「月8万円」以上の医療費は公的保険が負担!? 「高額療養費制度」について詳しく解説
配信日: 2025.03.01

それでも民間の医療保険に加入する必要があるのでしょうか? 本記事では、高額療養費制度の仕組みと、民間医療保険との重複について解説します。

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、日本の公的医療保険制度の一環で、医療費が一定の額を超えた場合に、その超えた部分を補助する仕組みです。目的は、重病である場合や高額な医療が必要な場合に、家計への負担を軽減することです。
この制度では、自己負担する医療費について、1ヶ月当たりの上限が設定されており、所得に応じて異なる「自己負担限度額」が定められています。以下は、制度の主な特徴です。
1.自己負担限度額
自己負担限度額は、年齢や所得に応じて異なります。
例えば、所得が高い人は自己負担限度額が高く、低所得者は自己負担限度額が低く設定されています。限度額を超えた分は、高額療養費として払い戻しされます。大体の目安は以下のとおりです。
年収 | 月当たり自己負担限度額 |
---|---|
1160万円~ | 25.3万円+α |
770~1160万円 | 16.7万円+α |
370~770万円 | 8.0万円+α |
156~370万円 | 5.8万円 |
2.適用範囲
対象となるのは、入院・外来診療・手術などの医療費です。ただし、差額ベッド代や美容目的の治療、自由診療など、保険外の費用は対象外です。
3.手続き
事前に「限度額適用認定証」を取得することで、病院の窓口での支払いが自己負担限度額の範囲内に抑えられます。後日申請する場合は、まず全額を支払い、その後に払い戻しを受ける形になります。
4.世帯合算
一定の条件下では、同じ月内に同じ世帯で複数の人が医療費を支払った場合、それらを合算して高額療養費の対象にすることが可能です。この制度は、医療費の急激な増加による経済的な負担を抑えるために、非常に重要なものとなっています。
民間の医療保険は、高額療養費制度と重複する
上記の説明のとおり、年収156万円~370万円の人は、1ヶ月の医療費が約5.8万円を超えると、超過した分について公的医療保険からの払い戻しを受けられます。
つまり、どんな大病をしても、公的保険の範囲内の治療をするのであれば、1ヶ月最大5.8万円を支払えばよいことになります。例えば、何らかの手術や病気で入院して10万円かかった場合、国民健康保険からは4.2万円の払い戻しを受けられるので、自己負担金は5.8万円で済むことになります。
高額療養費は、個人が無制限に医療費を負担することのないように、作られた制度なのです。
日本では民間医療保険のセールスマンが「病気になったら多額のお金が必要だから、医療保険やがん保険に入りましょう」と勧誘します。高額療養費のことはほとんど説明してくれないので、気が付いていない人も多いのです。
しかし、例えば年収370万円~770万円の人であれば、1ヶ月の医療費が約8万円を超えると、超過した分は公的医療保険が払ってくれます。
職業・年齢にかかわらず、日本国民は公的医療保険に入っているので、民間の医療保険に入ると、年収370万円~770万円の人なら月8万円を超える部分の保障が重複することになります。
まとめ
高額療養費制度を利用すれば、医療費の自己負担には上限があるため、多くの場合、月に数万円の負担で済みます。
それにもかかわらず、民間医療保険に重複して加入しているケースも多いです。自分の年収やライフスタイルを踏まえ、本当に必要な保険を見極めることが重要です。無駄な保険料を払わず、賢く制度を活用しましょう。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー