母が加入している「共済保険」が意外と安いと聞きました。民間保険との違いやデメリットはあるのでしょうか?
配信日: 2025.06.03

そんな疑問を抱く人は少なくありません。確かに共済保険は民間の保険に比べて掛け金が安く、手軽に始められるのが魅力です。しかしその反面、「保障が足りないのでは? 」「いざという時に困らない? 」と不安になるのも無理はありません。
この記事では、共済保険と民間保険の違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較。さらに、どちらを選べばいいのか判断するためのポイントもお伝えします。

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共済保険とは? 民間保険との仕組みの違い
全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)の調査によると、アンケートに回答した約6割が何らかの共済/保険に加入していることが分かります。一方で、共済保険と民間保険の違いをよく知らない人も少なくないようです。
共済保険は、JA(農協)や生協、全労済などの協同組合が運営する「非営利型」の保険制度です。参加者(組合員)がお金を出し合い、万一のときに助け合う「相互扶助」の考えに基づいています。
対して民間保険は、株式会社などの営利企業が提供する保険商品です。市場競争や多様な消費者ニーズに対応するため、商品の設計やサービス、保障内容が豊富で柔軟なのが特徴です。表1で共済保険と民間保険のちがいをまとめました。
【表1】
比較項目 | 共済保険 | 民間保険 |
---|---|---|
運営主体 | 協同組合 | 株式会社(保険会社) |
目的 | 相互扶助 | 営利 |
掛け金の特徴 | 比較的安価で、商品によっては年齢に関係なく一律の場合もあるが、年齢や保障内容で掛け金が異なることもある | 年齢・性別・リスクに応じて掛け金が変動 |
加入条件 | 原則組合員(出資金を払えば誰でも組合員になれる場合が多い) | 一般向け(誰でも加入可能) |
保障内容 | 基本的な保障が中心だが、特約などで保障を拡充できる商品もある | 広い保障内容を自由にカスタマイズできる商品が多い |
筆者作成
共済保険の「安さ」の理由とメリット
共済保険が安い主な理由は、以下の3つです。
・営利で運営しているから
利益を目的としていないため、営利企業のような利益分が掛け金に上乗せされず、掛け金が低めに設定されています。
・保障がシンプルだから
民間保険と比べて基本的な保障内容が中心で、過剰なサービスや複雑な付帯保障が少ないため、掛け金を安く抑えやすい傾向があります。
・余剰金の『割戻金』がある
年度末に運営費が余ると、掛け金の一部が『割戻金』として戻ってくることがあります(例:JA共済では年間数千円~1万円ほど返金されるケースも)。
また、以下のようなメリットもあります。
●年齢による掛け金の上昇が小さい(または、商品によっては変わらない場合もある)
●加入や脱退がしやすい
●保険金の支払いが比較的スムーズで早い傾向がある
共済保険の注意点と民間保険との差
一方で、共済保険には注意しておくべき点もあります。
・保障が足りない可能性
例えば、死亡保障付きの医療共済で月々2000円程度の掛け金でも、入院時の保障は日額5000円、死亡保障は200万円程度にとどまることもあります。重い病気や長期入院では不十分なことがあります。
・商品が画一的でカスタマイズが難しい
「がんだけ手厚くしたい」「通院保障を厚くしたい」など、細かいニーズには対応しにくい傾向がありますが、一部商品では特約等で保障を追加できる場合もあります。
・加入条件がある
生協やJAなどの「組合員」でなければ加入できないことが多く、住んでいる地域や所属団体によっては制限があります。
大切なのは「目的に合った保険選び」
共済保険は安さと手軽さが魅力ですが、保障内容の薄さや加入条件など、注意点も存在します。一方、民間保険は柔軟で充実した内容が選べる反面、掛け金が高くなることもあります。
大切なのは、「自分や家族にとって必要な保障は何か?」を明確にすること。生活スタイルやリスクに合わせて、複数の保険を組み合わせるのも一つの賢い選択肢です。保険選びに迷った場合は、無料の保険相談サービスやファイナンシャルプランナーに相談して、自分に合ったプランを見つけると安心です。
出典
全国共済農業協同組合連合会 知っていますか?JA共済のコト
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー