夫婦そろって「新型コロナ」に感染、合計「3万円以上」の治療費がかかりました…。「マイナ保険証」で高額療養費制度の「世帯合算」はできますか?
配信日: 2025.06.05

そのため、それ以降に家族で感染し治療を受けた方の中には、想像以上に治療費が高額で困惑した方もいるのではないでしょうか。高額な治療費が発生した際、利用できる制度として「高額療養費制度の世帯合算」が挙げられます。
本記事では、高額療養費制度の概要とマイナ保険証で世帯合算の手続きができるかどうかを解説します。

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令和6年4月より「新型コロナ」の治療費は自己負担に
新型コロナは、令和5年5月8日から感染症法上の「2類相当」から「5類相当」へ移行されました。また、特例措置も令和6年3月末で終了し、通常の医療提供体制に移行しました。
これに伴い、治療にかかる公費負担も終了し、加入する医療保険制度に応じて自己負担が1〜3割必要となります。コロナの検査費用は3割負担で約1000円〜3000円、治療の内容によっては治療薬の費用は、3割負担で約1万5000円〜3万円の高額負担になる恐れもあります。
「マイナ保険証」で高額療養費制度の「世帯合算」はできない
世帯合算とは、個人で限度額に達しなくても、同一世帯内であれば家族がそれぞれの治療にかかった自己負担額を合算して限度額を超えていれば高額療養費制度を利用できることを指します。
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として使用するもので、個人認証機能を用いて本人確認や加入している健康保険組合の特定が可能です。
このマイナ保険証に対応したオンライン資格確認システムを導入している医療機関であれば、限度額適用認定証がなくても高額医療費の適用が受けることができます。ただし、マイナ保険証のオンライン資格確認システムでは、他の医療機関や家族の医療費まで把握できないため、自動的に世帯合算はできません。
高額療養費制度の世帯合算は、ご自身が加入している健康保険組合や協会に問い合わせのうえ、申請手続きを行いましょう。
「高額療養費制度」における「世帯」の定義
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に、高額医療費制度における「世帯」の定義を解説しましょう。
自己負担額の合算は、同じ医療保険に加入する家族が一つの単位です。この場合の「世帯」は、一般的な「世帯(住民基本台帳上の世帯)」とは異なります。
例えば、会社で働く人とその家族が加入している健康保険であれば、被保険者と被扶養者の自己負担額は合算できます。一方、共働き夫婦が別々の健康保険に加入していれば、同じ住所でも合算の対象とはなりません。
また、健康保険の被保険者と後期高齢者医療制度の被保険者が同居していれば、それらの医療費は合算の対象とはならないため注意しましょう。
まとめ
新型コロナに感染したために発生した治療費の自己負担分を、高額療養費制度の世帯合算を利用して、少しでも軽減したいと考える方も多いでしょう。また、可能であればマイナ保険証を用いて手続きを簡便に行いたいと思うかもしれません。
しかし結論としては、マイナ保険証を活用した高額療養費制度の世帯合算手続きはできません。理由としては、他の医療機関や家族の医療費まで把握できないためです。従来の手続き方法による世帯合算は可能なので、加入している健康保険組合や協会に問い合わせのうえ、必要なものをそろえて手続きしましょう。
出典
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー