「老後資金を増やしたいけど、リスクは避けたい…」資産運用も「保険」でできるって本当?税制メリットと手数料の落とし穴とは
配信日: 2025.02.26

本記事では、資産運用を主な機能とする生命保険の特徴や種類について詳しく解説します。投資信託との違いや、加入時に注意すべき手数料についても触れ、資産運用保険が本当に自分に適しているのかを判断するためのポイントを紹介します。

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
資産運用を主な機能とする生命保険の特徴と種類
資産運用を主な機能とする保険は「変額保険」とも呼ばれます。
変額保険は他の保険とは異なり、保険会社が保険料を「特別勘定」で運用し、その運用実績に基づいて、満期保険金や解約返戻金を支払います。
すなわち、運用がうまく行けば加入当初の基本保険金額以上の保険金を受け取れますが、うまく行かない場合は基本保険金額以下になり、保険金増減のリスクは契約者が負うことになります。被保険者が死亡または高度障害状態になって、保険金を受け取るときにのみ、基本保険金額は保証されます。
また、変額保険には満期のある「有期型」と満期のない「終身型」があります。
「有期型」は運用の良し悪しを問わず、満期を迎えた時点で保険期間が終了します。一方、「終身型」は一生涯保障が続く保険です。途中解約をせずに、被保険者が死亡した時点で保険金を受け取れば、基本保険金額は保障されます。
資産運用保険の主な運用先
資産運用保険の運用先は、以下のものに投資をする投資信託です。
債券……国内債券、海外債券
株式……国内株式、海外株式
投資信託……インデックス・ファンド、アクティブ・ファンドなど
投資信託との比較
資産運用保険の運用先は多岐にわたりますが、基本的に「保険会社を通して投資信託に投資をする」という構造になっています。すなわち、保険会社の手数料と投資信託の手数料とが、二重にかかることになります。
また、投資信託と異なる点は税制です。投資信託を行う際は、運用益の20.315%が、税金として課税されます。一方で資産運用保険は、保険料が生命保険料控除の対象となるのに加え、運用益のうち50万円は非課税となります。
生命保険の税制についてはあとで詳しく説明しますが、税制から見ると、資産運用保険の方が有利になります。
資産運用保険への加入に当たり、注意することは手数料
1. 保険会社の手数料
(1) 保険関係費
資産運用保険を運用・管理する保険会社の手数料です。
支払った保険料は全て投資信託に投資されるわけではなく、その一部は保険契約の締結・維持に係る費用として、保険会社に取られます。つまり「付加保険料」に当たる保険料が、資産運用保険でもかかることになります。また、契約後も定期的に保険契約の締結・維持、死亡保障に係る費用等が控除されます。
なお、保険関係費は、契約年齢・性別等によって異なる構造になっています。
(2)解約控除
保険の解約、減額、払済特別終身保険への変更、払済定額終身保険への変更などをする際にかかる、保険会社の手数料です。解約控除は、保険料払込期間等によって異なります。
(3)外貨の取扱いにかかる手数料
保険料の支払いまたは死亡保険金の受け取りを外貨で行う場合は、金融機関の手数料(リフティングチャージ等)および円入金する場合の為替レートと対顧客電信売買相場の仲値(TTM)+50銭が、手数料として取られます。
(4)年金管理費
保険金を一時金でなく年金支払で受け取る場合、責任準備金額に0.4%を乗じた金額の年金管理費がかかります。
(5)代理店手数料
保険を販売する銀行などの手数料がかかります。
2. 投資信託の手数料
投資信託運用会社等にかかる手数料(信託報酬手数料他)があります。
投資信託に直接投資すれば「2.投資信託の手数料」だけで済みますが、保険にすることにより「1.保険会社の手数料」がかかることになります。これらの保険商品に投資する場合は、それらの手数料により、契約者本来の取り分が何%減少するかを見極めた上で、投資する必要があります。
まとめ
資産運用保険は投資信託を保険の形で運用した保険ということができます。運用益が一時所得となるため税制的には投資信託より有利ですが、保険関係費を始めとして手数料が多く取られる点が契約者にとって要注意です。
資産運用保険への加入に当たっては、手数料が妥当かを確認する必要があります。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー