由なく拒んだときも給付制限がかかるのは法改正前と同様です。
失業保険の給付制限が撤廃・短縮されたからといって、安易に退職を決断しないように注意が必要です。
失業保険を受ける際は条件を確認したうえで申請しよう
失業保険の給付制限が撤廃・短縮されたことで、生活の支援が素早く受けられるようになりました。事情があって退職したいものの、生活が不安で退職できないと悩んでいる方は、法改正をきっかけに退職しやすくなるでしょう。
ただし、無条件で失業保険の給付制限が短縮されるわけではありません。特に転職を複数回している方は注意が必要です。また 教育訓練を受ける予定の方は、給付制限解除の条件になるか確認したうえで決断しましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険制度
厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー